ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和29年2月号 > 種鶏に対するオーロファック給与試験

種鶏に対するオーロファック給与試験

岡山種畜場

一.緒言

 抗生物質を飼料に添加して給与する場合雛の成長を促進する事については種々研究が進められ成績が発表されて居る。
 産卵鶏に就いての試験はCarver等(1951)Reid等(1951)Waibel(1952)により発表され種鶏に就いての試験はReid等(1952)Sunde等(1952)により発表されて居るが,之が実用化については,若干再検討を要すると認められるものがあるから,当場に於て今回日本科学協会の委託を受け,抗生物質が種鶏に対して産卵孵化抗病性等に於て如何なる効果を有するか,又本剤の動物蛋白質の代位的作用について試験を実施し,その結果を取纏めたから報告する。

二.試験の方法

 本試験に於ての供試鶏は,当場種鶏単冠白色レグホーン種♂12羽♀120羽(昭和27年3・4月孵化)を用い44羽(♂4羽♀40羽)宛を試験区(2区)対照区(1区)に分けた。
 試験期間は昭和28年1月10日より9月30迄供試剤は武田製薬提供のオーロファック2Aであって試験区飼料に重量比0.2%の割合で混合した。
 各区に於ける給与飼料の配合率は次の通りである。

飼料名
区別
小 麦 玉蜀黍 脱脂糠 大豆粕 魚 粉 カキガラ 食 塩 オーロファック
2A
1 (試験区) 25 28 10 8.5 5 20 3 0.5 0.2
2 ( 〃 ) 13 12
3 (対照区) 5 20 0

 本試験に於て観察及び測定した事項は次の通りである。

(一)飼料摂取量

 飼料給与量と残餌量との差を以て比較した。

(二)体重

 体重は試験開始時及び試験期間中月2回測定した平均数値を以って其の月の体重とする。

(三)産卵

 A産卵率
試験開始前2ヶ月の産卵率及びその平均並に試験期間中の各月の産卵率並に試験期間中の産卵率の平均を産出し,之を比較した。
 B卵量
試験開始前1ヶ月の卵量の平均及び試験期間中各月の平均算出をし之を比較した。
(四)孵化
試験期間中12回に亘る孵化に依る成績を出し,その平均を算出し之を比較した。
(五)斃死淘汰
斃死鶏に就いては之を解剖し,その原因を調査した。
淘汰は産卵率の特に悪いもので見込のないものを淘汰した。

三.成績及び考察

(一)飼料の摂取量

飼料の摂取量は第1表に示す通りである。
 これらの成績に依れば,飼料摂取量は対照区に比して,試験区が何れも大であるが,第2区の摂取量が特に大であるのは,粗蛋白質の含有量が対照区に比して小であると言う事に因り,産卵との関連性において自然摂取量が大となったものと推察される。

(第1表)飼料摂収量(1羽1日量)単位g

月別
試験区
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 平均 指数
1   区 114 115 115 116 112 110 110 105 114 112 102
2   区 119 120 125 125 125 125 125 110 115 121 111
3   区 109 109 110 110 110 110 108 103 114 109 100
(二)体重

 試験開始時より月2回体重を測定調査し,その状態は第2表の通りである。
 第2表の成績より考察すると,気温の高昇した6・7・8・9月における体質の消耗は試験区は対照区に比較して,相当少くこれは,オーロファック2A添加による保健上の効果によるものと思推せられる。

(第2表)体重並に体重増減表

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 試験開始時と修了
時との体重差
1区 平均体重 1.718 1.735 1.735 1.718 1.712 1.695 1.735 1.74 1.72 0.002
増減(−) -93.4 0.07 0 -0.017 -0.006 -0.007 0.04 0.005 -0.02
2区 平均体重 1.813 1.836 1.842 1.806 1.776 1.8 1.78 1.73 1.73 -0.083
増減(−) -98.6 0.013 0.016 -0.036 -0.03 0.024 -0.02 -0.05 0
3区 平均体重 1.839 1.853 1.785 1.795 1.865 1.774 1.74 1.72 1.69 -0.149
増減(−) -100 0.014 -0.086 0.01 0.07 -0.091 -0.034 -0.02 -0.03

(第3表)産卵率表

試験開始前産卵率 (%) 試  験  開  始  後  の  産  卵  率 (%)
試験区 11月 12月 平均 指数 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 平均 指数
1区 59 42.6 50.83 94.6 35.7 62.4 74.8 75.6 80.1 71.2 71.8 66.3 58.5 66.26 108.6
2区 47.8 43.6 45.6 85.8 32.9 62.2 71.6 76.1 77 80 77.9 70.4 52.3 66.71 109.4
3区 55.7 50.6 53.08 100 38.8 56.7 75.3 73 70.1 68.4 66.7 57.4 42.4 60.98 100
(三)産卵

 (A)産卵率
  試験開始前の産卵率は,試験区が対照区に比して夫々低いのであるが,試験期間中の産卵率は,逐次月が進むにつれて増進して行き試験期間中の平均は試験区は対照区に比して第1区は5.28%第2区は5.78%の高い産卵率を示した。
 (B)卵量(第4表)

(第4表)卵重量表

試験区 試験開始前卵量 試  験  開  始  後  の  卵  量 (g)
12月 平均 指数 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 平均 指数
1 区 50.8 50.8 103 52 55.7 55.3 53.5 52.8 53.7 54 52.5 51.6 53.5 102.1
2 区 50.5 50.5 102.2 53.4 53.8 54.4 57 52.9 54 54 52.9 53.9 54 102.9
3 区 49.4 49.4 100 51.2 52.1 52.7 52.8 52.7 53 52.8 51.8 52.4 52.4 100

(第5表)孵化総括表

区分
試験区
入卵箇数 無精 1中 2中 3中 下卵 死籠 発生 対入卵 指 数 対有精 指 数
       
1   区 1,917 9.9 1.4 0.1 1.3 87.3 5.1 82.2 82.2 (91.6) 91.4 (97.3)
2   区 1,995 5.74 1.31 0.15 1.5 91.3 6.3 85 85 (94.8) 90 (95.8)
3   区 1,465 4.51 1.61 0.07 0.71 93.1 3.4 89.7 89.7 (100) 93.9 (100)
(四)孵化率

 1,2回に亘る孵化の成績は第5表の通りである。
 之によると,受精率並に孵化率は夫々試験区が対照区に比して低い率を示して居る。
(五)斃死淘汰
 斃死淘汰羽数は第7表の通りである。斃死原因は肝肥大・卵墜症・腹膜炎・白血病であるが,試験区の斃死,原因の肝肥大・卵墜症・腹膜炎に対して対照区の原因は白血病が原因となって居る。淘汰については産卵寡少にして将来産卵の見込のないものを淘汰の基準とした。

(第7表)斃死淘汰表

   1  月 2  月 3  月 4  月 5  月 6  月 7  月 8  月 9  月 合    計
斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰 斃死 淘汰
1 区 羽 数 2 2 1 1 1 1 2 6 4 10
理 由 肝肥大
内臓腫瘍
卵墜症(2) 寡産 卵墜症 寡産 卵墜症 寡産
2 区 羽 数 1 1 7 1 3 7 10
理 由 卵墜症 腹膜炎 寡産 卵墜症
3 区 羽 数 1 1 1 1 2 5 2 9 11
理 由 白血病 寡産 白血病 寡産 寡産 寡産

四.結論

 昭和27年3月及び4月孵化の当場種鶏132羽(♂12羽♀120羽)を用い之を1区44羽(♂4羽♀40羽)として試験区2区対照区1区に分け試験区には夫々オーロファック2Aを給与飼料の2.2%を添加し昭和28年1月10日より9月30日迄の給与試験を実施した。
(一)飼料の摂取量は対照区に比して試験区の摂取量が大であって,特に第2区は対照区に比して11%大であった。
(二)体重の増減は開始時に比して9月末日に於ては,第1区は極めて僅少ではあるが増加し,第2区及び第3区は若干の減少を見たが減少率は対照区が大きかった。
(三)産卵率は開始前試験区が対照区に比して第1,2区の産卵指数は夫々94.6%85.8%であったものが試験期間中の産卵率は試験区の方が逐次増進して行き,試験期間中の平均は対照区に比して第1,2区が夫々108.6%109.4%の率を示した。卵量の変化について見ると試験開始前の試験区の卵量は対照区に比して第1,2区が夫々103.0%102.2%であり、試験期間中の平均は第1,2区が対照区に比して,夫々103.2%102.9%を示し,大差を示さなかった。
(四)孵化率は試験期間中1,2回に亘って調査したが対入卵並に対有精卵孵化率は夫々試験区が対照区に比して低い率を示した。
(五)斃死淘汰は合計に於ては対照区が試験区に比して大であるが,斃死のみでは対照区に比して,試験区の第1区は3倍数,第2区は1.5倍を出して居る。然し斃死原因を見ると対照区の原因は2羽共に伝染性を有する白血病であるが,試験区に於ては伝染性の疾病は1羽も認めない。
 オーロファック2Aが種鶏の産卵率孵化率及び保健衛生上に及ぼす効果については尚今後の研究に俟たねばならないが,本試験において得られた成績より考察するとオーロファック2Aの給与は鶏体の保健衛生に良好な効果を示すことは,明に認められ,尚これに関連した結果と思考せられるが,産卵にも若干の好影響を及ぼすものと認められる。