ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和29年2月号 > 適地選定 牛乳取引の公正 酪農振興法案

今国会へ提出の畜産関係法案
適地選定 牛乳取引の公正
酪農振興法案

 農林省では休会明け国会に畜産関係法案を提出する方針を決め,つぎの基本要綱にもとづいて法案の作成に着手している。
 その1つに「酪農振興法案」があるが,これはまず酪農の適地を選定し,この地域における酪農を計画的かつ効率的に振興するとともに,牛乳の取引の公正化をはかるもので,このため昨年度初めて指定した2つの集約酪農地域(岩手山ロク,八ヶ岳山ロク)を明年度には15地域に拡大,この地域に政府,府県の指導,助成を集中的に行うこととなっている。要綱のおもな内容はつぎのとおりである。
一.酪農経営に適した地域で草資源を積極的に利用して合理的酪農経営を確立し乳牛の導入と国および都道府県の指導,助成を集中的に行う。
一.牛乳および乳製品の加工,流通面の合理化を促進するため,極力1工場当りの操業率を高め,系統組織による集荷,加工販売事業の強化をはかる。また増産による牛乳価格の値下りが農家にシワ寄せされないよう必要な措置を講ずる。
一.都道府県知事は農林大臣の定めるつぎの選定基準で“集約酪農地域”を選定する。
@牛乳の処理工場にたいする夏季送乳時間が2時間以内の範囲内であること。
A産乳量が1日150石(乳牛頭数5,000頭)以上であること。
B飼料自給度が高く1戸当り年間30石以上の牛乳を生産し得るような酪農経営が,地域内の3分の1以上の農家に普及確立し得る見込みがあること。
C立地条件からみて能率の高い乳製品製造または牛乳処理の中心工場を設置することが可能であること。
一.都道府県知事は集約酪農地域内にある牧野の効率的利用をはかるため管理規程を定めることを命ずることができる。
一.牛乳処理加工業者は牛乳の生産者またはその組織する団体と1ヵ月以上継続して取引を行うときは,価格,数量などにつき文書による契約を結び,かつこれを都道府県の牛乳取引委員会(新設)届け出なければならない。ただし当事者間に紛争が生じた場合,牛乳取引委員会は当事者の申請で調停のための勧告を行う。
一.集約酪農地域にたいし乳牛の導入,牧野の改良など当該地域内における共同利用施設にたいする融資を確保する。