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“セリ売りで”不正防止
家畜取引法案

 家畜取引については昭和23年に旧家畜市場法が廃止されて以来,根拠法がなく,各府県はその必要に応じてそれぞれ条例(現在24府県)で実施しているが最近中間業者(家畜商)がバッコして不当な利益をとり,価格も法外な値上りを示している一方,畜産農協と家畜商との紛争も絶えない状況にあるので,農林省は,@取引市場経由による公正妥当な家畜価格の構成と,A家畜商の不正取引防止のため法制化することとなったものである。家畜取引法案の要点はつぎのとおりであるが,取引方法も従来の“ソデの下取引”を出来るだけ避けて“セリ売”による価格の明示,取引業者の登録制を実施しようとしており,これらの運営には各府県に設置される「家畜取引委員会」が当ることになっている。
 なおこの法律が成立すれば現行の「家畜商法」は廃止される。

一.取引の対象となる家畜は牛・馬・豚・めん羊および山羊とする。
一.家畜市場は常設,定期および臨時の3種類とし,市場開設希望者は府県知事に申請,許可を受けなければならない。
一.取引は原則として“セリ”方法とする。
一.常設または定期市場で取引を行う業者は知事の免許をうけ,常設市場に登録しなければならない。
一.知事は畜産振興上必要と認めたときは農林大臣の承認を受けて市場を開設することができる。
一.府県に農業者,家畜取引業者,学識経験者の各代表それぞれ3名,計9名をもって家畜取引委員会を設け,つぎの業務を行う。
 @家畜取引業者の免許にかんし知事にたいする推薦
 A市場開設の許可,取消しおよび制限取引業者の免許,取消しまたは家畜取引の紛争調停その他にかんする知事の諮問に応じまたは建議する。