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岡山県立中国酪農講習所 概要と入所案内
……入所希望者はなるべく早目に出願を……

岡山県立中国酪農講習所

はしがき

 農家経済の向上と農村発展のための酪農の振興が全国的に大きく採り上げられ政府においても色々と施策を講じて斯業の発展を企図せられ又県においても酪農振興計画を樹立してその実行を強力に推進すると共に政府の集約酪農経済圏の指定を受けて一層その振興を図るべく鋭意努力せられておる。酪農の堅実な将来の発展を実現するには農家が酪農によって従来より一層又は新しい恩恵を受けることが必要であるが経営がうまく行かないと却而逆な結果を招来して酪農経営による恩恵等は思いもよらないことである。このためには色々のことが考えられようが何といっても酪農技術の普及向上がその基盤をなすもので科学に立脚した合理的経営を行ってこそ堅実な酪農を打樹てることが期待されるものである。而してこれらは覇気に富む青年の熱と力による態進力に俟つものが多いのでこれらの青年に酪農についての学理と実地とを講習するために当所が設置された訳である。
 目下この4月から入所する講習生の募集を行っているのでここに当所の概要を紹介すると共に入所に関する事項を述べることとしたい。

当所の概要

(一)目的

 酪農業の普及発達を図るため酪農の技術並びに経営法に長じ酪農振興の推進力となるべき農村青年を養成すると共に畜産の改良増殖を図って有畜営農を推進しなお地方に対する技術指導を行う。

(二)位置及び地勢

 津山市大田904番地にあって津山駅より北方約4q,津山駅前発中鉄バス高田又は藤屋行にて約20分畜産農場前下車,(電話津山426番)
 一宮街道に面し西北及び南東に耕地を有し北東に灌木叢生の緩傾斜地を背負い南方は宏望たる田園を距てて津山市街を展望出来る景勝の地である。

(三)沿革

 この地は旧軍事施設の跡に昭和19年4月岡山県女子拓殖訓練所が施設せられ昭和20年津山青年興農塾に改組,昭和22年3月廃止,同年4月畜産を主体とする綜合営農奨励施設として岡山県津山畜産農場が設置せられ更に昭和28年8月酪農技術の普及向上を図るため農村青年講習施設として岡山県立中国酪農講習所が設置されたものである。

(四)概要

(イ)土地及び建物

 a,土地
 耕地 5町6反,山林 17町2反
 建物用地 1町5反,溜池 9反
  計   25町2反
 b,建物
 講堂     1棟  43.00坪
 寄宿舎    〃  119.00
 事務所及寮  〃  117.22
 食堂及牧夫舎 〃   40.50
 収農舎    〃   57.50
 種鶏舎    2棟  98.07
 種豚舎    1棟  22.26
 人工授精所  〃   17.00
 飼料倉庫   〃   22.50
 緬山羊舎   〃   48.00
 乳牛舎    〃   57.50
 和牛舎    〃   60.75
 牛乳処理加工室〃   12.00
 動物測定場
 釜場     〃   13.00
 厩肥舎    〃   18.00
 耕馬舎    〃   21.00
 育雛舎    〃   18.00
 公舎     5棟 115.00
 付属浴場   2棟  5.00
 揚水設備   1式 ─

(ロ)家畜

 a.乳牛(ホルスタイン種)
   種雄牛3頭,種牝牛9頭,育成牛3頭 計15頭
 b.和牛(黒毛和種)
   種雄牛1頭,候補種雄牛5頭 計6頭
 c.馬(アングロノルマン種)
   種雄馬1頭,耕馬2頭 計3頭
 d.緬羊(日本コリデール種)
   成羊28頭,仔羊18頭 計46頭
 e.山羊(日本ザーネン種)
   種牡山羊2頭 計2頭
 f.豚(中ヨークシャー種)
   成豚7頭,仔豚10頭 計17頭
 g.鶩(カーキーキャンベル種)
   成鶩8羽

(ハ)器具機械

 バター製造器一式,人工授精器具一式,電気冷蔵庫一式,電気育雛器4台

(五)業務

(イ)酪農講習業務

 a.普通講習
  △期間 1ヶ年(自4月至翌年3月)
  △定員 25名(県内17名県外8名)
 △入所資格
  ○高等学校卒業者
  ○中学校卒業者で3年以上農業に従事した者
  ○特に所長が適当と認めた者
 △講習科目及び時間数
   乳牛飼養管理審査,牛乳及び乳製品,飼料作物及び飼料木,一般畜産,生理衛生,改良蕃殖,人工授精,獣医学大意,農畜産加工,その他11科目,学科年間計610時間,実習1,270時間
 △出願手続
   入所願,履歴書,戸籍抄本,身体検査書,最終学校の成績証明書各一部宛所長に提出,但し岡山県外居住者はその県の県庁を経由すること。
 △講習生の経費
   食生活等に関する経費は自弁,現在食費は1ヶ月1,800円程度,全員寄宿舎に収容この外若干の参考書代及び見学等の費用必要軽減のため可及的便宜を供与する。
 b.短期講習
 □夏期休暇を利用して高等学校生徒講習
   3泊4日,1回30名,年5回程度
 △農閑期を利用して農家に対する講習
   3泊4日,1回20名,年3回程度
 △人工授精師の養成を図るための講習
   1日間,1回30名,年1回
 △4Hクラブ関係講習
   3泊4日,1回20名,年1回

(ロ)畜産改良増殖業務

 a.乳牛
  美作地方における酪農は近年急速な発展を遂げ広汎な土地と豊富な草資源に恵まれ将来一層発達の状勢にあるのでこの乳牛の改良増殖を図るため優良な乳用種畜を飼養して蕃殖を行い仔牛配布を行う。
 b.和牛
  本県畜産の大宗である和牛の改良増殖を期するためにはその基礎をなす種雄牛の資質の向上と充実が最も必要であるので県の種雄牛政策に則応して県下の優良な牡犢を購入育成し県有種雄牛として県下に貸付する。
 c.人工授精
  当所飼養の乳用種雄牛3頭和種々雄牛1頭をもって人工授精及び精液の払下を行っている。乳用種雄牛は美作地方には他に全然飼養されていないので美作一円に亘って出張種付,家畜保健衛生所への無償払下,及び一般農家への直払下を行っているが和種雄牛は当所に索付したもののみに対する人工授精と精液払下のみで出張種付は行わない。
 d.緬羊
  美作地方における緬羊飼育は近年急速に増加しているが本県緬羊の飼育状況と将来に鑑み一層堅実な発展をなさしめることが必要なので当所に種緬羊を飼育して生産緬羊の払下を行うと共に余勢種付を行い増殖を図っている。
 e.山羊
  山羊は勝田郡を中心として美作地方は本県山羊飼育の主体をなしているが,その品種が未だ極めて低位にあるので当所に種雄山羊を飼育して種付を行い改良を図る。
 f.
  種豚を飼養して生産仔豚の払下を行い養豚の改良増殖に資する。
 g.養鶏
  美作地方における鶏の改良増殖を図るため種鶏を飼養し主として種卵の払下に重点を置いている。なお農村副業養鶏用として40日雛の配布を行う。
 h.鶩
  所内の溜池を利用して種鶩を飼養し種卵の配布を行う。
 i.圃場
  有畜営農の実践的指導のため水田畑地及び採草地に対し各種飼料作物,主穀,特用作物及び蔬菜等を栽培し耕種畜産の有機的結合による地力の増進,収穫増加の指針を示し指導を行うと共に種苗及び種子の払下を行う。
 j.地方に対する技術指導
  地方の要請に応じ随時出張して講習,講話,実地指導を行い畜産技術の普及向上を図る。

(六)職員

 所長  技師  馬渡武彦
 主事      景山 恒
 助教授  技師  早瀬一郎
 〃    〃   渡辺滋樹
 〃    〃   浅羽昌次
 〃    〃   沖  進
 牧手      8名
 場手      10名
 駐在      1名

(七)職員別担当科目

(イ)所内職員

 所長 馬渡武彦 畜産総論,牛乳,飼料,厩肥,法規
 助教授 早瀬一郎 自給飼料,養豚
 〃   渡辺滋樹 生理衛生,和牛
 〃   浅羽昌次 乳牛飼養,人工授精,獣医学大意
 〃   沖  進 緬羊,山羊,養鶏

(ロ)所外講師

 岡山県畜産課長  惣津律士氏
           畜産行政
 県畜産課畜産係長 蔵知 毅氏
           酪農経営
           乳牛審査
 〃   衛生係長 加本一久氏
           改良蕃殖
 〃   技師   松尾文雄氏
           乳牛管理
 県農業改良課技師 田中文哉氏
           農業経営
 〃        中川益雄氏
           畜力利用
 県農業試験場長農学博士 鑄方末彦氏
           農業一般
 〃  加工部主任 望月英雄氏
           農産加工
 〃  農機部主任 築山 寛氏
           農機具
 〃  津山分場主任 井上 弘氏
           普通作物
           土壌肥料
 〃  津山分場  井口 匠氏
           病虫害
 〃  〃     森本正康氏
           果樹
 津山耕地出張所長 前 親太氏
           農業土木
 県林業試験場長  片山虎夫氏
           飼料木
           林業大意
 津山地方事務所  小椋貞巳氏
 農業改良室長    農業簿記
 岡山大学農学部長農学博士
          永友繁雄氏
           酪農一般
 県酪農協会長   奥山吉備男氏
           酪農一般
 津山測候所長   玉井駿男氏
           農業気象
 北部酪農業協同組合 柳町節男氏
 工場主任      乳製品
 久米郡大井町   久宗 壮氏
           立体農業
 久米郡福渡町   吉岡隆二氏
           自給飼料

昭和29年度酪農講習生募集要綱

(一)募集人員  30名以内
(二)応募資格
 次の各号の1に該当する者であって身体強健,志操堅実で酪農経営に熱意を持つ者
 (イ)新制高等学校卒業者(本年3月卒業見込の者を含む),旧制の農業に関する中等学校卒業者又はこれと同等以上の学力があると認められる者
 (ロ)新制中学校又は旧制小学校高等科卒業者で3年以上農業に従事した者
 (ハ)その他所長が特に適当と認めた者
(三)手続
 志願者は(一)入所願(様式別記)に(二)履歴書(三)戸籍抄本(四)身体検査書(五)最終学校の成績証明書を添えて所長に提出する。但し岡山県以外に居住する者はその県の県庁を経由すること。
(四)願書受付期限
 昭和29年3月10日まで
(五)受験通知
 願書を受理した者には選考日までに受験の通知をする。この通知状を当日持参すること。
(六)選考期日,方法及び場所
 (イ)期日 昭和29年3月20日午後1時
 (ロ)方法 作文及び口述試問
 (ハ)場所 津山市大田,岡山県立中国酪農講習所
(七)合格発表
 昭和29年3月25日日本人宛に通知状を発送する。
(八)入所期日
 昭和29年4月8日
(九)寄宿舎
 講習生は全部寄宿舎に収容する。宿舎は完備しており実費で入所できる。
(十)当所の特色
 (イ)講習生は在所中に家畜人工授精講習及び試験を行い合格した者には家畜人工授精師の免許が与えられる。
 (ロ)当講習所は乳牛の外各家畜家禽を全部飼育しているので酪農の外一般畜産に関する知識及び技術も豊富に体験し得られる。
 (ハ)津山市に農協組織の酪農工場があるので常に連絡を保ち牛乳処理及び乳製品製造の実習は当所における実習に加えて工場における実習も容易である。
 (ニ)専任職員の外多数の所外講師を御依頼しているので農村中堅青年として修得しておかねばならない学科を殆んど網羅して講習するから講習生にとり極めて好都合である。
(十一)入所願様式

    入 所 願
               私儀
  今般貴所講習生として入所したい
  ので関係書類を添えて御願しま
  す。
   年 月 日
      住 所
      氏 名(     )印
  岡山県立中国酪農講習所長殿

(履歴書,戸籍抄本,身体検査書学校成績証明書の様式は適宜でよい)

(十二)その他は当所の規程を参照されたい。

(昭和28年8月31日付岡山県立中国酪農講習所条例同年9月8日付岡山県立中国酪農講習所規則)