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中国酪農講習所第1回卒業生巣立つ

 “蛍の光窓の雪 文読む月日重ねつつ”

 の歌も洵に感慨深く去る3月22日中国酪農講習所の第1回卒業式が同所講堂において挙行された。本年度は初年度であり宿泊設備の関係上多数収容することが出来なかったので県内のみに止め人員も成規講習生9名研究生2名計11名であった。
 当日は知事代理惣津畜産課長,岸本,額田両県議,小林津山市長代理,黒瀬美作酪農組合長,各講師の御臨席を仰いで盛大であった。当所としても初めてのことであり1ヵ年間の講習を順調に進行させるために非常に苦心したが県庁主務課を初め講師並びに関係者の方々の格別な御援助と御協力により概ね所期の講習を実施し得たことは非常な喜びであり御援助下さった方々に対し深く感謝する次第である。
 1ヵ年間同じ釜の飯を食いつつ勉強し実習した若人と別れることは洵に惜別の情に堪え難く名残が残って胸せまる思いがするがこれらの人々が当所で勉強したことを基礎としてこれから実社会において酪農振興のために活動するのであることを思い喜んで送った訳である。当地は今般集約酪農地として指定を受け近き将来において急速に酪農を振興させなければならず,これは若人の熱と力に俟つところが極めて大なることを思うときその責任の重大なることを痛感せざるを得ないのである。卒業生諸氏にはこの点を充分認識して努力して貰いたいのである。講堂の前に植えられた卒業記念樹は自然の良環境に恵まれすくすくと大きくなるであろう。
 酪農振興の大事業は1人や2人の力で又尋常一様のことで達成出来るものではなく県庁を初めとし凡ゆる関係者が一丸となって努力してこそ成就されるものである。当所からは来年,再来年その後と多数の酪農若人が卒業することと思うがこれらの卒業生が当所を中心として相互に連絡を密にし相励まし合って県の方針に協力することが最も必要なので今般第1回卒業生がでるのを機会に“岡山県立中国酪農講習所酪友会”なる組織を作り将来の活動に備えることとした。

岡山県立中国酪農講習所酪友会々則

(名称)
第1条 この会は岡山県立中国酪農講習所酪友会(以下酪友会と称する)と称する。
(会員)
第2条 この会は岡山県立中国酪農講習所(以下講習所と称する)の卒業生,研究生修了者でこの会の趣旨に賛同する者及び講習所の職員をもって組織する。
(事務所々在地)
第3条 この会の事務所は講習所内に置く。
(目的)
第4条 この会は会員相互間の連絡を密にし親睦を図り酪農の振興に寄与することを目的とする。
(事業)
第5条 この会は第4条の目的を達成するため次の事業を行う。
一.会報の発刊
二.研究会の開催
三.その他必要と認める事業
(役職員)
第6条 この会に役員として会長,副会長各1名,評議員若干名,職員として幹事若干名を置く。
(役員の選任及び任期)
第7条 役員は会員の互選により選任しその任期は1ヵ年とする。
(役員の職務)
第8条 会長はこの会を代表し会務を総理する。
2.副会長は会長を補佐し会長事故あるときはその職務を代理する。
3.評議員は会長の諮問に応ずる。
(職員の任免及び職務)
第9条 職員は会長これを任免し又は委嘱及び解嘱する。
2.職員は会長の命を承けてこの会の事務を処理する。
(会費)
第10条 会員は会費として年額100円を納付するものとする。
(その他)
第11条 この外必要と認める事項は役員会の決議により会長これを定める。
付則
 この会則は昭和29年3月22日から施行する。

中国酪農講習所昭和29年度講習生決る

 当所においては去る1月以来昭和29年度の講習生を募集していたが3月10日の締切までに79名の出願があり3月20日入所選考を行った。その結果次の通り31名の入所者が決定した。斯様に志願者が多いことは一般の酪農振興の熱意が如何に旺盛であるかを示すもので出来得れば可成多数入所して勉強して貰いたいと思ったが収容施設の都合もありこの人員となったことはやむを得ないことであった。