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農業経営の多角化がすすむにつれて乳牛の飼育熱が急激に高まっているが,岡山県下ではこうした傾向がはげしく,めん羊,馬などの導入が少く,さらに県北部でも乳牛飼育にクラがえするという現象が目立ってきたといわれている。
去る3月締切った29年度市町村有畜農家創設計画の集計をみてもめん羊,馬はいずれも県の導入計画頭数を下回っており,和牛が計画頭数の約1.7倍の2,651頭である半面,乳牛は導入予定700頭の約4倍の2,767頭に達するという殺到ぶりである。さらに乳牛は昨年の申請総数470件と比べると約6倍にハネ上っている。
これは同融資金が乳牛の場合,最高5万2,500円(購入費の7割)を限度として1年据置,3ヵ年償還,年利7分5厘という好条件で貸出されるうえ,最近の原料乳価高(1升最高70円)から計算すれば資金返済は一応容易とみられるなど好環境に恵まれていることが主な原因で,最近一部の農家では“街の市乳経営方式”をそのままとり入れて機械的に乳牛頭数の増加を図るなど健全な農業経営の見地からすれば行過ぎた傾向も現われているといわれている。
このため融資対象農家の選考に当っては飼料の自給度の高い,集乳に立地的によい点などを考慮し,さらに営農状況など詳しい資料によって割当られる。郡市別の29年度の有畜農家創設計画は次表のとおりである。
郡市別有畜農家創設計画
郡 市 別 | 乳 牛 | 和 牛 | め ん 羊 |
岡山 | 10 | 42 | ― |
倉敷 | 164 | 41 | 61 |
津山 | ― | 85 | ― |
玉島 | 80 | ― | ― |
笠岡 | 170 | 130 | 125 |
井原 | 189 | 18 | ― |
御津 | 94 | 108 | 34 |
赤磐 | 90 | 80 | 12 |
和気 | 65 | 49 | 9 |
邑久 | 125 | 155 | 116 |
上道 | 60 | 25 | ― |
児島 | 85 | 82 | 83 |
都窪 | 20 | 70 | ― |
浅口 | 80 | 20 | 80 |
小田 | 40 | 30 | 20 |
後月 | 10 | 33 | 37 |
吉備 | 74 | 24 | 10 |
上房 | 210 | 110 | ― |
川上 | 210 | 130 | 80 |
阿哲 | ― | 85 | ― |
真庭 | 222 | 227 | 23 |
苫田 | 125 | 345 | ― |
勝田 | 440 | 392 | 120 |
英田 | 188 | 278 | 55 |
久米 | 76 | 92 | ― |
計 | 2,767 | 2,651 | 865 |
県の計画 | 700 | 1,500 | 1,100 |
28 年 度 割 当 | 430 | 1,208 | 464 |