ホーム>岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和29年5月号 > 畜産ニュース ジャージー牛の衛生検査 少なかった生殖器疾患牛 |
農林省では八ヶ岳,岩手山麓に集約酪農地区を建設のため昭和28年中にジャージー種めす牛554頭(他に県購買2頭)おす牛3頭を輸入し,長崎,山梨,岩手の3県に貸付たがこれら外国産の乳牛はアメリカ,ニュージランド,オーストリアなどからの長途の輸送に引きつづき環境と飼育管理の変化により,導入後相当長期間にわたって生理的な打撃をうけていたので,その衛生の実態を知り今後の輸入対策と導入地域を成功させる基礎資料とすべく,つぎの検査成績を発表した。
なお産地別の輸入頭数はアメリカから,めす65頭(他に県購買2頭)おす3頭,ニュージーランドめす245頭,オーストラリアめす244頭である。
寄生虫を認めるもの363頭で寄生虫の種属はつぎの14属である
鈎 虫 2
カベルチア 29
クーパー毛様線虫 51
毛様線虫 167
捻転胃虫 57
オステルターグ胃虫 80
ネマトジールス 3
腸結節虫 50
糞稈虫 7
肝 蛭 63
双口吸虫 71
ペネデン条虫 6
コクシジウム 27
パランチジウム 119
住血原虫としてオーストラリア産のものにタイレリヤ・ムタンスを136頭認め,ニュージランド産のものに牛細虱と羽虱が47頭に寄生していた。
船中で分娩したもの 9
検疫所で分娩したもの 12
妊娠と認めたもの 200
妊否不明のもの 1
異常を認めないもの 282
性的未成熟 43
死産及びミーラ変性胎児 3
生殖器に疾患を認めたもの 4
この外一般臨床検査において特に異状を認めるものはなかったが,鼻漏,咳嗽,下痢,便秘などの症候を若干認めた。伝染病では牛肺疲,ブルセラ病,Q熱,ヨーネ氏病,厚生虫病等について検査したがブルセラ病以外の異状を認めなかった。又淋巴腺の腔腸は顎凹に認めたもの25頭,乳嘴腫のあるもの9頭であった。