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巻頭言

初夏の話題二つ三つ

惣津律士

 先般会計検査院の吉田農林検査第一課長に依る牧野補助金の会計検査が北部地帯の2,3カ村について行われた。立派にやっている所もあったが,中には申訳的に而も事業の一部分のみを行って居るものが見受けられたようである。これは県の指導監督が足らないと言う点も指摘されるが,補助金を受けた村側が事業に対して熱意と誠意を欠除しているとせば,断じて許されない。
 28年度から本格的に実施されて居る牧野改良事業が,補助金のみを目当にした行き方になる場合は由々しい問題であり,その将来性もあやぶまれる事は当然である。県は今後関係町村に対し厳重なる指導検査を行い,事業効果を見とどける積りであるが,関係町村当局は本腰をすえて産業開発のために不可欠の牧野改良と取り組まれん事を切望して止まない。
 乳価が全国的に下がった。本県に於ても同様の傾向を示して居る。集乳競争に依って現われた酪農景気なるものを皮相的にとらえて,乳牛の飼育を開始された方々には相当の痛手と思われる丁度この時,酪農振興法が先般の議会を通過した。本法はその第一条件にのべてある如く「酪農の合理的な発展の条件を具備するための集約酪農地域の制定及び生乳の取引の公正を図るための措置を定めることによって酪農振興の基盤を確立し,もって酪農の急速なる普及発達及び農業経営の安定に資する」を目的とするもので,申すまでもなく,健全なる酪農の確立を要請している。私達は以前から声をからして健実なる酪農の振興が農村を救うものである事をさけび,指導して来た。今こそ関係者は真剣に再考すべきであろう。
 家畜保健衛生所が整備せられ,地元関係者の認識が深まるにつれて,その事業効果は年と共に増大して来た。そして真に愛せられる保健衛生所としての人気は弥が上にも高まって来た。私は所員の熱意と地元町村の方々の御協力を心から感謝して居る。人員の増をやり度くても諸般の状勢から出来ない事を甚だ遺憾に思って居るし,申訳ないと思って居る。7月からは特に多忙となる事と思うが,地元の一層の御援助を御願いして止まない。