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酪農振興法成立

 酪農振興法案は5月18日修正の上衆院本会議において全会一致をもって可決即日参院に回附され,参院農林委員会に附託された。これを一部修正の上,28日の参院本会議において全会一致を以って可決されたが,衆院決定を修正したので,再度衆院本会議において参院修正について同意を求める必要があり,5月29日の衆院本会議に附議され全会一致を以って可決され,ここに酪農振興法は成立したのである。
 4月16日衆議院に政府提案されてより44日目で遂に陽の目を見た訳で,今後省令,政令等が決定を見て,成立後60日以内に施行されるわけである。
 酪農経営の合理的発展をはかるため
1.集約酪農地域の指定を行い
2.府県は同地域の酪農振興計画を立案,政府はこれに必要な資金を補助し,また融資のあっせんを行う。
3.生乳などの取引の公正化をはかるため府県に委員会を設け,取引契約のあっせん,紛争の調停を行う。
 なお農林省に政府の諮問機関として「酪農審議会」(委員12名以内)を設置する。
 以上が酪農振興の骨子であるが,同法を抜粋すれば次のとおりである。

酪農振興法(抜粋)

第1章 総則

(目的)
第1条 この法律は,酪農の合理的な発展の条件を整備するための集約酪農地域の制度及び生乳等の取引の公正を図るための措置を定めることによって酪農振興の基盤を確立し,もって酪農の急速な普及発達及び農業経営の安定に資することを目的とする。

第2章 集約酪農地域

第1節 集約酪農地の指定

(集約酪農地域の指定)
第3条 農林大臣は,その区域内の農業の発達を図るため酪農を振興することが必要と認められる一定の区域を,その区域を管轄する都道府県知事の申請に基き,集約酪農地域として指定することができる。
2 都道府県知事は,前項の申請をするには,同項の指定を受けようとする区域につき,省令で定める手続に従い,下に掲げる事項について酪農振興計画を定め,これを申請書に添えて,農林大臣に提出しなければならない。
 一.乳牛の飼養頭数の増加に関すること。
 二.飼料の自給度の向上に関すること。
 三.生乳の生産者の共同集乳組織の整備及び乳業の合理化に関すること。
 四.その他政令で定める事項
(助成)
第8条 国は,毎年度,予算の範囲内において,都道府県に対し第3条第2項の酪農振興計画を実施するために必要な経費を補助することができる。
2 国は第3条第2項の酪農振興計画を実施するために必要な資金の融通の斡旋とその他必要な奨励措置を講ずるよう努めるものとする。

第2節 集約酪農地域における自給飼料の生産のための農用地の利用

(自給飼料増産計画)
第9条 都道府県知事は,酪農振興計画に基き,毎年度省令の定めるところにより,その計画に係る集約酪農地域の区域内にある農用地について,当該年度における飼料作物の作付予定面積その他その生産に関し必要な事項並びに草地(主として家畜の放牧又はその飼料若しくは敷料の採取の目的に供される土地をいう,以下同じ)の改良予定面積及び改良の方法その他草地の改良又は保全に関し必要な事項についての市町村別の計画を定め,これを公表しなければならない。
(都道府県又は市町村の行う草地改良事業)
第10条 都道府県又は市町村は,前条の規定により定められた計画を達成するため必要があるときは,その区域内にある草地につき左に掲げる事業(以下「草地改良事業」という)を行うことができる。
 一.かんがい排水施設,牧道その他草地の保全又は利用上必要な施設の新設又は変更
 二.草種及び草生の改良
 三.その他草地の改良又は保全のため必要な事業

第3章 生乳等の取引

(契約の文書化)
第19条 生乳,脂乳又はクリーム(以下「生乳等」という)を継続して供給することを目的とする生乳等の販売に関する契約(以下「生乳等取引契約」という)については,当事者は,書面によりその存続期間,生乳等の売買価格及び数量,生乳等及びその代金の受渡の方法その他その契約並びにこれに附随する契約の内容を明らかにしなければならない。
2 生乳等取引契約を結び,又はこれを変更した場合には,当事者は,前項の書面の写(変更の場合には,変更に係る部分の写)を,省令の定めるところにより,都道府県知事に提出しなければならない,但し,農業協同組合とその組合員たる生乳の生産者とが結ぶ生乳等取引契約については,この限りでない。
3 都道府県知事は,前項の規定による書面の提出があった場合において,生乳等の取引の公正を確保するため必要があると認めるときは,当該契約の当事者に対し,その内容を改善すべきことを勧告することができる。
(都道府県知事の行うあっ旋)
第20条 生乳等取引契約につき紛争が生じたときは,当事者の双方又は一方は,政令の定めるところにより,都道府県知事に対し斡旋を申請することができる。
第21条 都道府県知事は前条の斡旋を,斡旋委員により行わせなければならない。

第4章 雑則

(報告及び検査)
第25条 農林大臣又は都道府県知事は,この法律を施行するため必要があるときは,生乳の生産者又は集乳業若しくは乳業を行う者から必要な報告を求めることができる。
2 農林大臣又は都道府県知事は生乳の取引の公正を確保するため必要があるときは,その職員をして生乳の生産者又は集乳事業者若しくは乳業を行う者の事務所,事業所等に立ち入らせ,業務の状況又は帳簿書類その他必要な物件を検査させることができる。
(酪農審議会)
第26条 農林省に酪農審議会(以下「審議会」という)を置く。
2 審議会は,酪農振興に関する重要事項について,農林大臣の諮問に応じて答申し,又は農林大臣に建議することができる。

附則
1 この法律の施行期日は,公布の日から起算して60日をこえない範囲内で政令で定める。