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巻頭言

ジャージー種牛に栄光あれ

惣津律士

 本年度岡山県に貸付せられるジャージー種乳牛は米国,ニュージーランドから9月下旬以降続々輸入せられて,第一陣が現地に到着するのは10月上旬頃となる予定である。頭数は種雌260頭,種雄2頭の予定で,雄は津山の中国酪農講習所と蒜山地区の中福田家畜保健衛生所に繋養される。
 ジャージー種牛については既に新聞,雑誌等に依ってやかましく宣伝されて居るが,かような大量輸入が本邦乳牛界に取って画期的事業である関係から,あらゆる批判が加えられ,中には随分無責任な放言も聞かされている。先般全国畜産課長会議の節に開かれたジャージー種牛に依る集約酪農に関する座談会の席上に於て,昨年本種が導入された岩手,長野,山梨の各県畜産課長から一般人が現在までの成績をあまりに皮相的にとらえて而も将来性にまで云々される事は甚だ迷惑であるのでどうか長い温い眼で世人は見守ってほしいとの強い意見が述べられた事は,同席していた私としては強い感銘を受けた。その節私はジャージー種の本来の特性を指導者も農家も充分に把握して,導入地帯に充分に適応せしめると共にジャージー種牛の農家への導入に依って,その地帯の酪農振興の基礎が確立し,農業経営の安定が期待せられるように努力する事が何より肝要である事を特に痛感した次第である。
 このため,県に於ては先ず指導陣営の確立を図るために先般人事移動を断行した。そして衛生,飼料,金融等の対策を講じつつ対処して居るが,10月以降現畜の導入に伴い,各方面から色とりどりの批判が加えられる事は必然であろうけれども,ジャージー地帯の農家はこの新しい乳牛の飼育に誇りを感じ,挺身せられん事を切望して止まない。
 最早ジャージー種の可否を論ずる時ではない。我々は本種がまさに2ヵ月後に導入されんとしている現実の姿を直視し,是が非でも,輝かしい成績を収めるべく懸命の努力を傾倒しなければならない事に深く想いをいたすべきであろう。