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〔岡山種畜場講座〕

副業 養鶏の在り方〔三〕

川崎技師

鶏の起源と種類

 現在一般に飼養されて居る鶏の起源は赤色野鶏其の他の野鶏に発して居ります。
 野鶏はキジの一種で印度支那,マレー半島仏印等に今でも野生して居り体型は小さく性質が敏活で毎年6,7月頃が繁殖期であって,8−12箇産卵し就巣孵化し卵は赤褐色の小卵であります。
 鶏は家禽の中では多分最も古いものであろうと言われ,東洋では約4,000年前欧州では3,000年以前に飼われる様になったと言われて居ます。日本でも2,000年以前に早くも居た事は周知の通りであります。
 古人が鶏を飼養した目的は卵及び肉を利用し又時刻を知り他面娯楽用としたのであります。その後夫々の目的に沿って改良繁殖され現在の品種の鶏が作出されたのであります。諸種の事情により元来日本に於ては実用的な鶏は殆んど発達せず,僅かに名古屋種及び三河種があるのみでその他はすべて外国で作出された品種を輸入したのであります。

鶏の品種

 品種とはその形態,色調,性能等に於て明確な特徴を具えて居り之を確実に遺伝するものを品種又は種類と言い表わされます。現在世界に飼養されて居る鶏の有名な品種は約70種あり,地方種を含めると300以上に達するであろうと言われて居ります。
 此の分類方法は色々ありますが一般的には卵用種,兼用種,肉用種,愛玩用種に分類されます。之等の夫々についての説明は略し,我国に於ける代表的実用品種について次に説明します。

単冠白色レグホーン種(白レグ)

 卵用種の代表的な品種であり,原産はイタリーであって之がアメリカ,イギリスに輸入され主に此の両国に於て改良され現在優良な系統が多数作出されて居ます。
 我国に於ては現在純粋種の90%以上が此の種によって占められて居るのでありまして1年1日の休産も無く連産した365卵鶏が多数作出されて居り産卵性に於ては非常に優れて居ります。
 本種は白色の羽装をし体型は楔型を呈し稍繊細であり,雌の平均体重は約500匁であって,卵用種の中でも早熟であり孵化後4,5ヵ月で産卵を始め,体質は割に強健で就巣性殆んど無く産卵率も高く飼養管理を上手にやると年間少くとも200卵以上多ければ250卵以上産卵さす事が出来るのであります。性質は敏活で探食性に富みむしろ神経質なほどで外界の影響を受け易いために管理上注意を要します。卵は白殻卵で重量は平均54−55gの卵を産み,授精率は他の鶏種に比して良好であります。
 食鶏として利用する場合は肉量肉質共に他の品種に劣る事は欠点であります。

横斑プリマスロック種(横斑ロック)

 兼用種の代表的な品種であり,原産はアメリカであって,改良もアメリカで行われ現在同国に於て優良な系統が作出され実用鶏として飼養されて居ります。卵用種を重視する我国に於ては此の種の飼養羽数の割合は僅か2−3%に過ぎぬ実状であります。
 本種は白と黒の横斑の羽装をし,体型は大きく各部が充実し胴体は長く広く雌の平均体重は約750匁であって肉質は良好でありますが産卵性は白レグに比べて劣り,年間平均170−180程度が普通であります。しかし優秀鶏は年間300卵以上産卵する鶏があり,最高記録は白レグと同様365卵鶏があります。
 此の品種の特徴としては比較的粗食に耐え外界に対する抵抗力が強く粗放な管理に耐え性質は温順で飼育も容易である点で欠点としては産卵性に劣ることと2才鶏以上になると産卵が白レグに比して著しく低下する事であります。しかし最近の傾向としては卵の生産を重視して来て居り平均産卵能力も卵用種に劣らぬ位優良なものが出て居り,兼用種の改良の理想を現在の内量肉質を維持しつつ一層産卵性を高める事に置いて居ります。
 卵殻は淡褐色で重量は平均55g程度であります。

単冠ロードアイランドレッド種(ロード)

 兼用種の代表的品種であって原産はアメリカのロードアイランドレッド州であります。
 我国に於ては東北、北海道地方に割に多く飼養されて居りますが,全体の飼養羽数は割合に少なく1−2%に過ぎない実情であります。本種は尾羽の黒色を除き全身赤褐色の羽装をし,体型,肉質等は横斑ロックと大体同様であり産卵数は我国に於ては横斑ロックに劣りますが米国に於ては白レグ以上の成績を収めて居り今後の改良が期待されます。
 此の品種の特徴としては粗食に耐え,外界に対する抵抗力が強く特に寒さに対して適応性があるので寒地養鶏用品種として期待される品種であります。

名古屋種

 我国で作出された兼用種の一つであって,名古屋地方の在来の地鶏にコーチン種を交配したもので,尾羽と主翼羽の一部が黒色である以外は全身がバフ赤色の羽装であり体型は兼用種としては前の二者に比して小型で雌で640匁程度で体質は極めて強健で疾病に対する抵抗力も強く,性質は温順であり,我国の気候風土に良く適し粗食に耐え狭い場所で多数飼う事が出来る利点があります。又就巣性が強い為に孵化育雛に巧みであり体重が割に軽い為破卵や雛を踏殺す事も無く母鶏としては最適の品種であります。

三河種

 名古屋種と共に我国で作出された兼用種であり,愛知県でバフプリマスロック種とバフレグホーン種と交配して作り之の雑種に名古屋種を交配して作出した品種で,羽装は翼羽と尾羽の淡黒色部を除くと全身バフ色で体型は兼用種よりも卵用種に近く,体質も600匁程度で体質強健で性質は比較的敏活で早熟,産卵も割に多いのであります。

ニューハンプシャー種

 本種はアメリカのニューハンプシャー州の原産でロードアイランドレッド種の早熟淡色の系統から作られたものであります。
 現在アメリカに於て飼養羽数の多い品種で全羽数の約40%近くを占めて居ると言われて居ります。しかし我国の特に肉用としての需要が米国に比して遥かに少い現状に於ては此の品種の飼養に就いては充分慎重に考える必要があります。
 特徴としては体重強健早熟で性質温順で肉用として経済的に有利であります。又就巣性も少く産卵能力に於ても割に良いと言われて居りますが此の点については今後の調査をまたねばならぬと思われます。