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〔岡山種畜場講座〕

農家自家用向き山羊肉と内臓の加工〔三〕

佐藤技師

(四)焼肉

 原料赤肉を二寸角位に細長く大切りにして下の調味液に1−2日位漬込み液が良く浸透したならば液を拭って焼く。

 調味液の配合例
 山羊肉5sに付き
  醤  油      3合位
  食  酢      3合
  砂  糖      30g
  生 姜 汁      10g
  玉 葱 汁      10g
  唐 辛 子      少量
  蜜柑皮粉       〃
  山椒実粉       〃

 醤油に砂糖を加え煮沸して砂糖を充分溶解した後生姜汁以下の香辛料を加え放浸して食酢を加える。之に前に切った山羊肉を漬込み中心部迄味が付いたら取り出し液を拭って下の方法で焼きます。
 先ずコンロに火をおこし,その上に石油缶の底を抜いたものをかけ上に太い針金を数本渡し,この針金に山羊肉を針金を曲げて作った鍵にかけて吊し,先に底を抜いた石油缶の底板をのせて焼く。余り火を強くすると内部迄充分に焼けないことがあるから注意を要します。充分焼けたら表面に食紅を塗ります。

(五)山羊肉簡易ソーセージ

 余り貯ぞうはきかないが,蒲鉾代用に次に述べる簡易ソーセージを作るのもよいと思います。先ず山羊肉の脂肪を出来るだけ除き,俎板の上で包丁で出来る丈良くたたく。山羊肉だけでも出来ますが,豚肉を山羊肉の3分の1−4分の1量(豚肉脂肪の多いものが良い)混合して更に良くたたく。以上のように処理したものに下のものを混合します。混合には摺鉢を用いればよろしい。
 山羊肉簡易ソーセージ調味香辛料配合例(全肉量に対する割合)
 澱 粉(小麦粉又は米粉) 10%
 香辛料(生姜汁,肉桂,玉葱,ニンニク,蜜柑皮粉,山椒実粉,其他) 2%
 塩 3%
 水 10−30%
 卵(肉量1sに付き) 2ヶ
 混合が済めば弁当箱のような浅い容器に詰めて煮沸した湯の中で30分位煮沸し冷水中に入れて冷却して取出します。

五.山羊内臓の加工

 臓器をそれぞれの向きに別々に加工すればそれぞれ高価なものを製することが出来ますが,1−2頭を屠殺した場合には,一括食用に加工を行うのがよろしい。

(一)佃煮

 肉佃煮のところでも述べましたが,特に内ぞうは臭気が多いが佃煮にすると此の臭気を無くし癖の無い加工品にすることが出来ます。
 先ず内ぞうは荒切する。別に釜に湯を内ぞうがひたる丈の量を沸騰させ,おろし生姜を内ぞう1sに対して約15−20gを入れる。雄の内ぞう等で臭気の多いものには更に玉葱汁等を加えて水煮する。充分水煮したならば釜より引揚げ,胃腸は出来る丈細切りし,肝,心,肺,膵,脾,腎ぞう及び脳,舌の各ぞう器は胃腸より幾分大切りにして胃腸と別に味付を行います。

 調味料及び香辛料は下の通りです。
 水煮内ぞう1sに対し
  醤  油      300g
  砂  糖      25g
  おろし生姜      5g
  薄切生姜      10g
  玉 葱 汁      10g
  唐 辛 子      少量
  蜜柑皮乾燥粉
            少量
  山椒の実粉等
  色  素      少量
  水  飴      20g

 以上は醤油に砂糖を加え煮沸して砂糖を溶解し細切した胃腸を鍋に入れたものにその半量を加えて焦げつかないように煮ます。この時ラード等を少量加えると風味が良くなります。
 次に八分通り煮えた時各種の香辛料を加えて更に煮熟し充分煮えた時を見て色素を加えて良く混合し更に水飴を半量加えて残余の液汁をくみ上げます。
 時間が長くかかるので煮え上る迄に形のくずれる憂があるのと胃腸の方には色素を加えて仕上げる必要がある為別に煮熟します。
 その煮る方法は胃腸を煮た時の残り半量の調味香辛料を加えて胃腸の場合と同様味付をします。但しこの場合は色素を加えません。
 このように別々に味付した内ぞうは最後に良く混合します。
 内ぞう佃煮は夏季で1週間,冬季で1ヶ月位はその儘冷所におけば異状はありません。黴が発生した場合は一度火を通しておけば更に貯ぞう出来ます。生産歩溜は原料内ぞうの約半分です。

(二)内ぞう味付粉末

 先ず内ぞうを70℃にて玉葱の刻んだもの生姜のおろしたもの(内ぞう重の1%)を加えて約30−40分煮たならば引揚げ,肉挽器にかけ,それを弱火で良く撹拌し乍ら水分を蒸発させます。大体乾燥したならば次の調味料を加え味付し乍ら更に乾燥し,充分に乾燥したならば摺鉢でよくくだいて粉末にします。

 調味料の加え方例(原料内ぞう1sに付き)
  醤  油      300g
  砂  糖      30g
  塩         70g

 充分乾燥が終ったならば次の香味料をよく乾燥しておいて加えます。

 香味料配合例
  内ぞう粉末     800g
  大豆粉末      100g
  海  苔      60g
  胡  麻      40g
  胡  椒      10g
  唐 辛 子       6g

 大豆粉,胡麻は火を通したものを用います。魚粉を加える場合は上に150g程度加えたらよろしい。

(三)血液の加工

 血繊維を除去した血液に下の調味香辛料を加えて細長い錻力製(錫メッキしてあることが必要)の容器等に浸し込んで80℃の湯の中で40分−1時間位加熱すればよろしい。この場合豚脂肪を細かく賽目形に切ったものを加えると風味がよろしい。

 混合する調味香辛料の例
血液の量に対し
  食  塩      3%
  香 辛 料      2%

 香辛料は生姜汁,胡椒,蜜柑皮粉等である。出来上りは肝ぞうを丁度煮た時のようにぽくぽくした蛋白食品となります。