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9月の飼養管理と飼料作物の栽培

乳牛

 暑い夏が過ぎて秋に入ると,乳牛にとっては春には及ばないが比較的住みよい季節となります。然しお彼岸までは日中なお残暑きびしい時もありますので注意を要します。
 9月の始め頃はまだ暑いが,平均気温から見て概ね22℃以下ですから,気温による乳量への影響は少なく加えて蚊,虻,蝿などの外敵からも次第に開放されるので,泌乳量も増加し,発情も明瞭に来潮するようになり,分娩も夏よりは容易となって分娩後の経過もよろしい。
 夏の間相当無理をして搾乳していますから,乳牛の体力も衰えていますので,今月は乳牛の体力を快復する方向に努力しなければなりません。

1.飼料給与

 8月下旬より9月に入って生草は粗剛となって,蛋白質含量は低下し,粗繊維の含量が増加して消化が無くなるので,草だけの給与では次第に栄養も能力も劣るようになります。従って二番播の青刈玉蜀黍,大根葉,ラジノクローバー等の良質なものを給与します。又甘藷の早掘したもののイモ蔓も与えてやります。

2.二等乳の発生防止

 9月中旬までは,まだ夏の影響をうけて残暑きびしい時もありますから,二等乳の発生割合も多いので特に搾乳は清潔にいたしましょう。

3.感冒の注意

 9月は日中の暑さに比べて朝夕が涼しくなり,特に夜間冷涼になるような気候の変り目ですから,乳牛は感冒,肺炎等にかかり易いので夜間は窓等も閉めるようにしたいものです。

4.日除け

 9月中旬までは西陽も相当強いので,お彼岸までは牛舎の西側には日除け設備をして貰いたい。

 鶏は3,4月よりの産卵による産み疲れとそれに加えて6月の梅雨,7,8月の高温により相当疲労して居るのであります。
 9月に入ると朝夕凌ぎ易くなり良い季節に入った様に一応考えられますが角度を変えて考えて見ると丁度気候の変り目であって一日の気温の最高,最低の差の著しい時であります。即ち昼間の最高気温と明け方の最低気温の差は14,5度以上の日があります。此の時期に管理者が管理に十分気を配って行かぬととんだ失敗をひき起す事がありますから注意致しましょう。
 気温の著しい変化は若鶏に対してはループの誘因となりひいては換羽休産を起すこともあり,成鶏に於ては換羽を促進します。勿論換羽は個体,日照時間その他の事に原因しますが,初産から一年産卵し続けた鶏でありまして何らか感作があれば換羽しようとして居る鶏でありますから気温の急な変化は大いに影響しますから急激な変化を可及的少くする様に注意して9月の卵価高の時に1個でも多く産卵させましょう。
 一般に早期換羽の鶏は換羽の程度も重度であって又期間が長期間に亘り寡産鶏であります。之に反して遅期換羽のものは換羽の期間も短かく程度も軽度であり大体に於て多産鶏であります。換羽により多産,寡産の大体の目標がつきますからその他の事項を考え合わせて寡産鶏を淘汰致しましょう。
 次に換羽期の鶏の飼養管理でありますが,換羽にかかると鶏は神経質になり食欲は減り衰弱し易く管理の如何が非常に影響しますから管理には十分注意し1日も早く換羽を終えさす様に致しましょう。換羽に入って休産すると一般に餌を無駄食されて居るように思って餌を減らしたり餌の質を落したり又忙しいとろくに餌を与えずに放って置く様な事が有り勝ちですが,此の様な管理をすると鶏は衰弱し換羽が長引き産卵を始めるのが遅れて結局不利であります。換羽にかかると新羽毛の発生に多量の蛋白食が必要であり,反面食欲が減って居りますから穀類を若干増し良質の魚粉を増加する事が必要であります。

養豚

 9月もお彼岸までは,日中の暑さはまだまだ夏の名残りをとどめていますが,何時しか空の色,風の気配,虫の鳴く声に一段と秋がしのびよって参り,豚の食欲は増進し,眼に見えて肥って来る初秋の候であります。

1.豚肉相場

 豚肉相場は9月下旬から10月に入ると,通常下降線を辿るものでありますから,肥育中のもので屠殺適期になっている豚は,遅くとも9月中旬までには出荷する方がよろしい。

2.飼料給与

 9月の野草は粗硬となり,豚は好食しないから甘藷蔓は勿論,白菜,大根などの間引の給与に努めることが望ましい。

3.管理

 朝夕はさすがに清涼となり,爽やかな秋風がただようが,日中の9月の日射しはなおきびしい。管理上,日中の西陽は最も嫌悪すべきものでありますから,日除けを忘れてはならない。なお夜間は相当冷えてくるから,寝台としての敷藁は若干多くしてやることが肝要です。

4.分娩と処置

 早春3月に分娩した繁殖豚は,通常今月は本年第2回目の分娩に当りますから,分娩予定日の少くとも7−10日位前から分娩柵の準備,乾燥した敷藁の投入を行います。
 秋の分娩としては9月が最も好ましいが,春の分娩に比べて哺育成績は芳しくありません。
 哺乳頭数は母豚の体重5貫に仔豚1頭位にして,弱小の仔豚は適宜淘汰するがよい。母豚の初産は早春にさせることが望ましいのですが,秋に初産させる場合には,特に哺育頭数を制限してやることが大切であります。

飼料作物の栽培と利用

 この月になると早速蕪菁,大根及び年内刈取りの早生燕麦を播種せねばならないが下旬にはイタリアンライグラス等を………仲々多忙になってくる。耕地の余裕のない方は6月中旬第2回播種の青刈玉蜀黍を早目に刈取りサイロに詰込みその後作に上記の作物を播種せねばならない。飼料作物を栽培する酪農家には必ずサイロの1基や2基は設備してあることと思うが玉蜀黍のエンシレージは冬季乳牛に有っては最も大切な優秀な粗飼料であるから踏込み不足,重石の軽量によって品質劣悪なエンシレージとならない様に注意して頂きたい。出来れば充填後上部をゴザかムシロで被覆し其の上3−4寸を土で踏みかため押し蓋をなし重石はせめて小型サイロ(内径5尺深さ8尺程度)で250貫程度を掛けて頂きたいものである。
 次に草生改良のことであるが8月中下旬刈取り火入れで草生を徹底的に抑圧しておいて播種10日前に石灰を施用しレーキでよく土を混和しておく。尤も播種には散種と溝播とがあるが私達の経験からすれば溝播を御すすめしたい。播種直前反当2−3貫匁の過燐酸石灰を施し一応レーキで溝を撹拌した後に目的の牧草種子を播種し今一度軽くレーキでならす気持で掻き乍ら足で踏んで行く。播種の適期は略9月中旬であるが,県の北部では上旬頃からがよい。