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岡山種畜場講座

副業養鶏の在り方(四)

川崎技師

鶏舎の建て方について

 鶏の産卵には遺伝即ち持って生れた産卵因子が50%,環境即ち飼養管理が50%関係すると言われて居ります。鶏舎は環境の土台ともいわれるべきものでありまして,鶏舎の位置構造が不良である場合は管理にも不便であり,飼養に十分注意しても鶏の持つ能力を完全に発揮さす事が難しいのであります。即ち鶏を経済的に即ち収益を上げるべく飼って行く上に之を収容する鶏舎の適否は重要な役目をもって居るのであります。
 副業養鶏に於ては多額の経費を注ぎ込み完全な鶏舎を建築する事は経済上不可能であります。しかし之に対する予備知識無くして不適の鶏舎を建てる事は大きな損失でありますので,次に述べます様な事を基本にして,出来るだけ之に合致さすべく工夫努力して経済的に建築する事が大切であると思います。

一.鶏舎の敷地

 専業養鶏の場合は生産の販売,飼料会の必要物資の購入上地理的な位置を考える必要がありますが,副業養鶏の場合は之を望むのは無理であって,次の事項について考慮する事が必要であります。

(一)土地

 鶏は湿気に対する抵抗が比較的弱く多湿であると疾病(特に白痢病)が発生し易く経済的に非常に不利でありますから,鶏舎は出来るだけ乾燥する所を選ぶ事が必要であります。敷地の土質は砂質壌土が最適であり,砂地は排水が良く鶏屎等に依り汚れる事が少いが,旱天炎暑の時反射熱が烈しく,粘質土壌の時は排水不良で湿潤し易く不良であります。

(二)地形

 鶏舎は出来るだけ高い位置に建てる事が必要で凹地は排水不良で湿潤し,特に梅雨期は各種病気の誘因となります。南乃至,東南々東に向って若干の傾斜をもつ地形が最適であります。

(三)位置

 鶏舎の位置は鶏の健康,ひいては産卵に非常に影響するものでありまして,之の不良即ち自然感作を人為的に補う事は中々難しいものであります。色々と方角その他の事で適切な位置に鶏舎を建てる事が難しい事があるかと思いますが,将来の事を十分考慮して最良の位置に鶏舎を建てるべきであります。即ち東南方向は開放されて居り,寒風の強い西北側が自然に防風出来る様な位置がよろしい。殊に冬等颪が強く当る場所は絶対避けるべきであります。
 又鶏舎は毎日数回足を運ぶ所でありますから管理に便な場所である事は大切な事であります。

(四)方向

 日光々線と鶏の健康は密接な関係があるものでありますから,朝早くから特に冬期の光線が充分透射する様な日当りの良い場所を選ぶべきであります。従って正南より寧ろ南々東向が良いと思います。之により出来るだけ早く朝日を舎内に導き,冬の西北の寒風を防ぎ夏の西日を防ぐ事が出来,又真南でありますと一年中陽光が北側に当らぬが,東に振って居ると夕方は北側にも陽が当り北側を乾燥さす事が出来ます。

二.鶏舎の構造

 鶏舎の構造の適否は鶏の保健並びに能力発揮に重大な影響を与えるものであり,又管理上の労力にも大いに関係するものであります。

(一)換気及び通風

 成鶏1羽は毎時約35リットルの空気を呼吸し,之により排泄される炭酸ガスは約9リットルと言われて居り,此の外に水蒸気も発散され,又排尿からのガスもあり之等は鶏の健康に有害であって,換気が不十分である時は之等ガスが鬱滞して産卵を低下させ,又諸種の病気の誘因となるものであります。でありますから如何に真冬でも適当な換気により新鮮な空気を与える事が出来る様に注意する事が必要であります。然し賊風(隙間風)の侵入する事は鶏の為に有害なものであり,体エネルギーを奪い諸種の疾病の誘因となります。
 換気と通風は似て非なるものであり,冬季間鶏舎の防寒を施して然る上換気に注意すべきであって,通風は夏に必要なものであります。即ち鶏には汗腺が無く暑さに弱いから,夏季は鶏体周囲に飽和状態になった空気を発散さして体温の発散及び皮膚呼吸を助けてやる事が必要であります。又舎内の乾燥の為にも通風を良くする事は有効であります。通風の方法としては夏に於ける風向きを考慮して風が良く入る様に設計し,必ず相対する二方に窓を設けて風が抜ける様にする必要があります。