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時報

小麦の実取,青刈兼用栽培試験

 耕地面積の狭小な農家に於て,乳牛を飼育する場合に収実を目的として栽培している小麦を,早春1回刈取って青草として乳牛に給与し最後に収実することは,本県の実情としてその応用効果は相当大きいものがあると認められる。既に農林52号,同61号,及びシーブリーズを用い九州農業試験場,高知県農業試験場(昭和26年)及び四国農業試験場(昭和28年)で本試験が行われ,その結果を報告している。本試験はその結果を再確認する意味で当場三秋,渡辺,岩本,平岡4君によって実施せられたものである。

一.試験の方法

(一)供試品種 農林51号
(二)播種期 昭和28年11月12日
(三)播種量 反当2升
(四)施肥量 基肥 硫安2貫 過石2貫 硫加1貫 厩肥400貫
  (反当) 追肥 硫安1.5貫 過石2貫
(五)刈取方法 刈取は茎数を減少せしめない為に生長点を残しその上を刈取る。
(六)区制 1区2坪2区制

二.試験の成績

(一)生草量

区   別 刈取月日 草  丈 生長点の平均高 刈取の高さ 刈取生草量
  月 日 p p p s
第1区 3.1 34.9 4.3 5 169
第2区 4.1 50 13.2 15 284
第3区 無刈

(二)収実量

区    別 収穫月日 稈    長 麦稈収量 子実収量
  月 日 p s s
第1区 6.7 90 338.2 353
第2区 6.7 85.5 365.2 326
第3区 6.7 97.2 430.5 384

(三)反当栄養生産量

区  別 粗  蛋  白  質  量 澱   粉   価   量
生  草 穀  実 生  草 穀  実
  s s s s s s
第1区 2.37 30.71 33.08 16.26 262.99 279.25
第2区 3.97 28.36 32.33 28.68 242.87 271.55
第3区 33.41 33.41 286.08 286.08

 備 考
 (イ)生草中の粗蛋白質量は1.4%同澱粉価量10.1%とし,子実は夫々8.7%,74.5%として栄養量を算出した。
 (ロ)麦藁は主として敷藁に用いられるから本表より除外した。
 (ハ)刈取生草の採食量は第1区,第2区共に100%であった。

(四)農林52号の青刈実取兼用栽培成績(参考)

刈  取  期 刈 取 高 さ 反当生草量 反当子実収量
無     刈 377.7s
  月 日    p    s
3.7 2 417 360.4
3.14 5 606 296
3.21 16 492 346.3
3.28 27 433 334.2

三.考察

 本試験に於て反当栄養生産量は(生長過程に於ける養分含有量の増減を考慮せず第1区,第2区を同率にして算出したが,この点は考慮せねばならない)第3区即ち無刈取区が最高であったが,各区に於けるその差は極めて僅少である。各区における子実収量の差を可及的に僅少にする為には,播種量,播種期等を改めて検討せねばならない。本試験は反当播種量が少量であったこと,生草の発育過程に於ける養分量の変化を考慮しなかったこと等によって結論づけ得ないが,早春,柔軟な青草の給与が乳牛の保健に及ぼす効果と,四国農業試験場で報告せられた(四)の成績を併わせ考慮すると,本問題は今後益々興味ある問題と謂うべきである。