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巻頭言

乳価の適正化について

惣津律士

 全国的に乳価の値下げが6月以降実施され,9月に於ては本県に於ても遂に原料乳価42円の線が打ち出された。
 先般県酪農協会主催の下に乳価対策の件が論議せられ,結局対策委員会を造って早急に処置する事となったが,一方全国酪農協会に於いても全国乳価対策実行委員会が設置せられ,猛運動が展開されているようである。
 特に牛乳の生産増が期待せられる冬期を控えて,更に乳価の値下げが予想せられ,折角躍進途上にある本県酪農界に一大暗影を投ずるの感をいだかせるに於いてはこれ等の運動の重要性を特に痛感するものである。
 勿論酪農民としては自給飼料の増産に依るコストの引下げに今後一段の工夫研鑚を行う事が必要であり,又組合に於いては県と協力して,生産者の生産費調査と消費方面の経済調査,更に処理加工業者の内容の検討と卸,小売マージンの精査に依る基本的飼料を整備して常に一方的に決定せられる乳価に対処する必要がある事はあえて申上げるまでもない。単なる抽象論のやり取りでは常にしわ寄せが農民に帰せられる事は明瞭である。ここに酪農関係団体の性格の明確化と団結の必要が今こそ要請されるのである。
 更に私は言いたい。
 日本の酪農はたしかに底が浅い。この漸く芽を出した酪農の育成には政府自らも事態を重視さられて思い切った保護助長方策を講じて戴き度いのである。即ち第一は乳製品の絶対輸入禁止であり第二は会社と生産農民間の公正なる乳価の取引を保証する為に,必要に応じ政府に依る乳製品の買上実施であって,これは特に集約酪農地域に於ける農民組織の工場に対して優先的に実施して戴き度いのである。
 第三は有効需要の増大を期するために国産品に依る学校給食の普及とそれに対する財政的援助であり,第四は濃厚飼料就中麩の安価にして豊富なる供給である。勿論県に於いても消費の拡大と懸命の努力を傾向しなければならない事は申すまでもない。
 私は決して高乳価を望むものではない。しかし農民にその増産意欲を失わしめるような低乳価をおしつける資本家に対しては,我々は勇気を以って正しい主張を行い,戦うべきである。
 私共は岡山県の酪農をよりよい方向に進めるために自らを反省すると共に県議会其他の機関を通じて納得の行く乳価を定めたい一念である。各位の御健闘を祈る。