ホーム>岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和29年10月号 > 第8回家畜人工授精師資格試験問題 |
一.卵巣周期について次の中何れが正しいか○印で示しなさい。
1.グラーフ氏胞が出来れば発情し排卵する。
2.黄体はグラーフ氏胞の出来た反対側の卵巣に出来る。
3.黄体は妊娠,非妊娠といえども退縮状況は変らない。
4.排卵はグラーフ氏胞より行われその排卵窩に黄体が出来る。
5.排卵後黄体が完成するのは20−21日である。
二.睾丸の機能について次の中誤れるものに○印をつけなさい。
1.精子の生産は間細胞によって行われる。
2.睾丸ホルモンは第二次性徴とは直接関係がない。
3.未熟な精子は頸部に原形質小塊がある。
4.睾丸ホルモンは副生器の発育及び腺の機能維持を司る。
三.性ホルモンについて次の文中正しいものに○印をつけなさい。
1.プロジランAは黄体形成に関係がある。
2.脳下垂体前葉ホルモンは睾丸,卵巣のホルモンを支配する。
3.黄体ホルモンは子宮に着床した妊卵を保持固定する作用がある。
4.催乳ホルモンは脳下垂体ホルモンに関係がない。
5.卵胞ホルモンは性欲の発現には関係があるが子宮粘膜には関係ない。
四.牛の精液について次の文中誤れるものに○印をつけなさい。
1.1回の射精量は,普通2−3tである。
2.P・Hは7.0−7.8である。
3.精虫数は1oに平均80万位である。
4.射精は普通膣内に行われる。
五.妊娠について次の文中正しいものに○印をつけなさい。
1.妊娠すれば普通発情が停止する。
2.妊娠しても栄養や挙動には何等の変化はない。
3.妊娠末期には乳腺は発育し乳房は膨大するが泌乳中のものは変化がない。
4.妊娠鑑定は普通直腸検査で3月前後で可能である。
一.トーマツアイス氏血球計算盤で80小分け割計算した。この際精子数は80であった。但し赤血球混合ピペットは0.5の目盛まで吸った場合である。以上の場合1◆中の精子数を算出する方法及びその説明をしなさい。(30)
二.精液の取扱注意事項中重なるものを5つ答えなさい。(20)
三.下記の問題に簡単に答えなさい。(50)
(イ)精液注入適期
(ロ)活力の区分
(ハ)人工授精の際発情の初期であった。この場合人工授精師として畜主に対してとるべき処置
(ニ)授精の際子宮外口より膿汁を漏出していた。この際人工受精師のとるべき処置
(ホ)精液の希釈に抗生物質が良好と言われるがなぜか
一.種付適期決定の要素をあげ今未経産の牛が本日午前8時に発情を開始したとして種付適期はいつか,要素から考察して説明しなさい。(50)
二.次の事項について答えよ。(50)
イ.多回種付
ロ.正常静止液中の精虫の進行速度
ハ.精虫の雌性生殖器道上走の機構
ニ.不受精卵子の運命
ホ.牛の排卵の時期
一.精液精虫検査に必要な資材を重要なものから15以上番号を附して列記しなさい。(30)
二.人工授精用器具機械を取り扱う場合注意すべき点を列記しなさい。(30)
三.次の各問題の空欄に適当な字句及び数字を入れなさい。
A 油浸レンズ,集光器,載物机に附着したツエーデル油,カナダバルサム等を拭き取る場合には○○○○○をガーゼに浸したものを使用し○○○○○は絶対に用いてはならない。
B 精子の活力及び生存率の検査に当り顕微鏡の倍率は□−□倍の弱拡大で,視野は虹彩を絞りなるべく○○する。
C 顕微鏡加温装置は精子の○○○○を示す適温として摂氏○○○前後の一定温度で使用する。
D 人工膣を装着する場合は種雄牛の個体により異なるが,原則として湯の温度は摂氏□−□℃のものを入れ,膣筒容積の□まで満し擬牝台に吊す場合は□度の角度とする。
E カルボールフクシン液は次のようにして調製する。
フクシン粉末□g
フクシン原液
純アルコール□t
フクシン原液□t
カルボールフクシン
5%カルボール(石灰酸)□t
一.わが国における牛の品種を記せ。(20)
二.家畜改良上人工授精が効果的である点を簡記せよ。(20)
三.乳牛(ホルスタイン種)血統登録の条件を記せ。(20)
四.和牛(黒毛和種)高等登録の条件を記せ。(20)
五.次の用語を簡単に説明せよ。(20)
(1) 遺伝形質
(2) 審査標準
(3) 後代検定
(4) 血液更新
(5) 系統交配
一.家畜人工授精師が牛の精液(人工授精用)を採取し検査した成績は量6t色乳白色,臭気なしPH6.7精虫数9億8,000,活力80+++き型率7%細菌++膿+であった。上記のことがらについて下記の問に答えよ。
1.精虫に対し悪感作を与えない様衛生的に処置した上,これを譲り渡してよいか。
2.この様な精液を家畜改良増殖法では如何なる名称で呼ぶか。
3.家畜人工授精師は如何なる処置をするか。
4.この精液の悪い点があればその点を記せ。
5.この精液は人工授精簿に記入しなければならない規定となっているか。(正しい方に○をつけること)
規定がある 規定がない
二.次の記述中正しいものに○正しくないものに×を記入せよ。
1.家畜人工授精師は人工授精簿を3年間保存しなければならない。
2.家畜人工授精所の開設は知事の許可が必要である。
3.異常精液とは細菌が多数繁殖しているものも含む。
4.水素イオン濃度が著しくアルカリ性であって受胎に支障があるものと認めるときこれを品質不良な家畜人工授精生精液という。
5.種畜証明書の有効期間が経過したときは知事に速に返納しなければならない。(但し定期検査)
6.家畜の改良増殖に関する事務を処理させるため都道府県に種畜検査委員を置く。
7.種畜の飼養者は家畜防疫員から要求があったときは,種畜証明書を呈示しなければならない。
8.家畜人工授精師の免許は農林大臣に申請しなければならない。
三.家畜改良増殖法の目的を記せ。
一.次の文の( )の中に適当と思われる数字又は文字を書き入れよ。(30)
(1) 30の染色体を有する1つの細胞が分裂して各々15の染色体を有する2つの細胞を生じた場合,この分裂を( )分裂と呼ぶ。また14の染色体を有する細胞が分裂して各々14の染色体を有する2つの細胞ができた場合( )という。
(2) 因子型(Genotypo)というがWwで表される或る家畜をお互いに交配したときその子の( )%はWWの固子型を有し( )%はWwで( )%はwwの因子型を持つ筈である。
(3) 配偶子が合して個体を生ずるものを接合体と名付ける。優劣二因子から成る個体即ちWwで表すとすればこの接合体は( )と言う。
(4) 或る家畜の雄が]染色体を含む精子を1億個生産すると仮定すれば]染色体を含まない精子を同時に( )個生産する筈である。
(5) 一般に家畜において受精卵の分裂が進み卵膜が消失するまでは分裂卵は自己保有の細胞質によって発育を進め得るかその後は子宮粘膜に存する分泌腺の分泌物,即( )を吸収しこれを養分として発生を進める。
(6) 一般に母体と胎児との間で栄養分や老廃物の授受交換が行われる器官がある。これを( )と言う。
(7) 一精子が卵内に入ると,この精子侵入と殆んど同時に透明帯に( )ができて第二の精子の侵入を不能とする。
二.次のA列とB列の文字の間に関係があるがその中最も関係のある文字を実線で結べ。(30)
A列 B列
マーチン 中心粒
諸器官の分化形成 染色体説
受精卵 ホモ接合体
モルガン 分離の法則
メンデル 外胚葉,内胚葉,中胚葉
隔世遺伝 男性ホルモン
三.性決定(哺乳動物)の理論を図解説明せよ。(40)
量 | 色 | 臭 | P.H | 数 (1t) | 畸型率 | 活力及生存率 |
A牛 5t | 乳白色 | 特 有 | 6 | 6億 | 25% | 50+++10++5+ |
B牛 5t | 乳白帯緑色 | 特 有 | 6.6 | 14 | 5 | 70+++20++5+ |
C牛 7t | 琥珀色 | 尿 臭 | 7.6 | 10 | 10 | 30+++10++ |
D牛 3t | 乳白帯黄色 | 特 有 | 6.8 | 10 | 10 | 80+++10++ |
E牛 5t | 赤色 | 特 有 | 7.2 | 11 | 5 | 60+++10+ |
一.精虫の構造模式図を書き,各部の名称を10記入しなさい。(30)
二.体外精虫の生存能力に及ぼす要因の主なもの5つをあげ説明しなさい。(25)
三.精液検査に於いて下記の成績を得た,普通の場合正常精液と認められるものに○印をつけなさい。(20)
四.次の問に答えよ。(25)
イ.精液とは
ロ.温度のショック
ハ.牛精液保存の適温
ニ.牛の精虫の運動
ホ.異常精虫
一.精欲が減退し,精子の活力,量,保存力が減少した場合どんな飼養管理を行えば良いか簡単に説明せよ。(30)
二.過肥になった場合精子への影響について簡単に説明せよ。(30)
三.飼料の調理について記せ。(20)
四.蛋白質飼料とはどんなものか例を挙げて説明せよ。(20)
一.成熟雄牛の精細管について説明しなさい。(30)
二.成熟雌牛の卵巣における卵胞及び黄体の消長について解剖学の立場から説明しなさい。(30)
三.次の各事項を説明しなさい。(40)
A.精管膨大
B.陰茎海綿体
C.白体
D.卵管巣
E.牛の子宮頸
F.宮阜
一.理想的消毒を行う必要な条件について最も必要と思われる事項を挙げ簡単に説明しなさい。(30)
二.家畜人工授精用具を消毒する場合下記の消毒基準及び消毒上の注意事項を記しなさい。(50)
(1) 乾熱消毒
(2) 湿熱消毒
三.下記について記しなさい。(20)
1.人工膣ゴム内筒の消毒法
2.90%局方アルコールを70%のアルコール100t作るとき水及び局方アルコールを夫々如何なる割合に用いたらよろしいか。