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時報

試験調査

 泌乳牛に対する尿素糖蜜併用試験は11月26日で終了しましたから,この結果は来月号で御連絡致します。次の予定は種雄牛に対する酵素飼料の効果についての試験を1月から着手します。飼料作物についての試験調査は目下イタリア・ライグラスの播種期についての調査を行っています。尚飼料作物の集約栽培試験及び燕麦の品種比較試験は前年に引続いて行っています。
 次に本月号で御連絡出来る試験調査の結果は主として三秋技師,渡辺技師,岩本助手によって行われました飼料作物に関する各種の調査成績は次の通りであります。

一.青刈玉蜀黍と青刈大豆の混播比率について

(一)調査の目的

 従来両作物の混作において混播比率が適正でなかった為に,青刈大豆の生育が玉蜀黍によって抑制,圧倒され易い実状にあったから,本調査を実施して,その適当な配合比率を知ることを目的としている。

(二)調査の方法

 供試した種子の品種は玉種黍は白色デント・コーン,大豆は黒千石であって,1区3.5坪で2区制とした。尚反当混播比率は次の通りである。

種 類 第1区 第2区 第3区 第4区 第5区 第6区 第7区 第8区 第9区 第10区 第11区 第12区
 
玉蜀黍 8 8 8 7 7 7 6 6 6 5 5 5
大豆 6.4 5 4.8 5.6 4.9 4.2 4.8 4.2 3.6 4 3.5 3

 次に耕種の概要としては,播種期を5月27日とし,畦巾は2尺,条播として,反当施肥量は厩肥500貫,硫安2.5貫,過石5貫硫加1貫匁であるが,硫安は基肥として1貫,追肥として播種後30日目に1.5貫匁を施用した。

(三)調査成績
区   別 草   丈 (㎝) 反  当  収  量 (㎏)
玉 蜀 黍 大   豆 玉 蜀 黍 大   豆
第1区 247 180 2,813 1,823 4,636
237 159 2,464 1,575 4,039
第2区 238 153 4,894 1,329 6,223
268 177 4,500 1,013 5,513
第3区 201 146 3,690 1,463 5,153
247 158 3,994 1,035 5,029
第4区 235 168 4,500 1,013 5,513
223 168 5,727 923 6,650
第5区 230 149 2,588 1,665 4,253
266 158 3,821 1,260 4,141
第6区 279 154 4,994 1,406 6,454
202 171 2,723 1,666 4,389
第7区 282 153 4,391 1,069 5,460
223 150 3,083 1,530 4,613
第8区 290 173 5,063 1,013 6,076
290 145 5,906 1,013 6,919
第9区 264 177 3,488 1,406 4,894
248 153 4,050 1,238 5,288
第 10 区 236 158 2,925 1,575 4,500
296 154 5,063 1,215 6,278
第 11 区 236 157 4,106 1,406 5,512
260 144 3,825 1,283 5,108
第 12 区 265 152 1,800 1,710 3,510
270 160 3,431 1,856 5,287

 摘要 刈取月日は8月14日(生育日数79日)
    第12区Aの玉蜀黍は発芽不良

二.青刈玉蜀黍の畦巾が雑草繁茂に与える影響について

(一)調査の目的

 夏作飼料作物の栽培に於ては,その労力は一般農事のものと競合するから,青刈玉蜀黍栽培の除草労力を節約する手段として,その畦巾を狭小にすれば,或る程度雑草の繁茂を抑制し得るのではないかと考え,この調査を実施した。

(二)調査の方法

 畦巾は0.5尺,1.5尺,2.0尺,2.5尺の5区に別ち,1区1.5坪3区制で条播とした。尚播種期は5月28日で,播種量は白色デント・コーンを反当8升用いた。施肥量は厩肥500貫,硫安2.5貫(内1貫は基肥,1.5貫は追肥として播種後35日目に施肥した。)

(三)調査成績
区   別 玉蜀黍草丈 反    当    収    量
玉  蜀  黍 雑     草
 
0.5 尺 区 256 5,243 994 6,237
265 3,275 750 4,025
242 3,521 413 3,934
1.0 尺 区 275 3,150 2,171 5,321
252 4,905 825 5,730
259 3,825 360 4,185
1.5 尺 区 268 4,688 816 5,504
235 3,849 1,160 5,009
225 3,521 1,590 5,111
2.0 尺 区 282 5,258 765 6,023
287 3,188 750 3,938
239 4,805 188 4,993
2.5 尺 区 263 3,930 1,650 5,580
259 4,200 1,215 5,415
250 4,500 680 5,180

三.甘藷関東22号の挿苗について

(一)調査の目的

 この甘藷は晩生多収であって,前作として青刈玉蜀黍の作付が可能と考えられる。飼料作物集約栽培の立場から,この甘藷の晩挿の限界を知ることが極めて必要と認めたから,本調査を実施した。

(二)調査の方法

 挿苗期は6月5日,6月15日,7月6日,7月15日として,1区2.33坪で1区制とした。畦巾は3.0尺とし,株間は1尺で施肥量は厩肥500貫,硫安1貫,過石2貫硫加2貫匁で収穫月日は各区とも10月28日である。

(三)調査の成績
挿 苗 期 坪 当 収 量 坪当株数 反 当 収 量 備  考
甘 藷 蔓 塊   根 甘 藷 蔓 塊   根
   
6月5日区 2,360 3,500 12 708 1,050  
6月15日区 850 1,390 10 255 417 活着不良
7月6日区 1,480 2,120 12 444 636  
7月15日区 1,480 750 10 564 225 活着不良

 以上3項目の試験調査の結果は,統計処理をしてその有意差等を検討せねばならないから,本報告は速報として,その考察は他日に譲らせて頂きます。(風知生)

産卵能力集合検定

 昭和28年度産卵能力集合検定を愈々終了しまして,その成績の概要を御知らせすることが出来ますことを喜んでいます。検定開始以来1年間何かと御支援下さいました,依頼者の方々に対しても,また当場の管理の行届かなかったことによく耐えて,可成の成績を示してくれた依頼鶏に対して裏心より御礼を申上げたいと存じます。
 昨年11月1日検定開始のスタートに立った鶏は,単冠白色リグホーン種180羽で,横斑プリマス・ロック種20羽の合計200羽で有りましたが,途中事故のため(これは主として産卵記録が特に劣っていたもの)検定を中止したものが26羽で,斃死したものが同じく26羽,計52羽で,開始羽数に対して26%の落伍鶏を出したことは遺憾と存じます。何にしろコースが1カ年もかかる長距離ですから,この程度の事故は当然といえば当然すぎることでありましても,事実貴重な鶏を預かっている検定子にとっては,残念で御詫びの仕様もないと恥入っています。350日間に於ける群平均の成績上位のものを御照会しますと次の通りであります。

依頼者氏名 種  類 1羽平均合格卵数 1羽平均卵量 備     考
寺島篤政 白レグ 281.2箇 151,855㎏ 検定開始羽数 5羽
検定終了羽数 4羽
高田 弘 259.8 138,150 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 9羽
山上幹一 ロック 257.3 145,080 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 9羽
内田和夫 白レグ 255.8 138,010 検定開始羽数 5羽
検定終了羽数 4羽
山上幹一 255.7 143,820 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 9羽
入江唯夫 ロック 246.6 135,140 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 10羽
神田勝弘 白レグ 244.2 130,690 検定開始羽数 5羽
検定終了羽数 5羽
橋田新市 243.6 129,950 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 8羽
初岡太郎 236.8 128,970 検定開始羽数 5羽
検定終了羽数 4羽
入江唯夫 236 125,618 検定開始羽数 10羽
検定終了羽数 10羽

 尚群平均卵量では第1位は寺島さん,第2位と第3位は山上幹一さんの依頼のものであります。
 次に365日間の検定成績で300卵以上のものを御知らせ致しますと次表の通りで有ります。

種 類 依頼者氏名 年 号 生産
卵数
生産卵重量
(合格卵)
不合格
卵 数
不合格
卵重量
孵化月日 体    重 摘 要
搬入時 搬出時







1 文屋  博 53-14 340 18,307.00     28.3.20 1,600 1,900 300g 卵量2位
2 寺島 篤政 8 328 18,238.00     28.4.12 1,700 2,000 300 卵量3位
3 笠原行次郎 85 326 18,002.50       1,800 2,050 250  
4 入江 唯夫 105 326 17,621.50     28.4.3 1,700 1,750 50  
5 高田  弘 99 324 18,017.50     28.3.28 1,600 1,800 200  
65 寺島 篤政 6 323 17,550.00     28.4.12 1,400 1,600 200  
7 高田  弘 98 321 17,052.00     28.3.28 1,600 1,550 50  
8 山上 幹一 169 321 16,634.50       1,800 2,200 400  
9 高田  弘 94 320 17,983.00     28.3.28 1,650 2,000 350  
10 橋田 新市 70 320 17,119.00     28.4.12 1,550 2,050 500  
11 齊藤 海蓮 146 319 16,899.50 2 86   1,500 1,600 100  
ロック種 12 山上 幹一 193 318 18,840.00       2,350 3,200 850 卵量1位







13 高田  弘 91 316 16,621.00  4 192.5 28.3.28 1,500 1,700 200  
14 初岡 太郎 119 313 16,474.00       1,850 1,900 150  
15 高田  弘 96 313 16,271.50 6 268 28.3.28 1,800 1,950 150  
16 寺島 篤政 10 312 17,438.50       1,900 2,250 350  
17 橋田 新市 62 312 16,103.50 2 95.5 28.4.12 1,750 1,800 50  
18 高見 一男 89 311 15,837.00 24 1,114.50 28.4.10 1,950 2,000 50  
19 高見 一男 86 310 17,190.50     28.4.10 1,750 2,000 250  
20 初岡 太郎 117 310 17,185.50       1,400 1,550 150  
21 内田 和夫 136 306 15,585.00     28.4.23 1,750 1,550 -200  
22 高田 録也 58 305 15,794.50       1,650 1,900 250  
23 土肥 恭介 45 303 16,969.50       1,650 1,800 150  
ロック種 24 山上 幹一 191 302 17,417.00     28.3.29 2,150 2,700 550  
白色レグ
ホーン種
25 山上 幹一 191 301 18,214.50       2,250 2,200 -50  
26 橋田 新市 64 301 16,253.00     28.4.12 1,650 1,450 -200  

昭和29年度集合検定開始
 昭和29年度の産卵能力集合検定は,多数の出願の中から35件290羽を受入れまして,11月1日から検定を開始しました。本年度の出品鶏は昨年に比較して,孵化月日も3月下旬が中心となっていることと発育及び体躯の堅実さが相当良好でありますから,前年度に比してその成績は確に上昇することを確信して,係員一同張り切ってその飼養管理に当たっています。(検定子)