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種鶏業者,ふ卵業者登録制度実施

 昨年春以来立案され,昭和29年度秋の種鶏検査から実施予定であった種鶏業者及びふ卵業者登録制度が昨年暮もおしせまった12月24日付で施行された。この制度の条例及び規則は次のとおりである。

岡山県条例第87号(昭和29年12月24日)

岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例

(目的)

第1条 この条例は,種鶏業者及びふ卵業者を営む者を登録することによって優良な種鶏及び種卵を確保し,もって鶏の改良増殖を図ることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において,下の各号に揚げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
 一 指定種鶏業者 業として50羽以上の種鶏を飼育する者でこの条例により登録を受けたものをいう。
 二 指定ふ卵業者 業として鶏の卵を人工ふ化し,初生びなを販売する者でこの条例により登録を受けたものをいう。
 三 初生びな ふ化後え付までの鶏のひなをいう。

(指定種鶏業者及び指定ふ卵業者の登録)

第3条 指定種鶏業者及びふ指定業者になろうとする者は,知事の行う登録を受けなければならない。
2 前項の登録の有効期間は,1箇年とする。
3 登録の有効期間満了後引き続き指定種鶏業者又はふ卵業者になろうとする者は,更新の登録を受けなければならない。
4 登録の取消を受けようとする者は,申請書を知事に提出しなければならない。

(登録欠格条件)

第4条 下の各号の一に該当する者は,指定種鶏業者又はふ卵業者の登録
(前条第3項の規定による更新の登録を含む。以下「登録」という場合において同じ。)を受けることができない。
 一 第13条の規定により登録の取消を受けた日から2年を経過しない者 
 二 第14条の規定により罰金刑を科せられ,その刑の執行を終り,又は執行を受けることがなくなってから1年を経過しない者

(登録の拒否)

第5条 下の各号の一に該当する場合は,指定種鶏業者の登録は行わない。
 一 知事が行う検査に合格しない種鶏を飼育しているとき。
 二 種鶏を飼育する施設が別に定める基準に合わないと認められるとき。
 三 その他知事が不適当と認めたとき。

(登録証の交付等)

第6条 知事は,登録を行ったときは,登録証(別記様式第一号)を交付する。
2 登録証の記載事項に変更を生じたときは,すみやかに知事に届け出てその書替を受けなければならない。
3 登録証を亡失し,又はき損したときは,再交付を受けなければならない。
4 登録の取消を受けた者は,すみやかに登録証を知事に返還しなければならない。

(指定種鶏業者の遵守事項)

第7条 指定種鶏業者は,登録を受ける際に知事の行う検査に合格した種鶏以外の鶏(ふ化後6箇月未満のものを除く。)を飼育してはならない。但し,登録を受けた後に知事の検査を受けてこれに合格した種鶏を飼育する場合又は知事が特に必要と認めて許可した場合は,この限りでない。
2 指定種鶏業者は,その飼育する種鶏から生産された種卵以外の卵をふ卵業者にあっ旋し,供与し,又は販売してはならない。
3 指定種鶏業者は,帳簿を備え,知事の定める事項を記録しなければならない。

(指定ふ卵業者の遵守事項)

第8条 指定ふ卵業者は,指定種鶏業者が飼育する種鶏から生産された種卵以外の卵をふ化してはならない。但し,官公署若しくは学術研究機関から供給され種卵又は輸移入種卵で知事が適当と認めたものをふ化する場合は,この限りでない。
2 指定ふ卵業者は,指定ふ卵業者以外の者から初生びなを購入し,販売してはならない。但し,県外で生産された初生びなを購入し,生産者の住所及び氏名を付して販売する場合は,この限りでない。
3 指定ふ卵業者は,別に知事が定めるところによりふ卵器の消毒その他必要な措置を講じなければならない。
4 前条第3項の規定は,指定ふ卵業者に準用する。

(初生びな証明票)

第9条 指定ふ卵業者は,知事の発行する初生びな証明票(別記様式第2号。以下「証明票」という。)の交付を受けることができる。
2 証明票の交付の基準は,知事が別に定める。
3 第1項の規定により証明票の交付を受けた指定ふ卵業者がその生産した初生びなを販売しようとするときは,容器に証明票をちょう付しなければならない。
4 指定ふ卵業者は,証明票を他人に譲渡し,又は使用させてはならない。
5 第3条第四項又は第13条の規定により登録の取消を受けた者は,すみやかに証明票を知事に返還しなければならない。

(禁止事項)

第10条 指定種鶏業者又は,指定ふ卵業者でない者は,指定種鶏業者又は指定ふ卵業者の名称若しくは類似の名称を使用してはならない。
2 指定ふ卵業者でない者は,証明票を使用して初生びなを販売してはならない。

(手数料)

第11条 指定種鶏業者若しくは指定ふ卵業者の登録,登録証の書替若しくは再交付,種鶏の検査又は初生びな証明票の交付を受けようとする者は,下の手数料を納めなければならない。
 一 登録手数料
  イ 指定種鶏業者登録手数料 200円
  (更新の登録の場合は150円)
  ロ 指定ふ卵業者登録手数料 1,000円
  (更新の登録の場合は700円)
 二 登録証書替再交付手数料 100円
 三 種鶏検査手数料 
   1羽につき 1円
 四 初生びな証明票交付手数料
   1枚につき 10円
2 既納の手数料は,還付しない。

(報告の徴収等)

第12条 知事は,この条例を実施するため必要があると認めるときは,指定種鶏業者又は指定ふ卵業者から必要な報告を求め,又は該当吏員をして営業所に立ち入り,帳簿その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる。
2 前項の吏員は,その身分を示す証票(別記様式第3号)を携帯し,関係者の請求があるときは,これを呈示しなければならない。
3 第1項に規定する権限は,犯罪捜査のために認められるものと解してはならない。

(行政処分) 

第13条 知事は,指定種鶏業者又は指定ふ卵業者が,この条例又はこの条例の規定に基いて知事が定めた事項に違反したときは,登録を取り消すことができる。

(罰則)

第14条 第10条の規定に違反した者は,2万円以下の罰金に処する。
2 第12条の規定による報告をせず,若しくは虚偽の報告をし,又は当該吏員の立入検査を拒み,妨げ,若しくは忌避した者は,5,000円以下の罰金に処する。

(両罰規定)

第15条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関して前条の違反行為をしたときは,行為者を罰する外,その法人又は人に対しても同条の罰金刑を科する。

(その他)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は,知事が別に定める。

附則
 この条例は,公布の日から施行する。
(別記様式省略)

岡山県規則第85号(昭和29年12月24日付)

岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例施行規則

(登録時期)

第1条 岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例(昭和29年岡山県条例第87号。以下「条例」という。)第3条の規定による指定種鶏業者又は指定ふ卵業者の登録は,毎年10月1日から12月末日までの間に行うものとする。

(登録の申請)

第2条 条例第3条第1項の規定により指定種鶏業者又は指定ふ卵業者の登録を受けようとする者は,別記様式第1号又は別記様式第2号の申請書を知事に提出しなければならない。

(更新の登録)

第3条 条例第3条第3号の規定により更新の登録を受けようとする者は,登録の有効期間満了の前1箇月までに別記様式第3号の申請書を知事に提出しなければならない。

(登録の取消申請)

第4条 条例第3条第4項の規定による申請書は,別記様式第4号によらなければならない。

(登録事項)

第5条 登録は,下に揚げる事項について行うものとする。
 一 登録番号及び登録年月日
 二 申請者の氏名又は名称及び住所
 三 営業場所
 四 指定種鶏業者にあっては種鶏の品種,飼育羽数,指定ふ卵業者にあってはふ卵器の形式別,入卵能力別台数
 五 その他必要な事項

(飼育施設の基準)

第6条 条例第5条第2号の規定による飼育施設の基準は,種鶏10羽ないし15羽に対し1坪程度の鶏及びこれとおおむね同じ広さの運動場を設けており,且つ,家畜保健上不適当と認められないものであるものとする。

(登録証の書替)

第7条 条例第6条第2項の規定により登録証の書替を受けようとする者は,別記様式第5号の申請書に登録証を添えて知事に提出しなければならない。

(登録証の再交付)

第8条 条例第6条第2項の規定により登録証の再交付を受けようとする者は,別記様式第6号の申請書を知事に提出しなければならない。

(種鶏の検査)

第9条 種鶏の検査は,知事が任命した検査員が行う。
2 指定種鶏業者の登録を受けようとする者又はその代理人は検査に立ち会い,検査員の指示に従わなければならない。
3 前項の規定に違反したときは,知事は,検査を行わないことがある。
4 検査に合格した種鶏には,別記様式第7号の脚帯を装着する。

(種鶏検査の合格基準)

第10条 種鶏検査の合格基準は,下のとおりとする。
 一 血統明確であること。
 二 生後6箇月以上経過したもので発育が良好であること。
 三 品種の特徴を備えていること。
 四 白痢保菌率が7%以下の鶏の中で飼育されたひな白痢陰性鶏であること。
 五 体質強健で悪癖,又は悪質の疾病がなく,且つ,奇形でないこと。

(指定種鶏業者の遵守事項)

第11条 条例第7条第1項但書の規定により指定種鶏業者の登録を受けた者が登録後新たに種鶏を飼育しようとするときは,別記様式第8号の申請書を知事に提出して検査を受けなければならない。
第12条 条例第7条第3項の規定により指定種鶏業者が備え付ける帳簿には種鶏の品種別,月別飼育数及び種卵の販売月日別,販売先別,品種別数量を記入しなければならない。

(指定ふ卵業者遵守事項)

第13条 条例第8条第3項の規定によりふ卵器の消毒は,別表第一により実施しなければならない。
2 種卵は,下の各号に掲げる品種につきそれぞれ当該各号の重量以上のものでなければ,これをふ化してはならない。
 一 単冠白色レグホーン種53グラム
 二 その他の品種50グラム
第14条 第8条第4項の規定により,指定ふ卵業者が備え付ける帳簿には,下の事項を記録しなければならない。
 一 種卵の購入月日別,購入先別,品種別数量
 二 種卵の入卵月日別入卵数量及びふ化月日別初生びなの羽数
 三 初生びなの販売月日別,販売先別羽数

(初生びな証明票の交付基準)

第15条 条例第9条第1項の規定により初生びな証明票の交付を受けようとする者は,別記様式第9号の申請書を知事に提出しなければならない。
2 初生びな証明票の交付基準は,ふ卵器(入卵能力1万箇入)1台について証明票100枚以内とする。

(手数料の納入方法)

第16条 条例第11条に規定する手数料は,相当額の岡山県収入証紙を申請書にはって納めなければならない。
2 前項の収入証紙は,申請書が消印してはならない。

附則
1 この規則は,公布の日から施行する。
2 昭和29年度における指定種鶏業者又は指定ふ卵業者の登録は,第1条の規定にかかわらず,昭和29年12月及び昭和30年1月において実施するものとする。

(様式4号以下省略)

別表第1

区     分 方          法 摘 要
フォルムアルデヒードによる消毒  容積1立方メートルについてフォルマリン15グラム以上を噴霧若しくは蒸発させ,又はフォルムアルデヒード5グラム以上を発生させ,同時に28グラム以上の水を蒸発させて処置し,7時間以上密閉する。この場合において温度は,消毒効果が不確実にならないようおおむね摂氏18度以上に保っておくこと。  ふ卵開始前5日以内に実施すること。
クレゾール水による消毒  クレゾール石けん液3%に97%の水を加えて充分にふ卵器内部にさん布する。

別記様式第1号

       指定種鶏業者登録申請書
  岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例第3条第1項の規定により,指定
 種鶏業者の登録を申請します。
    年  月  日
              住  所
              営業場所
              氏  名(法人にあっては名称及び代表者名) ○印
 岡山県知事         殿
営 業 場 所 種鶏品種 飼育羽数 飼育施設の
概 要
備   考
合計
備 考
  飼育施設の概要欄には,鶏舎1棟ごとの坪数及び運動場の坪数を記載すること

様式第2号

      指定ふ卵業者登録申請書
  岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例第3条第1項の規定により,指定
 ふ卵業者の登録を申請します。
    年  月  日
              住  所
              営業場所
              氏  名(法人にあっては名称及び代表者名) ○印
 岡山県知事         殿

営業場所
ふ卵場の名称
ふ卵器の型式別,入卵能力別台数

様式第3号

   指定種鶏業者(指定ふ卵業者)登録更新申請書
  岡山県指定種鶏業者及び指定ふ卵業者登録条例第3条第3項の規定により,指定
 種鶏業者(指定ふ卵業者)の登録の更新を申請します。
    年  月  日
              住  所
              氏  名(法人にあっては名称及び代表者名) ○印
              登録番号
              登録年月日
 岡山県知事         殿