ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年2月号 > 岡山種畜場講座 飼料作物講座(七)青刈燕麦について

岡山種畜場講座

飼料作物講座(七)
青刈燕麦について

渡辺技師

 本誌8月号及び9月号で飼料作物集約栽培の一環として,秋冬作の場合は燕麦の栽培については燕麦の栽培と関連の上で考慮すべきであることを,申述べてきました。 即ち燕麦は燕菁の間作として,ザートを混ぜて播種するか,若しくは燕菁を収穫した後に単播するか,の何れかでありました。尤も燕麦を年3回或は年2回刈取る目的で9月上旬頃播種する方法は自らこの問題と離れて来ますが,貴重な耕地,狭小な面積に限られる飼料専用圃場のことを考えますと,年内刈取りの燕麦に相当する生草量をサイロの利用か,或は乾草によって補填することにして頂いて,燕麦の栽培は前述の様に集約栽培の一環として考慮せねばならないと存じます。これは反当栄養生産量の点から,また土地生産力の増進と言う立場から考えても,当然なことと存じます。乳牛飼育に当ってサイロの重要性が斯様な所にも存在することを銘記せねばならないと思います。斯様な訳で燕麦を集約栽培の一環として栽培する場合でも,燕菁の間作とするか,また後作として単播するかは,酪農家個人々々の営農条件によって決定されねばなりませんが,前者の場合は播種期が11月中旬頃ですから,当然ザートと混播が出来て青刈生草の栄養価が高くなってきます。
 しかしこの場合は播巾がすくなくとも2尺5寸以上に,時によると燕菁の成長が非常に良好の場合は3尺までに拡げねばなりませんから,燕菁及び燕麦の適巾である2尺に比較しますと,耕地の利用面積が30%程度,しかも2つの作物に亘って贅沢に使用される事になります。後者の場合は畦巾が2尺で結構ですから,反当の生草生産量は前者に比して,相当多量となります。しかも燕菁跡地を全面耕起きすることによって,雑草の抑圧にも亦土壌の物理的改善にも効果があって,次に栽培を予定される青刈玉蜀黍及び青刈向日葵の早期播種(4月上旬頃)としての間作が比較的容易となり,尚これが生育にも好影響が有ります。ただザートを混播することが出来ないから(播種期を2月上中旬として)栄養生産量が単位生草量から見て劣ることが欠点で有ります。これは総収量を著しく増加することで充分補って余りが有りますから,結局の所この方法によることがより進歩的で有ると思われます。所が燕麦の春播については従来これは私の不勉強の為か,その資料が余り見当りません。中四国地区では兵庫県農試の試験調査が僅に見られていた程度でありましたが,本講座の前担当者の三秋技師が一昨年12月下旬までの間を10日おきに播種して,その播種期の巾を調査しました結果に基いて本講座で燕菁収穫後に燕麦を播種することが御すすめ出来た訳で有ります。所が今回本県農業試験場飼料作物研究室の田中技師が,時報第419号で春播栽培について,これが調査成績を発表し秋播の場合に比して毫も遜色のないことを報告せられていることは,何んとしても心強いことであります。冗長に亘るかも知れませんがこの概要を次の様に御知らせ致します。

燕麦の春播栽培について

(一)耕播概要

 畦巾4尺,2条播とし播種量は反播種当8升で2月14日播種,肥料は基肥として硫安4貫,過石8貫,塩加3貫として,追肥としては4月23日硫安反当4貫を施用した。

(二)調査成績
品   種 1坪当収量 反当換算収量 刈取時の
生育状況
刈取時
の草丈
  s s   p
兵庫早生 9,600 2,800 乳 熟 期 106.5
リゴー 14,400 4,320 穂 揃 期 119.6
北海道在来種 15,600 4,680 開花終了期 118.1
前進 18,000 5,400 穂 孕 期 123.3
ビクトリー1号 18,400 5,200 135.3
ホワイト・ベルジアン 20,000 6,000 136.4
カータース・ラクスター 19,200 5,700 131.5

 以上の通り収量から見ても勿論秋播に比較して劣ってはいません。品質から見ると秋播よりも水分多く柔かで家畜の嗜好によりよく適していることを所見として申述べています。従って今まで記載したことから,菁蕪を現在栽培している方は,この方法によって春播栽培することを御願いします。しかし寒風の強い,乾燥した所では芽出し種子を播き,その上に籾がら等で薄く覆うてやれば発芽及び生育に良い結果を得られると思います。