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畜産団体統合に単行法
全国畜産大会で要望

 1月19日午後1時より東京港区役所赤坂大講堂において,日本畜産会,全国畜産会に主催により,全国畜産大会が全国から500名の関係者が出席して盛大に開催された。
 大会は河野農林大臣,加藤,北村代議士,井上大蔵常任委員長の挨拶に始まり,小笠原全畜連会長,岸参議が議長となって,各種緊急課題につき気焰を上げ,決議事項についてそれぞれ関係機関に要請することになった。
 大会のスローガン,可決された問題,宣言の大要は次のとおりである。

大会スローガン

一.畜産で国を興そう
一.生産者の団結で畜産を興そう
一.畜産組織は現状から脱皮しよう
一.山野の荒廃を草で救おう
一.生産者から消費者へのルートを正そう
一.大衆の台所が喜ぶ畜産にしよう
一.米麦農政を革新させよう

問題

一.畜産団体に関する単行法制定の件

 現在における畜産団体は,中央,地方共に,弱小であって,畜産の振興に副い得ないのが実情であるので,畜産関係者は速かに指導組織の強化と畜産同志の強固なる結合を図るために,畜産団体に関する単行法(仮称畜産協同組合)の制定方要望する。

二.畜産課税の適正化に関する件

 畜産課税について十分の検討を加え,その適正化を図るため,特に下の3点について急速に実現方を要望する。
 1.所得税法を改正して畜産所得の計算に当り自家用畜産その他小規模畜産より生ずる所得は控除する規程を設けること。 
 2.所得税法を改正して家畜のへい死による損失は所得金額から控除すること
 3.農家が耕種農家と畜産を兼営する場合,畜産の必要経費を畜産の収入と耕種農業の収入とに接分して計算するため畜産の必要経費を過少にし,結果として畜産所得を実際に即せず甚しく過大にしたものを以て畜産の課税標準とする不合理を是正すること。
 以上のほか追加議題として次のとおり決議された。
一.牧野改良施策改良確立に関する件
(岐阜県販購連)
一.家畜取引法の急速制定実施の件
(岡山県畜連)
一.全額国庫支弁の畜産専門技術員を畜産団体に設置の件
(兵庫県畜連)
一.乳肉卵を主食料として価格に補償制を設定の件
(愛知県畜連)
一.鶏疫の災害防止に関する件
(愛知県畜連)
一.蜜蜂の腐蛆病に関する件
(日本養蜂協会)
一.家畜改良増殖法の改正に関する件
(中国和牛協会)

畜産団体に関する単行法の構想試案

 畜産の振興をはかり併せて畜産農家の経済的向上を図るためには,現行農協法以外に畜産団体に関する単行法を制定する必要がありと認める。この単行法の大体の構想は行の通りである。
一.単行法により組織するべき団体は,経済行為を主とする畜産団体(以下に仮に「畜産協同組合」及び「畜産組合連合会」という。)と畜産指導及び畜産農家の利益代表を目的とする畜産団体(以下仮りに「畜産会」という。)の2種とする。何れも法人とする。
二.畜産協同組合は,家畜を飼養する個人を以て正組合員とすることを原則とし,組合員は,自由加入自由脱退とし,組合の地区についても制限を設けない。出資組合であることを原則とする。
畜産協同組合連合会は,畜産協同組合及び畜産協同組合連合会を会員とする出資連合会としその他の条件は畜産協同組合と同様とする。
三.畜産協同組合及び畜産協同組合連合会の事業の主なものは,下の通りとする。
 1.家畜の改良増殖に関する施設
 2.家畜の衛生に関する施設
 3.牧野維持改良及び飼料の自給に関する施設
 4.畜産に必要な物資の供給
 5.家畜及び畜産物の市場,屠場その他畜産に関する共同利用施設
 6.畜産に関する物資の運搬,加工,貯蔵,販売又は孵卵
 7.家畜の飼養及び,その利用
 8.畜産に必要な資金の貸付及び手形の割引
 9.貯金の受入
四.畜産会は,都道府県畜産会(仮称)及び中央畜産会(仮称)とし,都道府県畜産会は,都道府県毎に1個とし,その設立は,自由とし,これが成立した時は,その地区内の畜産協同組合は当然加入する。
但し上級の連合会が加入しているときはこの限りでない。農業協同組合及び農業協同組合連合会は,自由加入自由脱退とする。
中央畜産会は,全国を通じ1個とし,その設立は自由としその成立の上は,都道府県畜産会並びに都道府県の区域を越える区域を地区とする畜産協同組合及び畜産協同組合連合会は,当然加入とする。
農業協同組合及び農業協同組合連合会は,自由加入,自由脱退とする。
畜産会は,凡て非出資の経費賦課団体とする。
五.畜産会の業務の主なものは,下の通りとする。
 1.畜産に関する経営及び技術の指導
 2.組合及び連合会の組織,事業及び経営の指導
 3.畜産に関する教育及び情報の提供
 4.畜産に関する指導者の養成
 5.会員の連絡協調
 6.家畜の登録及び能力,検定
 7.畜産を行うものの利益を代表する運動及び行政庁に対する建議
六.国は,畜産会の経費の一部を補助するものとする。

宣言

日本経済再建の企画漸く真剣味を加え,国家的長期経済計画が相次いで樹立される趨勢にある時の食糧自給の大道に副い,且つ日本農業改革の手段として,畜産の振興はいまや農林政策の中心課題となるに至っている。
この時に当り,畜産生産を飛躍的に増大すると同時に,農家経済を充実し,優良低廉なる畜産生産物を国民に供給することは,われらの深く決意するところであるが,これがため政府が法制,行政の各方面に亘り画期的施策を講ずべきは勿論,われら畜産関係者は,われらの畜産団体を革新強化し,畜産指導の浸透と,農家経済の充実発展を図り,以て国家の要請に副わんとするものである。
上宣言する。

昭和30年1月19日  
全国畜産大会