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岡山県和牛振興大会
岡山市で開催

 岡山県畜連,全国和牛登録協会岡山県支部,岡山県家畜商組合が発起人となり,1月31日午前10時30分より岡山県畜連において,岡山県和牛振興大会が開催された。
 参集者は各郡畜連会長及び家畜商組合長,和牛登録協会関係者,その他,約40名で,まず岡山県畜連大河会長から発起人として挨拶があり,引続いて惣津県畜産課長の御挨拶,大河会長から全国和牛振興大会,全国畜産大会の経過報告があった。
 次いで議長として大河会長を選任し,議事に入り次の諸問題について協議,満場一致で可決し,各関係機関に対し要望した。

一. 和牛導入資金の増加と融資条件緩和に関する件

 有畜農家創設維持法による和牛の導入計画は,昭和28年に於て8万頭その必要金額は,28億円であるのにかかわらず,実際資金の融通を得て導入したものは,35,000頭,9億7,500万円に過ぎない。これは,農林中央金庫の資金供給額過少であることと資金融通が導入事業の実態よりも,之の導入機関である組合の経営状態に重点を置かれる結果であるので,之の緩和を図る為農林中央金庫の和牛導入資金の枠を拡大すると共に,資金供給機関としての一般金融機関(普通銀行,信用組合,相互銀行等)の活動を容易にし,且つ融資条件は導入事業の実態におき,更に政府は金融機関に対する損失補償を,損失の金額まで行い得るよう拡大することを希望し,尚岡山県に対する融資の増額を要望する。

二. 種畜設置増加に関する件

 優良な種畜が充分に利用出来ることは和牛改良生産の基礎であることは言うまでもないことであるが,近年各件共に生産を目論見つつある現況にかんがみ,全国に誇る優良和牛の生産県岡山としては,より一層優良な和牛生産に邁進するため,優秀種畜の確保をはかる共に,これに対する予算の増額を要望する。

三. 種畜改良機関(種畜場等)の拡充整備に関する件

 種畜は常に改良に努めなければ劣悪化する虞があるばかりではなく必要な頭数を得ることは困難である。けれどもこれを民間で為すことは到底不可能である。県当局は種畜の研究改良機関である種畜場等の拡充整備により優良種畜を民間に供給する措置をとられんことを要望する。

四.和牛販路拡張費増加に関する件

 岡山県は年間3万頭の和牛を生産し,2万頭,約6億円を県外に移出しているが,これらを有利に販売することは有畜農家の一大関心事であり農家経済に及ぼす影響も甚大であります。亦岡山県畜産の発展もその主体である和牛の販路拡張を蔑にしては成立たないものであるにもかかわらず県当局は之に対する施策に乏しい状態にあるので,今後強力な施策を予算措置を要望する。

五.岡山県和牛振興会結成の件

 (追加議題として池田小田郡家畜商組合長提出)
 郡段階以上の畜産団体をもって,岡山県和牛振興会を設立する。規約,その他設立準備は県畜産連及び和牛登録協会岡山県支部が行い,2月10日前後に創立総会を開く。

宣言

 日本経済再建の企図漸く真剣味を加え,国家的長期経済計画が相次いで樹立される趨勢にある時,食糧自給の大道に副い,且つ日本農業改革の手段として,畜産の振興は,いまや農林政策の中心課題となるに至っている。
 この時に当り,畜産生産を飛躍的に増大すると同時に,農家経済を充実し,優良低廉なる畜産生産物を国民に供給することは,われらの深く決意することであるが,これがため,県は畜産行政の各方面に亘り画期的施策を構ずべきは勿論,われら畜産関係者は,われらの畜産団体を革新強化し,畜産指導の浸透と,農家経済の充実発展を図り以て国家の要請に副わんとするものである。
上宣言する。

昭和30年1月31日    
岡山県和牛振興大会