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岡山種畜場講座

4月の飼養管理

乳牛

 桜花乱漫として咲き乱れポカポカと暖かい時候となり万物悉く甦り,生気を取り戻す訳であるが,乳牛においてもそろそろ冬衣を脱ぐ換毛の時期で,充分に手入れをして光沢のある春衣装に早く換えてやる必要がある。又天気の良い日には努めて放牧し運動と日光浴を充分に施し,紫外線照射によるビタミンDの増生と充分なる運動によって化骨の造成をはかる。特に仔牛においてはこの点が重要であり発育を一層増進させるのに役立つものである。
 野草,牧草等も芽を吹き,この若芽の中には栄養分が可成り多量に含有し蛋白質は最も豊富に含まれ,鉱物質も適当にあり草を充分に給与し長い冬厩での栄養不振を一挙に挽回する必要がある。然し飼料を急変し青草を急に多量給与する時は鼓張症を起したり下痢をしたりすることがあるので除々に給与することが肝要である。一般に青刈類の給与量は乳牛生体重100㎏にたいして8㎏位が適当である。なお春耕に具えて平素から蹄の整理を懇切にしておく必要がある。

養鶏

 春を迎え,全ての動植物は元気良く立上り躍動の時期であります。4月は育雛にも適し成鶏は3月以上に盛んに産卵を続けて行きます。
 防寒用に取付けたものは取除き通風,採光日光の照射を十分にしてやる事が大切であります。
 産卵の最盛期に於ては産むがままに放置して置かず,産卵率に合わした飼料配合並びに量を給与して行き,飼料不足に依り鶏を衰弱させ休産さす様な事は絶対にさせぬ様に気を配り,又最盛期であるからとて動物蛋白質を定量以上に多給して強制産卵をさして反って体を衰弱させ1,2ヶ月後に産み疲れが出て卵高の期に休産さす様な事は愚な事でありますから十分飼料の配合,給与量に注意されて行く事が必要であります。
 4月は産ませる事にのみ熱中して愛鶏を病廃鶏に陥れぬ様に或一程度温存して行く事が好ましいと思います。
 最盛期でありますから飼料配合,給与量に注意すると共に又一面微量栄養素の給源である所の緑餌,カルシウム分,腐植土は絶対不足せぬ様に十分注意し度いものであります。特にバタリー飼育に於て腐植土の給与に今一度心を配ってみましょう。
 飼料の面に於て,単味で購入し配合して居られる方で魚粉を使用されて居られる方は之の品質の良否に十分関心を持たれる事が大切であります。最近魚粉の中に貝殻粉末,落花生の殻粉末,更に鶏体に悪影響を与える物が混入されて居る様であり,悪質,変質のものは価格は安くとも経済的に産卵率に於て,鶏体に対してその影響は甚大であります。魚粉購入に当っては信用ある販売所より良質のものを購入する事が肝要であります。
 盛産卵中の成鶏及び発育中の雛に於て飼育管理が不良の場合は栄養素並みに微量栄養素の不足により異嗜を生じ,又つれづれなるままに管理者の想像に絶する様な物を嚥下し之が原因で斃死する事があるものであります。針の如き尖鋭物も牛のみでなく鶏に於ても危険物であり之を嚥下して胃壁を貫く場合があるのであります。従って栄養の不足せぬ様に周到な飼育管理を実施し,雛に於ては翼帯等の脱落せぬ様に丁寧確実に実施し,若し脱落して居る時は速かに除去し,又育雛器の工作時の釘の始末を厳重にする事等は必要な事であります。
 育雛最大の障害はコクシジウム症と思われます。クコシジウム症は孵化後1―2ヶ月の鶏が最も罹り易いものであります。之の病源のオオシストは抵抗力が非常に強くて鶏の居る所には何処にでも存在すると言っても過言ではないと思います。でありますから,その心算で予め育雛器の消毒を十分行い,又管理上ではコクシジウム症と密接な関係があり之の誘因となる腸カタールを発生させぬ様に飼料並びに温度等に注意し,特に排温時に急激な温度の変化を避け,外界の温度に遂次順らして抵抗力をつけて行く様にする事が肝要であります。
 丈夫な雛を育て予防に万全を期して若し万一発生を見た時は早期に発見し初期に徹底した薬物療法を行い被害を最小限に止ましょう。

養豚

 4月は仔豚の育成には1年中で最もよく育つ時です。冬に生まれた仔は電燈とか湯タンポ等で温めてやらなければならないため随分手数がかかりますのに,その割にうまく育たぬものです。春仔は春の麗らかな光を浴びて仔豚もすくすくと育ってゆくものです。
 母乳の出の良しが仔豚の発育を左右するものです。乳の出が悪いとこぶれた仔になり骨折り損のくたびれもうけとなります。母豚の飼養管理がうまくいっているかどうか検討せねばなりません。乳の出がよいよう十分な栄養と質のよい蛋白質を与えなければなりません。しかし,蛋白を多く与え過ぎますとアシドージスを起し,又苦土(米糠飼料に多い)を多く与えた場合,脂肪の多いえさ,母豚の乳房炎に罹っている時,石灰不足等は仔豚が下痢(白痢)を起します。
 ですから母豚のえさの配合に注意してやって下さい。白痢は最初固い糞をし症状が進みますと軟便にかわり下痢をしてくるものです。色は白色とか帯黄色,汚緑色をします。種豚家はよくこの白痢に苦しめられるものです。米糠や残飯のようなえさは量を制限してやることです。と同時に青草を欠かさず与えることです。白痢は早期発見,早期治療が肝要です。手当がおくれてくると癒りがむつかしくなってきます。
 本月は青草がぐんぐん伸びてきます。草と養豚経営をもっと考えてみましょう。豚も粗飼料の利用価値は大きいものです。豚が大きくなるに従ってよく草を食べるものです。(牛,羊などの反芻獣や馬等より消化率は悪いが)高価な濃厚飼料ばかりにたよらない方が育成豚でも繁殖豚でもよい結果を得られます。濃厚飼料にたより,これを過給すると蛋白過多,脂肪過多となり易いし,カルシュームが不足し又ビタミンも不足し発育を悪くします。
 濃厚飼料にたよることは経済的には飼料費を多くかけ栄養的には悪い結果となることになります。春は特に草を出来るだけ利用しましょう。よく仔豚が下痢して困っていたが妊豚の時から粕飼料(カブ葉,青刈青草等)を与えてこの下痢が止った例を聞きます。高梁市巨瀬町の上村氏は1反5畝の桑園をうまくし間作し豚のえさの自給飼料計画をたて年間飼料費の7割を自給してやっておられます。この成績が非常によくて標準以上の発育を示しています。
 上村氏のように給与飼料の8割とまでゆかなくとも濃厚飼料の5分の1-3分の1位は自給飼料で補ってゆきたいものです。豆科の若草その乾草,青刈飼料,根菜等豚によいえさです。又野草でもアカザ,ヨモギ,ハコベ,イタドリ,アザミ,オオバコ,等利用価値が高いものです。
 4月は飼料作物播種時で,馬鈴薯,小松菜,青刈大豆,玉蜀黍等です。特に馬鈴薯の播種をいたしましょう。品種は収量の多いものを選ぶことが得策です。
 肥育用の牡仔豚は離乳前に去勢をせねばなりません。又離乳は生後50-60日位で体重2-3貫位の時にいたしましょう。なお豚コレラ,豚疫,豚丹毒,豚の伝染病の流行し始める頃です。豚舎の消毒,予防注射をし,転ばぬさきの杖と致しましょう。

上村氏の年間桑園間作栽培計画