ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年4月号 > 畜産ニュース 蜜蜂の腐そ病対策成る

畜産ニュース

蜜蜂の腐そ病対策成る

 去る2月中旬農林省主催の協議会で協議の結果,蜜蜂の腐そ病は家畜伝染病予防法の適用外であるが,県自体で充分防疫を行い,この病気の未然防止を図る様指示があり,2月21日開催された養蜂委員会で自衛防疫の線で協議した処,県外防疫については現在までに発生している県に飼われている蜂群は1ヵ年間県内転飼を許可しない方針で進み,これ以外の県外蜂群については,その県の検査証明書を添付の上,申請すること,又県内養蜂家で県内転飼の場合は当該家畜保健衛生所長の発行する証明書が必要となった。
 現在発生している腐そ病はアメリカ型で,北海道,青森,千葉,岩手,福島,静岡,長野,富山,石川,岐阜,三重,鹿児島に発生しているが,この病気の症状及び伝染方法は次のとおりである。

1.症状

 腐そ病は芽胞をもつ極めて抵抗力のある細菌である。(例えば5%石炭酸溶液には2ヵ月,熱湯中では蜜及び蝋を含まないときは15分間では殺すことができないといわれる。)
 この病気は蛆の養育が終って,その房に蓋を設ける頃から発病する。つまり房に蓋をせられたのち蛆が頭部を房の口の方に伸ばしてからが普通で,発病した蛆の横たわっている房の蓋は少し凹んでおり,蓋は黒味がかった褐色を呈している。又蓋には孔があいており蓋をマッチ棒などで剥ぎとってみると病蛆が横たわり褐色(コーヒー色又はチョコレート色)に腐り,房の底に沈んでいる状態を示し,酸敗臭様の不快臭を発散している。病蛆を取り出すと納豆の糸を引く様に,1,2寸の粘稠性をもち,時間的に経過したものは乾燥している。この病気にかかっている巣脾を取出してみると蜂は巣脾のまわりに密集している傾向が多い。蜂児は全部病気に罹っているわけでなく少数の蜂児が発病しているので特に注意が必要である。

2.伝染方法

 普通の伝染は盗蜂及び汚染巣脾,汚染巣箱の購入による。蜂群がこの病気にかかり弱っている場合は他の群からその貯蜜を奪う場合,病菌を搬んで行くことになる。又病群の蜂が他の巣箱に迷いこむ場合も伝染する。