ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年4月号 > 編集室より

編集室より

◎今朝は珍らしく裏庭で鶯の声を聞いた。それこそ何年ぶりかのことである。岡山市内で鶯の声等とはもう過去の夢の様に思っていたのに,今朝は早くから来て美しい声を聞かせてくれた。じっと聞いていると家の中のカナリヤが急に鳴き出した。夢を破られた様でコラと怒ってみてもなかなか鳴き止まない。怒る方が無理かも知れない。2羽の小鳥の声に春の来たことを思い,久しぶりにいい心持ちになる。都会の騒音の中にも小鳥の声が聞かれることは人の心にうるおいを与えてくれるもので,もっと樹を多くして小鳥の家を与えたいものである。空気銃等を持って走り廻っている子供の姿を見ると何か憤りを感じるが,もっと小鳥に保護を加えてやりたい。

◎国産脱脂粉乳の今回の事件は他人事ではなく,深く考えさせられると共に,残念でたまらない。折角の与えられた機会もこれで又後戻りである。人によってはこれだから国産品は駄目だとも言っている。1メーカーの不始末はこの様に大きな反響を生むものである。それが乳業界不振の時であるだけに影響する処は大きい,集団飲用の特例にも決してよい結果は与えないであろう。原因を明らかにして,国民の不安を除いてほしい。

◎岡山種畜場問題も大詰に来た。来るべきものが来たのかも知れないが,建設をやった者達には一抹の淋しさがある。移転先は何処になるか知らないが,本県畜産の将来のため再び移転の必要のない様にしたいものである。蔭の力が動いているとも聞く,自薦も相当にある様である。総ては新知事,新議員の仕事として残されることである。新らしい構想で大きく発展したい。

◎蜜蜂の腐そ病が問題になっている。これは独り養蜂界だけの問題ではなく,果樹王国の本県にとっては大きな問題になって来る,それでなくても農薬の散布で昆虫が少くなり,今又腐そ病で蜜蜂が被害を受けて来ると虫媒花の受ける被害も大きくなって来るわけである。相手は小さい蜂であるが結果を考え慎重に取り扱って行きたい。

◎本号よりZ氏の登場を願った。畜産人寸描に得意の執筆を続けて貰うがZ戦闘機ならぬZ型万年筆による切捨御免と来るそうである。その第1回が惣津御大に来た。御感想は如何?(3.7)