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巻頭言

明日への希望

惣津律士

 あわただしい選挙が終わって県政に新しい空気が導入されようとしている。選ばれた方々は輝かしい希望と抱負を以って意気高らかに公約の履行に邁進せられんとしている。誠によろこばしい事であり,ほほえましい光景である。これらの方々が挙って私心を去り党派を超越して至誠の心を以って県民の福祉の増進に努力せられん事を160万県民は心から要望しているものであって,私としてもこれを契機として畜産施策が弥が上に健全化される事を切望している事は今更申上げるまでもない。
 時代の変遷に伴う経済界の流れに対処するには,正しい認識と確固たる決意を必要とする。徒らに流れの渦中にもがきながら世をなげき,責を他に嫁して自己を慰むる事は断じて許されない。我々は人智の限りを尽くして、正しい構図を立案し,一歩一歩前進する事が何より大切であって,一時の弥縫策に終始する事の愚に落ち入ってはならない時代である。げに戦後稀に見る苦難の年であるが,この時こそ将来への基礎を確立し得る絶好のチャンスであると我々は思いたいのである。牛価,乳価の安定化に対する方策は今や新しい角度から講ぜられるべきであり,現に講じられつつあるこれは一組合とか一県とかの力のみでは単なる応急策に止まる恐れが多分にあるが,数県又はそれ以上の共同の力を結集した場合は世論の信用を得て相当期間に亘る安定化が期せられるものであって,畜産物の需給調整に依る有畜産家の安定化に貢献し得る公算が大である事を私は信じている。
 私は我国の畜産物流通の現在の形が速急に改変される事は期待し得ないけれども,畜産物が国民生活の中に容易に浸透するためには関係者がもっと反省して,現状を逐次打破しなければならない事はひとしく感じている事である。
 畜産界の進む明日への道は我々が勇気と自信を以ってきり開く道であって,更に社会から真に愛される道でなくてはならない。私はと角沈滞し勝ちな昨今の畜産界を見るにつけ以上のことどもを痛感せざるを得ないのである。