ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年6月号 > 衛生所だより

衛生所だより

草間家畜保健衛生所

 新見市とは言え,海抜400mの石灰石台地―高天ヶ原の別称にそむかず,交通の便とては一日4往復のバス,と言っても時間的に偏しているため午前,午後各一往復と言っても過言ではない。草間町(当所設置場所)に於いてはオートバイとては当所に1台あるのみ。おまけに当所の近辺は黒ぼく地帯(酸性腐蝕土),降ってよし照ってよしで,素足で歩こうものなら忽ち真くろ。まさに交通的,地理的意味に於いて県下26衛生所中最右翼に属する。最大限にオートバイを使用し,なお且つ徒歩を使用して,小半日を要する地帯が草間町内にすら存在するのだから。
 しかし人情は交通の便に反比例して,当所設立(昭和24年2月)以来,地元運営委員会の筆舌につくしえぬ活動によって,物心両面にわたり歩一歩と改善され,宿舎に於いて,現今の住宅難をどこ吹く風と,優に4世帯が収容され,現在進行中の事務室等の増築によってさらに1世帯(ただし独身者)が収容し得,附近の天然記念物羅生門,満奇洞の観光施設の充実とあいまってリクレーションにはことかかない。
 さらに現在新見市合併に伴う3ヵ年整備計画によって,実験室,薬室,診療室の改造,機動力の増強,簡易水道の完備車庫精液採取場の新築,さらに伝書鳩による千屋種畜場との精液輸送と事業面の充実を期している。
 それにあらぬか,新見市が全国第2の広大な面積を有すると同じく,当所の管轄区域も新見市及び阿哲郡の大部と拡大され,管内の面積に於いてもまさに県下第一等,従って,和牛王国阿哲の,家畜防疫に関しての当所の責任たるや重且大というところ,種雄牛に於いてその数19頭(人工授精12,自然交配7),育成中のもの34頭。和牛総頭7,120頭(生産頭数3,066頭)
 その他の家畜に於いては見るべきものなく,最近めん羊がやや増加しているにすぎない。つまり和牛一辺倒であり,そのためにその経済的動向には一喜一憂するところで,本年3月草間せり市場に於いて,600円で牝犢が売買されたことは,飼育者に異常なショックを与えている
 それと共に,当所に於いて本年も亦課題としているのは,和牛に於ける肝蛭症の浸潤の問題で,30%前後の寄生率が見られ,この面からする繁殖及び育成に関する解明に努力しつつあるわけである。
 以上当所のプロフィールを記した次第で,悪文のほど御容許をこう次第である。