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岡山県種畜場講座

7月の飼養管理

岡山種畜場

乳牛

 愛畜心とは,牛の身になって世話をすることだ,と一応首肯出来る,通り文句ではあるが,暑熱というのに,乳牛を窓のない熱い牛舎に収容して,然も蚊,蝿の猛襲など,等閑視しているのを良く見かけますが,乳牛は寒気に対するより暑熱時に弱いので,通風換気の点には,充分留意することを忘れてはなりません。
 寒暑の影響は,乳量及び乳質ともに現れるもので,一般に脂肪率は,8月に最低を示し,それから1月迄は次第に増加の傾向を示します。逆に乳量は,6,7,8月頃が最高を示すものです。多くの研究によりますと,牛乳の脂肪率の影響は泌乳期の進むことによる影響よりも,温度による影響の方が大きいのであります。ホルスタイン種では,脂肪率は冬期よりも夏期の方が0.6%位低下し,ジャージー種は1.1%低下するといわれています。
 蝿,蚊の昆虫群の防除は言うまでもなく,D・D・Tの散布により駆除できますが,夜寝る前に除虫菊の粉末を燻すのも効果があります。濃厚飼料を,給与した飼桶は,常に清潔を保ち,水洗,乾燥しておきましょう。食べ残しの飼料は一晩で腐り酸っぱくなりますから,下痢や皷張症を起して思わぬ失敗を招かないよう注意しましょう。

養鶏

 岡山地方の7月の気温は平均26度で,年平均の14.6度に比較すると11.3度も高温であり,汗腺を有せず,暑さに特に弱い鶏にとっては正に苦境に立入るのであります。鶏が両翼を開いて口を開けハアハアと呼吸して居るのは両翼開張により体温の発散を促進すると共に呼吸により体温を調節して居るのでありまして,此の時には特に暑苦しいのであります。
 梅雨があけたからとて,油断は禁物であり,7月は防暑対策が肝要であります。鶏舎の構造,植樹等についてはさて置き,応急的に処置出来る事としては通風が第一でありまして,窓は出来るだけ広く開放し,尚通風不良の場合は出来れば更に窓を拡大してやる事が必要であります。特に地窓を作り鶏の体の高さに於て十分通風が出来る様にしてやります。又鶏舎の周囲に樹木があれば幸いでありますが,若し無い場合は糸瓜,朝顔等を植え,特に西日の当らぬ様にしてやりましょう。又鶏舎の周囲に湿地があると鶏舎内に吹き込む風も熱せられますから,鶏舎周囲には緑餌,クロバー等を植え緑菜でうめる様に致しましょう。
 飲水は防暑の面からも,又鶏の健康上からも絶対欠くべからざるものであります。特に汲みたての冷たい水を与えてやり,鶏を大いに元気づけてやりましょう。少くとも1日3回位は冷水をやりたいものです。
 6月には田植仕事に追われて十分鶏に注意出来兼ねるものでありますが,7月に入り若干の暇が出来ますから,此の時間を利用して個体検査を実施して,駄鶏を思い切って淘汰して,産卵率を向上さすと共に単位面積当りの収容羽数を少くして,鶏をして凌ぎ易い様にしてやり,此の面からも産卵率を増して行きましょう。
 早春の雛には既に鶏痘予防接種も終り,順調に発育して居る事でありましょうが,中に若干顔色が悪く,食欲があり乍ら発育の思わしくない体重の軽いものがありませんか。蛔虫の寄生に意を配りましょう。蛔虫駆除の行ってない方は早速実施して置く必要があります。特に蛔虫と慢性コクシジウムと合併した場合は初産前に大害を被る事が往々あります。

養豚

 成豚は冬の寒さには強いが暑さには豚体をもてあましフウフウいっています。これは皮下脂肪が厚く,犬と同様に汗腺が発達していないため,汗の発散による体温調節をすることができないからです。ですから豚舎はできるだけ開放的にして日覆をかけ,ヘチマ等の日覆をつくってやることもよろしい。房内はできるだけ涼風を入れるようにします。又糞尿でグチャグチャにしないよう房内を清潔にし,床も水で洗ってやり,運動場にも日覆をし,できれば水浴場をこしらえて暑さをしのぐようにし,設備のできないときは日中豚体に時々水をかけて冷してやることも一方法です。
 夏は消火器が弱り易いし又,えさも腐敗し易い時ですからくさったものをやらぬよう注意し,消化のしやすい食欲のすすむものを与え,若し食い残しができれば捨ててえさ箱はきれいにその都度洗っておかねばなりません。水は冷たいきれいなのを毎給餌後与えます。又根菜類を十分与えて水分をとらすと一層よろしい。青物も雨にぬれ腐敗しかけた状態のもの等はやらぬことです。
 運動は朝夕の涼しい時夜間に放って,直射日光にあてぬようにしましょう。
 夏の肥育豚は馬鈴薯,いも蔓等を利用し,食欲,健康状態を見て肥育のえさをうまく利用して土用肉として出しましょう。
 はらみ豚は夜間コンクリート床の上で寝ると腹を冷し,胎児に影響しますから,藁を片隅において夏布団としましょう。
 7月に注意しなければならない病気は日射病と熱射病です。日射病は日中直射日光にあたったり,風通しの悪いむしむしする房にとじこめているときに罹るものです。突然いきが非常に速くなって,体温が40度以上にもなり,結膜が充血し瞳孔は散大し,口からあぶくを吹き横にたおれ苦しそうな有様をします。皮膚にさわると相当熱を持っています。ひどいものは「てんかん」状態を示します。このような症状のときはすぐ病豚を日蔭の風通しのよい涼しい場所に移してやります。そして,頭や胸に冷たい水をかけてやり,又体に冷たい濡れた麻袋をかける等の方法を行います。次いで冷水浣腸をします。なお強心剤を注射して安静にしてやります。暑いとき病気に伝染病の膿疱性皮炎があります。これは連鎖状球菌によるもので,蚊によって媒介されます。初め円形の赤色斑が皮膚にでき,数日すると膿疱をつくります。膿疱には牛乳のようなものが入っており,それが次第に濃い黄色チーズようのものに変り,そして暗褐色のかさができ7~10日位で治っていきます。ひどい場合は元気がなくなり食欲がへったり,歩きが悪くなったり,関節がはれ,熱も40~41.5度もでる状態になります。手当て沃度丁幾をぬるとよろしい。その他クレオリン軟膏を1日1回塗るとか,ペニシリンの注射、ペニシリン軟膏の塗布もよろしい。