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ジャージー種飼養管理共進会盛大に開催さる!!

 かねてから計画されていた津山市第1回ジャージー種飼養管理共進会は5月15日新緑薫る良き日を卜して津山市一宮家畜市場において盛大に挙行された。この日は晴天で少し暑かったが絶好の共進会日和であった。出品牛は午前9時入場を終り9時半から審査が開始された。一覧したところ各出品牛は何れも見事に手入が行われて居り各農家の人々が過去6ヵ月間熱心に愛育された甲斐があって体も大きくなり導入当時に比べるとすっかり見変って見事である。ジャージーの娘はすくすくと大きくなって呉れたのである。審査は順調に進捗し午後4時県から三木知事,曽我経済部長,惣津畜産課長,農林省から特に占野技官が臨席された。その外津山市,新聞社,関係農協外各種団体の来賓数十名を迎えて一宮公民館において褒賞授与式が挙行された。以下その概況を御知らせしたい。

一.この共進会の趣旨
 昭和29年10月末ジャージー種が導入されて各農家は専心その飼養管理に努力しているが将来の成績の向上を図る上において導入直後の冬期の飼養管理が最も大切であり充分の飼養管理をして育成を図ることが必要であるのでこれを促進助長するため本年の5月にこの共進会を開催し過去6ヵ月間の実績を検討し将来の改善に資せんとしたのである。
二.主催 津山市
三.共進会規則 省略
四.共進会長 津山市長
五.顧問 岡山県畜産課長
     津山市議会議長
六.参与 
 北部酪農業協同組合専務理事,東苫田,東一宮,横野,高田の各農業協同組合長
七.協賛会
 北部酪農業協同組合,東苫田,東一宮,横野,高田の各農業協同組合,大田,一宮,上横野,高田の各ジャージー酪農組合
八.審査員
 特別審査員 岡山大学 小松教授
 審査長   県技師  馬渡武彦
九.事務局
 委員長 市役所 農政課長
十.出品
 出品牛は昨年津山市に導入されたジャージー種62頭全部である。
十一.授賞
 授賞は1等賞4点,2等賞10点,3等賞17点,4等31点で1等賞に入賞のものは次のとおりである。
 1等賞 大 篠 奥田吉人
 〃   野 辺 児玉浄子
 〃   〃   児玉 律
 〃   上横野 宮岡一士
十二.努力賞 
 次の3名の人々は導入の時から今日まで牛の飼養管理に特別に努力せられその成績が非常に顕著であったので市長から努力賞が授与された。
 津山市 野 辺 中島一男
 〃   上横野 宮岡末代
 〃   〃   頭利豊野


1等1席入賞牛

審査報告

 本日の共進会に出品せられました牛は昨年10月29日津山市に導入されましたジャージー種牝62頭でありまして,これは大田地区に20頭,野辺地区に21頭,上横野地区に10頭,大篠地区に11頭分配されていたのであります。本日の審査の成績を申上げます前にこの共進会がジャージー種導入後の第1回の共進会であり過去6ヵ月間各農家の方々が丹精こめて飼養管理せられたその実績を共進するという特殊なものであります。関係上その間における状況を簡単に御報告申し上げたいと存じます。
 到着当時における牛の年令は最若10ヵ月から最高4才位と認定せられ体高は0.93m〜1.20mで1.0m〜1.16mのものが最も多かったのであります。牛は何れも元気で食欲旺盛でありましたが長途の輸送と環境の激変のためでありましょう。特に栄養不良のものが5頭程居りました。疾病と致しましては禿性匐行診が50頭程居り殆んど全部風邪に依る気管枝炎におかされていました。それから結膜炎,角膜炎にかかっているものが10頭,牛蝿の発生しているものが25頭見受けられました。
 外観上妊娠と認められるものが20頭居りました。妊娠していたものはその後順次分娩致しまして今日までに大田地区にメス3頭,オス6頭,野辺地区にメス2頭,オス4頭(内1頭は流産),上横野地区にメス1頭,オス2頭,大篠地区にメス2頭,計19頭が生産されまして目下メス8頭を育成中であります。
 種付は昨年12月1日から畜産農場に飼育中の種牡牛をもって行いました。メスは概ね体高1.10m,体重240sを標準として種付を行いまして現在未種付のもの10頭であります。これは繁殖障害のもの2頭,未発育のもの3頭,分娩後の生理的空胎5頭でありますがこの6〜7月迄には全部種付して妊娠する見込であります。
 次に未経産牛の発育状況を見ますと体重は42頭の内,昨年11月において最高220s,最低190s,平均198.2sでありましたが,この5月においては最高350s,最低218sで平均263.5sになりました。体高は最も良く伸びたものが昨年11月に0.96mであったものがこの5月に1.11mで15p伸び全体の平均は6pのびて居ります。
 次に泌乳の状況でありますが搾乳牛20頭の内1日最高泌乳量9升1合,1日平均泌乳量5升4合でありまして昨年12末日現在の調査で他の導入県における状況に比べますと共に最有位にありますことは慶ばしいことでありまして農家の方々の御努力の賜であると存じます。然し脂肪率は平均4.35%となって居りまして他に比べて低くなって居ります。
 か様な成績でありますが導入後今日まで牛を良くするためにどんな方法を行って来たかを申上げますとこれは6月号にも書きましたが指導班による巡回指導,酪農組合を結成して研究会の開催,牧野の造成,経済能力検定,毎月1回当場に集合させての衛生検査,秤量並びに測尺等を行いました。(この項要点のみ)。
 次にこれから本日の審査の結果を申上げたいと存じます。この共進会はその名称の示す通り飼養管理共進会でありますから牛の体型等は審査の対象とせず専ら飼養管理の状況即ち栄養,手入の状況,訓致の状況を審査しこれに導入当時の状況を加味して行いました。

一.経産牛について

 栄養は一般に良好でありましたが泌乳期の飼料が濃厚飼料に依存し過ぎる感があり搾乳量のみを考えるのは牛の健康を害しその生命を短くすることになりますので健全な酪農経営とは言い難く将来この点に御留意を願いたいと存じます。
 搾乳は一般に良好でありまして搾乳技術は各農家共初心者であるにもかかわらず乳房炎等の事故もなく成績良好でありますが,多少乳房のシコリが除去されていないものが見受けられましたのでこの点御留意願います。
 運動は皆相当やって居られまして良好の様でありますがジャージー種の特性を発揮させるため一層運動の励行方を希望致します。
 これを要するに運動により粗飼料の利用性を向上せしめると共に,特に良質の草類を多量に給与し牛の健康の維持と泌乳の生産を有利ならしめる様格段の御努力を御願いしたいと存ずるのであります。

二.未経産牛について

 伸びの良い牛をつくるには運動が最も大切なことでありますが本日出品の中には多少運動不足のものが認められました。
 濃厚飼料の過給は軟弱な牛をつくり易く将来泌乳を永く維持させるためには健康なしまった牛をつくることが大切でありますから濃厚飼料も或る程度は必要でありますが,特に良質の粗飼料を充分に与えて健康な牛をつくることが極めて肝要であります。本日出品につきましては概ね良好でありますが一層の励行方を御願い致します。
 要するに育成中の牛はよく運動せしめ良質の粗飼料を充分に食わせて将来の健全な土台をつくることであります。

三.短評

 本日の審査において最も優良と認めましたものについて簡単に説明致しますと次の通りであります。
 16号 この牛は導入当時から発育良好でありましたがこの6ヵ月間において体重が130s増加し体高が8.3p伸びて居ります。導入牛中最も体積,品位に富みジャージー種未経産としては理想的な発育を遂げ手入,訓致また良好でありますので本日はこの牛を最優位に置いた次第であります。
 58号 この牛は本年4月分娩し乳量が最も多い(16.6s)にもかかわらず栄養も良好であることは妊娠中の飼養管理が適切であったことを物語るものでありなお手入訓致も良好でありました。
 37号 この牛は導入当時から良好な状態でありましたがその後の適切な飼養管理によって一層良好な発育を遂げ調教,手入共に良好でありました。
 53号 導入時の輸送途中罹病しその後3ヵ月間重体を続け更に分娩したという最悪の状況下において熱心な看護と適切な管理によって現在の如き良好な栄養状態に回復し然も1日10sの泌乳をしております。調教,手入また良好であります。
 審査の結果 1等賞4点,2等賞10点,3等賞17点,4等賞31点を擬賞致しました。褒賞の授与を申請致します。