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岡山県種畜場講座

8月の飼養管理

岡山種畜場

乳牛

 7月同様防暑対策,蚊,蝿群を防ぐことがこの月の重点であります。適当な放牧場があれば夜間は1晩中放牧するか,そうでない場合には夕方外へ繋いで涼ませてやります。又時折冷水を全身に浴せるか,川入等を行ってやることも必要であります。然し度々牛体に水をかけることは皮脂が消失するため1日1回位で留めたいものです。
 夏期の創傷,殊に乳頭の傷は,蝿等が障害部に集って仲々治り難く,搾乳にも困難を伴い易くなります。斯様なものは早期にペニシリン軟膏又はマーキュロクローム軟膏等を充分に塗布すると共に蝿の防除をしなければなりません。 
 牛乳は一滴でも多く搾りたい夏乳の頃で,徒らに濃厚飼料を多給して無理な搾乳は乳牛をいため,繁殖上にも欠陥が出来てきますから,青刈玉蜀黍,青刈大豆等の良質な牧草を充分に与え,残余の養分を濃厚飼料に仰ぎ,所謂草主穀従主義で飼養することが必要であります。又草を豊富に与える夏は,草の中の加里を多く摂取するため「ナトリウム」分即ち食塩を多給することを忘れてはなりません。一般には濃厚飼料の中へ食塩を配合し(濃厚飼料の約1%量)を給与していられることと思いますが,食塩の給与量は,成乳牛1日量50gから100gが必要で夏は80g~100g程度の給与が必要と考えます。従って前記濃厚飼料配合中の食塩の量が,80gから100g含まれているかどうか計算して見る必要があります。当場においては,これ等の欠陥を是正するため,放牧場内に緬羊と同様に食塩を桶に入れ,裾付けて自由に舐めさせるようにし,不足分を補うようにした処効果が極めてよろしかった。
 なお食塩の中へカルシウムを食塩1に対し1.5位を混ぜ,同じ桶に入れておくと一層結果がよろしい。
 牛乳は清潔に搾ることはいうまでもありませんが,特に夏季は腐敗し易い時期なので,管理人の服装,手指,頭髪等清潔にすることは勿論,乳牛の手入を充分に行い,特に後躯及び乳房部附近は徹底的に清潔にすると同時に,牛房の清潔,管理具,搾乳器具等は其の都度清潔にしておく必要があります。殊に搾乳缶等は,近来市販の無色無臭無味で、然も消毒効果の高い「オスバン」を使用されることをお奨めします。

養鶏

 8月は1年中で最も気温の高い月であり,又割に多湿であるために暑さに弱い鶏にとっては凌ぎ難い月であります。
 鶏は3,4月の盛産期,続いて来る高温多湿の梅雨,7月の高温期を経過し,相当疲れを表わして来る時期であります。
 反面,8月は卵価の上昇期であり,8月の飼養管理如何は養鶏経営に重大な影響を与えるものであります。周到な管理を行い,全能力を発揮させましょう。
 7月の飼養管理上の注意事項を参照され,更に次の事項に注意しましょう。 
 高温の為,人間と同様に鶏の食欲も減退し勝でありますから,給餌は早期より行い,良質の飼料,特に穀類等嗜好性が大であり,栄養価の高い飼料を与え,又緑餌を飽食さす様にします。若し緑餌が不足すると鶏は健康を害し易く産卵率にも大いに影響するものであります。しかし此の場合農薬の散布には十分注意し,之の散布されたものはそのまま絶対に給与しない様に注意しましょう。又は必要に応じては適宜強壮剤として唐辛子,或はニンニク等を給与し,整腸剤としてゲンノショウコ等を与えて食欲を増進させ,体の抵抗力を増しましょう。
 給餌に際して,残った飼料をそのままにして給餌して居ると酸敗飼料による胃腸障害を起こしますから,飼料は摂取量に合わして給与し残餌は特に翌朝は取り去った後に与える様に注意しましょう。若し酸敗,腐敗飼料の上に次々と飼料を与える様な事があると胃腸障害を起すのみか,飼料摂取量は著しく減じ産卵率にも大いに影響するものであります。
 次に寄生虫の面に於て蛔虫,羽虱,ワクモに注意しましょう。蛔虫の駆除は定期的に行う事が必要でありますが,若し実施していない場合は直ちに実施が必要であります。鶏体の衰弱につけ込んで繁殖し重大な障害を与えるのであります。特に発育中の大雛に於て食欲があり乍ら体重の軽いものは蛔虫に原因する事が多いのであります。有効な駆虫剤が発売されて居りますから,発生後8,9日,14日目頃に是非駆虫を行いましょう。
 羽虱の寄生は鶏体の尻部を見ると判明しますから,寄生の場合はD・D・T粉末の鶏体散入か硫酸ニコチンの棲木線状塗布を行います。之に際して第1回駆除,その後第2回駆除(第1回駆除の際卵であったものは約1週間後孵化し,之を死滅さす為に行う。)を約1週-10日後に行う様にすると効果が大であります。
 ワクモはダニの一種であり「湧雲」の名をつけられて居る通り繁殖が著しく早く之が発生すると大群を以て夜,鶏を襲撃し甚大な影響を与えるのでありまして,発見次第直ちに駆除が大切であります。特に薄暗い湿潤な鶏舎は検査が必要であります。駆除法としては硫酸ニコチンの市販原液を塗布するか,クレオソート,D・D・T油剤の等分混合液を噴霧し,完全に死滅さす迄徹底的に実施します。
 特別飼養管理が不良でないのに8月中に換羽に移るものは寡産鶏が多いものでありますから個体検査其の他により駄鶏淘汰を思い切って行い,産卵率を高めると同時に若雌の為に全力を若雌の管理に向けていく事が大切であります。
 春育雛の雛は産卵を前にして張切って居る事と思いますが,次の事項について特に注意が肝要であります。
一.密飼を避け,坪当り収容羽数を10羽に近く出来るだけ少くして行き又給餌器が不足しない様にする事が必要であり,之により発育の差,並びに疾病を未然に防ぐ事が出来ます。若し発育の差がある場合は別飼にし斉一な発育をさせて行く事が必要であります。又出来れば放飼し,特に夕方監視の下に放飼させてやり抵抗力の強い充実した体躯を作りましょう。
二.日光々線即ち紫外線は発育上,特に骨造成上絶対必要でありますから,若し鶏舎の構造上日光浴の出来ぬ場合は晩少し早目に放飼して1日1,2時間でも日光浴させましょう。
三.飼料は計画的に量,質,並びに含有蛋白質量を規正して与えて行き,飼料を急変したり,初産前後の多く飼料を要する時に飼料の不足を来たし,重大なる影響を与えぬ様にしましょう。又発情状態等により飼料の含有動物蛋白質の量を加減し,鶏体の充実しない内に過早に産卵すると産卵開始後卵量は小であり,又体の発育は産卵の為に抑制され,体躯は小さく,抵抗力の無い鶏になり,又途中で休産し結論として不経済な結果になります。大体孵化後約5月半後,体重400匁以上で産卵さすのが良いのであります。
四.其の他防暑,給水,緑餌多給,寄生虫の駆除は必要でありますが成鶏の管理に準じます。
 次に農薬害でありますが,昨年農薬パラチオンの鶏に対する薬害が大きな問題を起こしましたが,本年は農薬の散布については事前に農協其の他の関係機関と密な連絡を取って置き,薬害の防止対策を地区毎に十分徹底し,更に隣近所にも十分連絡依頼して置き,薬害を絶対起さぬ様にする事が肝要であります。