ホーム岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年9月号 > 畜産ニュース 被病すれば必ず死ぬ 放牧牛の奇病原を究明

畜産ニュース

被病すれば必ず死ぬ 放牧牛の奇病原を究明

 「被病したら必ず死ぬが,原因がわからない」という牛の病気が一昨年来岡山県苫田郡奥津,上斎原,羽出村に発生,牛飼い1本に生きている同地方の農家(1戸平均2−3頭)の恐怖のマトとなっているが,今年も7月から9月の発生期に入って,すでに奥津村の和牛1頭(9才)が7月10日この病気で死んだほか上斎原でも1頭死んでいる。
 この病原をつきとめるため今年は7月21日から29日まで,上斎原村農協牧場に本部を設けて原因究明に乗出したが,その期間中1頭の発病もなく,放牧牛の健康検査のみにとどまった。
 調査員は須海岡大助教授,長江,三村県畜産課両技師,古屋野奥津家畜保健衛生所長らで,7月いっぱい駐在の筈であったが,未発病のため29日に操揚げで調査を終った。
 昨年は放牧牛23頭が被病,全部死んでいるが,その病状を総合すると、アズキ大の吹出物が首,胸,脇腹にでて,40度以上の肺炎をともなう高熱が続き,消化器もおかされて下痢しており,ペニシリン,サルファ剤などの応急措置ではまったく効き目はなく,被病牛は100%死んでいる。
 今年の奥津村の岡音一郎さんの場合,7月8日は和牛の後足がフラフラになり,食欲がまったくなく,呼吸が苦しそうなのを発見したが,10日には死んだといわれる。この病気には,寒冷度は特別の関係なく,高温多湿が若干影響するもようで,大正末期から昭和の初めにかけて同地方に「野獣疫類似症」という病気が発生しているところから,これも関係があるのではないかとも想像されている。しかも放牧牛だけが被病しているので放牧地に病原菌が常在しているのではないかとの疑いも濃くなっている。解剖結果では,肺がひどくおかされており,出血性敗血症のような症状も現われている。