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編集室から

◎山伏の候である。暑い暑いと言うが岡山の暑さは天下通用であって暑いのがあたりまえである。この暑さがなければ桃の味も出ないし,備前米の美味さも出ないのである。“心頭を滅却すれば火も亦涼し”と言ってみても凡人は現実の暑さに閉口して,それどころの騒ぎではない。暑気700年周期説が出てまだまだ暑くなるそうである。ほどほどにと願ってみてもこの暑さを当てにして商売をしている人もあるんだから世の中は良くしたものである。農家の人々も近年にない稲の出来で大喜びである。この喜びがきえないように祈りたいものである。

◎この暑さで牛乳,乳製品共に品不足でうれしく悲鳴をあげている。畜産課に迄乳製品の斡旋を依頼して来る始末である。酪農関係者があれだけ騒いでもどうにもならなかった乳製品が,天候一つで一銭の宣伝費も使わないでもう品切れである。人間の予想なんてものは全く頼りないものである。尤もこの予想が全部当ったら貧乏人も居なくなるかも知れないが,当らぬ処に面白味があるのでもある。“当るも八卦,当らぬも八卦”と言うこともある。あまり儲ける人間の出ないところも亦天の配剤か?

◎暑中御見舞と相変らず見舞状が来る。時期になると廃止論が出て来るが,貰った方はどうもそのままではすまされないのが人情である。返事を書いて現況を知らせる義務があるようにも思われる。これもほどほどでありたい。

◎雌伏3年,畜産課野球チームも遂に全県庁各課廨対抗野球大会に優勝して真紅の優勝旗を獲得することが出来た。加本監督以下課員の喜びも一入である。一つのゲームを通じて課員の団結を深めたことは何物にも代え難い大きな収穫であり,幸いであったと思う。御後援を頂いた関係の各方面の方々に誌上を借りて厚く御礼を申し上げます。