ホーム > 岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年10月号> 岡山県獣医畜産学会 岡山市で盛大に開催

岡山県獣医畜産学会 岡山市で盛大に開催

 獣医畜産学術の向上をはかるため,岡山県獣医師会主催,岡山県,県農業共済連合会後援で8月7日午前9時から岡山県農学部講堂(岡山市津島)で岡山県獣医畜産学会が盛大に開催された。当日は獣医畜産技術者200余名の参集を得て,畜産技術関係者から日ごろの研究結果が発表された。研究結果発表後獣医畜産大会が行われ,はじめに山名純夫氏ほか7人の獣医畜産功労者に対して高田県獣医師会長から表彰状が授与され,次で奥山吉備男氏(県酪農協会長)が会長一任で議長に選ばれ,提出議題3件について満場一致で可決,最後に堀岡大教授,蔵知県技師の特別講演があり,午後5時過d盛会裡に終った。当日の会長挨拶,研究発表題名及び発表者名,大会議題はおよそ次のとおり。

会長挨拶 岡山県獣医師会長 高田馬治

 本日玆に岡山県獣医畜産学会並びに獣医畜産大会を開催致しますに当り,御多用中而も炎暑凌ぎ難き折柄,講師先生初め来賓各位の御臨席を忝うし多数会員の御出席を得て,斯く盛大に開会出来ました事は,主催者として真に欣快にたえない所であります。篤く御礼を申し上げます。

 尚此会を催すに当りまして県公衆衛生課,県畜産課及び県農業共済連等より並々ならぬ御協力御支援を賜わりました事は本会の開催に一大推進力を与えられた次第で,此席より特に感謝の意を表するものであります。

 日本獣医師会におきましては各ブロック廻り持ちで臨床獣医学会が開かれて居り,現に先日は愛媛県松山市で四国地区の恰度今日は三重県伊勢市で近畿地区の学会が開かれて居りますが,単に臨床獣医学会と申します為めに開業獣医師のみの会の如く誤解する者さえありますので,本会は獣医畜産学会と申した次第であります。

 そうして臨床獣医学,家畜衛生学,繁殖学,公衆衛生学等の各職場に働く会員が科学的専門の上に立って研究した事を発表するの機会を作ったのであります。

 畜産と獣医とは真に密接不離の関係がありまして,畜産なくて獣医は決して成り立ちません。終戦後日本の畜産は著しい発展を致しましたが,限られた此狭い国土で最高度に改良された,能力の高い家畜を飼う日本の畜産が如何に保健衛生上むつかしいか,伝染病が発生し易いか,予防と治療とを問わず如何に獣医師を要求する事が多いかは,申すまでもありません。尚公衆保健に於いて人の食物中最も重要なる動物性蛋白質の取扱検査の大部分は我獣医師の活動範囲に属して居るのであります。

 斯く述べ来りますと我々使命の及ぶ所実に重且大であるを想う時今後益々和衷協力常に研鑽に努め,切磋琢磨,斯界の進展に向って精進せねばならぬと痛感致すものであります。今日は此様な意味を以て開催致しました。本会をして皆様の御支援により有意義に終了致します様祈って止みません。真に簡単でありますが所懐の一端を申し上げて御挨拶と致します。

1.講演 (講演時間各10分,追加討論2分)

一.導入ジャージー牛の牛蝿の発生について
         津山畜産農場 竹原 宏

二.トキソプラズマの動物実験の考察
         岡山県衛生研究所 中田三郎

三.異型乳熱と思われる疾病について
         県農業共済連児島支部 高取 誠

四.牛の尿素中毒例について
         都窪郡妹尾町 林 卓夫

五.牛の創傷性胃横隔膜炎の臨床例について
         中川家畜保健衛生所美星支所 大月太郎

六.密殺摘発の一方法について
         県公衆衛生課 浅沼喜嗣雄

七.創傷性心嚢炎の胸腔切開例について
         県農業共済連勝間田支部 井上 皎

八.山羊の消化器寄生虫の被害とその対策について
         総社市真壁 土屋碩夫

九.初生仔牛の脳水腫の臨床及び剖検例について
         美甘家畜保健衛生所 影山大二

一〇.モルモットより分離した溶連菌について
         岡山県衛生研究所 吉岡達治

一一.牝牛の膀胱結石と誤診された膀胱癌の手術例について
         県農業共済連勝田支部 井上 皎

一二.壊疸性乳房炎について
         勝田畜連 安東秀郎

一三.蒜山地区に於ける原因不明の牛の貧血症とその臨床
         中福田家畜保健衛生所 永井 仁

一四.インフルエンザの発育に及ぼす菌,毒素の影響について
         岡山県衛生研究所 吉岡達治

一五.直腸脱の手術による治験例について
         県農業共済連吉備支部 山本 昭

一六.新見市南部に於ける慢性重症肝蛭症の臨床
         草間家畜保健衛生所 黒田昭昌

一七.牛の腹腔鏡について
         県農業共済連真庭支部 井川 孟

一八.重症肝蛭牛の剖検例について
         美作家畜保健衛生所 檜尾卓彦

一九.狂犬病予防方法の一考察(スライド)
         倉敷保健所 衛生 課員

二〇.弗素による牛の斑状菌について
         倉敷保健所 大島 宣

二一.牛馬における水泡反応による予後の判定について
         上道郡上道町 坂根俊彰

2.獣医畜産大会

一.獣医畜産功労者表彰者名(8名)

表彰状並びに記念品贈呈

山名純夫(倉敷市),木本衛(苫田郡加茂町),松浦作次郎(岡山市)

感謝状並びに記念品贈呈

倉永武秋(岡山市),藤田元太郎(総社市),大森悦二(西大寺市),渡辺小市(新見市),遠藤徳四郎(勝田郡奈義町)


表彰授与式

二.日本獣医師会副会長原田雪松氏挨拶

三.大会議題

(一)畜産物価対策と獣医畜産関係の試験研究機関新設について   渡辺石三郎

 提案理由─“岡山種畜場は今回自衛隊へ譲渡に決定しているが,移転に際しては内容を現在より充実した畜産関係試験研究機関を設けて頂きたい。ということに賛同願いたい。”

矢吹氏─“畜産行政の今後の方針がききたい”

畜産課長─“畜産物消費流通,飼料対策が国の予算におりこまれている。現在の畜産物の不均衡をなくするため努力している。種畜場については従来の行き方を再検討しているが,その内容,移転地については未だここで申上げられない”

内田県議─“種畜場移転問題については現在事務当局において研究されているが,15,000万円は種畜場以外にはつかえないよう措置している。農村にしたしまれ,利用されるような種畜場を国,県,皆さんの御意見によって作りたい。現在3ヵ所から誘置運動が行われており,1ヵ所約20町歩位であるが,岡山市に最も近い便利な処に設置したい”

 次で第1号議案の採択に入り,万場一致でこれを取り上げ,陳情の方法は獣医師会事務当局へ一任し,場合によっては岡山市に近い獣医師会の指名する人と共に県,県議会に陳情することになった。

(二)獣医畜産部面の政治力結集について

(三)獣医畜産振興委員会の結成について   伊達知典

 この議題については委員会を作るための準備委員を備前,備中,美作の3地区から各2名えらんで協議された結果,後日振興委員会を結成すべく準備することになった。

 最後に宣言,決議が次のとおり万場拍手をもって行われた。

宣言

畜産の振興と公衆衛生の向上を期することは平和国家の建設上誠に重要なる要素であることは周知の事実でありこれに直接関与し且つ密接不離の関係にある吾々獣医業界の責務は真に重大と言わねばならない。

斯る重大なる使命達成のため幾多制度の改廃があり吾々は常に各種の会合を通じて之が適切なる改善措置に努力して来た。今後獣医業界の基礎を安定にし獣医業本来の使命達成のためには前途尚重要問題が山積して居るので之が改善打開のためには何れの職場にあるを問わず協力一致,精魂を傾注し以て独立国家の再建に寄与することを期す。

上宣言す。

 昭和30年8月7日 岡山県獣医畜産大会

決議

一.吾等は畜産事業の飛躍的発展のために努力することを誓う。

一.吾等は公衆衛生の向上進展に寄与し社会福祉の増強を期す。

一.吾等は強固なる団結のもとに獣医師道の昂揚を図ると共に専門学術の研鑽に精進し切磋琢磨以て獣医業の社会的地位の向上を期す。

上決議す。

 昭和30年8月7日 岡山県獣医畜産大会