ホーム > 岡山畜産便り > 復刻版 岡山畜産便り昭和30年10月号 >飼料自給化に偉力 イモヅル栽培に成果

飼料自給化に偉力 イモヅル栽培に成果

光藤健次

飼料としてのサツマいも栽培

 邑久郡長船町国府地区土師ではことし牧野勉氏(39)を中心に酪農家7名が乳牛飼料用としてサツマいものツルの栽培を試み注目されている。家畜飼料用にサツマいも(ツル及びいも)を栽培することは新見市の石本武氏や笠岡市の笠岡蕃氏などの優れた実例が大きな刺激となる一方,①生育が速く面積の割に日量収量の多いこと,②栄養価値の高いこと,③栽培が容易で労力や肥料が比較的少くてすむこと,④食料と飼料の両方に使えること,⑤作物の間を縫って短期間に栽培できること,等飼料作物としての大事な諸条件に叶い,更に日照りにも強く,地上部,地下部共に風害に強いなどその卓越性が再認識されて来た結果であって県畜産課(蔵知経営係長)でも,県農業改良課(佐々木専門技術係長,角谷技師,黒住技師)でも「飼料作物」の大宗だとして大に奨励している。

牧野氏のイモヅル栽培と成果

 さて牧野氏は岐阜1号を主体に1個15,6匁の種いもを4月5日に踏込床に伏込み,主としてビニール覆いを用いて育成(一部ガラス障子やワラ覆いも試験的に使用したがビニール覆いが一番成績がよい),4月25日ツルの平均約6寸に伸びたもの4個を一群とし頭を外方にして畦間4尺株間4尺に3畝歩に定植した。現在(8月10日)まで第1回刈を5月下旬に,2回目を6月下旬に,3回目を7月下旬に始め毎日平均5群約10貫を刈取り飼料としている。9月まであと2回の刈取を予定しているが都合5回の刈取で反当約6,300貫,之に地下の種いもと子いもが約500貫と見込まれている。実に莫大な収量と言わねばならない。


手前から順次に刈った状態

収量群を抜く岐阜1号

 更に品種別収量につき牧野氏が第2回目の刈取のとき比較調査を行った結果によると1群当り岐阜1号2貫680匁,内原1号,沖縄号各2貫200匁,高系4号1貫950匁,農林2号1貫600匁で岐阜1号が最高,内原1号と沖縄100号とが之に次ぎ,農林2号が最下位となっている。収量比較については確実性を期すため牧野氏は第4回刈のとき今一回調査を行う予定である。

栽培上の参考点

 栽培にあたり牧野氏の場合 ①圃場は屋敷ワキで同時に畜舎に接して居り,地は肥沃で且田畑田畑輪換もできる低地である。管理や刈取の便宜の上からも,生育-収量の成績をあげる上から屋敷又は畜舎に近く且乾溶し過ぎない(或は灌漑の容易な)沃地をえらぶことは飼料作物の栽培を一段と効果的にする所以である。②次に定植床は径2尺,深さ8寸程度の穴を掘り,床に鶏糞を入れて覆土し,植込前更に倍量にうすめた牛尿を施した。③ツルの刈アトにはその都度牛尿(倍量にうすめ)を施し,更に④暑気中刈取後2,3日の間刈アトをワラやコモ等で覆って日光の直射を防ぎ発芽及び生育の促進を図っている。この覆いをするとしないとでは可なり大きな差ができるという。⑤またツルを刈るとき高刈をすると小さい芽が数多く出て伸びも悪いので2寸位に刈るとよい。⑥尚牧野氏の飼料作物栽培は微量成分等の点をも考慮に入れ,夏季には青刈トウモロコシ,青刈大豆,アゼ草,イモヅルと数多くのものを食べさせること,計画栽培の一環とすることを重点にこのイモヅル栽培を取入れている。同氏はことしの経験から来年はこの点を更に検討してよりよき成果を収めたいと言っている。