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岡山県獣医畜産学会 研究発表特集

(17)牛の斑状歯(第1報)

倉敷保健所 大島 宣 中山健治 渡辺皓松

 1945年頃よりアメリカで斑状菌や弗素の研究が非常に活発となり日本でも多くの学者がとりあげるようになり新しい報告が続出す,岡山県も全国有数の弗素分布地帯であり岡山県弗素対策委員会等の調査機関も発足して次々と貴重な発表が行われている。

 家畜の斑状菌については岡山県の場合既に山陽町富取歯科医,県畜産課長江技師等によって発見されている。

 飲料水中の弗素による慢性中毒症という問題は斑状菌が発見されてはじめて明らかになった事実よりして斑状菌の地位はあく迄この問題の中心をなしている。この意味において将来獣医畜産の分野においても斑状菌の存在するかぎりとりあげられるべき問題でありと思考して公務出張の機会等を利用して管内の牛について先ず斑状菌の有無を調査してみた。

一.牛の斑状菌調査表は別表のとおりである。

二.倉敷と畜場における罹患率は検査頭数150に対し約20%であった

三.飼養年数古き方が罹患度が強いようにみられる。

四.弗素地帯の牛は犢より飼養せるものは発現率早く(富田,庄の場合)成牛の場合2−3年以上長期の場合徐々に発現するものと思われる。

五.斑状菌の程度は弗素の濃度飼養年限等とは比例しない。

六.個体の条件例えば栄養飼養管理等に関係なく現われる。

七.牛の斑状菌調査頭数による%

(調査地) (調査頭数) (%)
と畜場   150 20
大 高 10 40
富 田 15 80
7 0
182 25.2
M1 M2 M3 M1B M2B
門 歯 17 1 5
第一中間歯 28 1 1 12 2
第二中間歯 37 9 3
隅 歯 16 2 2 2

八.家畜の場合馬をのぞいて歯科衛生そのものは一般に重要視されていないため認識乏しい。

九.牛は経済動物であり移動(転出入)がはげしく年令的にも淘汰が早い。

十.牛の官能障害の初期骨の変形等は早期診断が困難でありレントゲン診断学も普及していない。

十一.能力(役力,泌乳量産卵率)等については適確な比較調査を一定期間行わなければならない。

 弗素が家畜衛生に及ぼす影響の探究については未だ模索の域を脱しないが将来とも私たちに課せられた使命であり,と畜検査その他の機会等を活用更に具体的調査を続けたい。弗素中毒の対策としては飲料水の改善以外方法はない。現れた症状には処置がない。(イオン交換樹脂濾過機,簡易水道、上水道)家畜の場合飼養,環境等のため困難の場合も多いが。

牛の斑状歯調査表(1) (1955.7)

参考資料

 歯界展望第11巻第13号別冊  (今川与曹)

 斑状菌調査要領  (厚生省医務局)