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岡山県獣医畜産学会 研究発表特集

(18)牛馬に於ける水泡反応による予後判定

上道郡上道町 坂根俊彰

(1)緒言

 疾病の予後の判定は我々経済動物を対象とするものには極めて必要なり。今までは予後は脈数,脈性により判定していたがこれに心臓機能の強弱を推定する上に皮内注射により水泡を作り吸収の速度を測り判定出来る様に思い一昨年より行った数例を報告する。

(2)方法

 水泡反応とは生理食塩水を皮内注射と水泡を作り消失する時間を測る方法なり。牛馬共に尾根底部に0.1cc注入2−3ヵ所作り吸収速度を計る。

(3)健康牛の吸収速度

(A)32頭施行した処5分16分にして以下舎内一日の牛(和牛)の吸収速度の状態。乳牛の状態を図表にて示す。(イ,ロ)
(B)健康馬は吸収速度は4−6分なり。
(イ)(5才ホルスタイン)(乳牛1日の吸収速度)
(ロ)舎内に於ける牛の吸収速度(3才)
(ハ)挽馬使用中の吸収速度

(4)各疾病に於ける吸収速度

(イ)牛カタール性肺炎(ホルスタイン種4才)
(ロ)牛の誤燕性肺炎に於ける吸収速度(和牛,2才ぬき)
(ハ)犢牛下痢症治癒例(4例)
(ニ)犢牛下痢症の死亡例(2例)
(ホ)馬の便秘症に於ける吸収速度(6才,鹿毛挽馬,騙)
(ヘ)日射病に於ける吸収速度(挽馬,8才,黒鹿毛)

考察
(5)吸収速度は心臓機能により異なること。

 2分以下になると,即ち速くなることは心機が異状亢進せることを示す。又下痢症にては体内水分の関係か速度が速くなることが本反応により明示出来る。

(6)結論

 以上により中間発表ですが1分−2分となると1日−2日には予後不良となること。又良なるものは2分より早くならず漸次遅くなること,と共に治療方針も本方法により決定出来る等将来一層深く研究し一疾病により例多くとり確実なる結論を得たいと思う。