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畜産ニュース

粉乳中毒事件の善後措置に万全

 本年3月の雪印乳業生産の脱脂粉乳による学童の集団中毒発生,又8月以来の森永乳業株式会社徳島工場生産にかかる調製粉乳の牛乳安定剤として使用した第二燐酸ソーダー粗悪品による中国,関西地方における乳幼児の中毒事件の発生をみたが,この際消費者の乳製品に対する不安感を一掃し,製品の品質を確保し,今後再びかかる事件の発生することを防止するため,農林省では厚生省及び各県知事に通知すると共に,これが品質検査を厳重に行うように要望している。

 県では県下5乳製品工場及び各酪農業協同組合に対して,牛乳の取扱と乳製品の品質向上確保に万全を期するよう注意を喚起すると共に,その指導に遺憾なきを期することになった。

 なおこの事件の対策として厚生省では有毒粉乳の全量回収を完了し,又乳及び乳製品の成分規格等に関する省令を改正し,すべてのれん乳,粉乳に添加するものは,薬事法に規定する公定書に収載された医薬品であって,公定書に定める基準に適合しているもの又は,厚生大臣が承認したものに限ることとなった。

 農林省では厚生省へ,乳製品に対する消費者の不安除去対策として,乳製品の品質検査を行い,その結果を公表する等の措置を講ずるよう依頼しているが,その一環としてこんご乳製品の品質検査を厳重にするため財団法人乳製品技術協会を強化,乳製品の第三者検査を徹底化することになった。

 乳製品の品質検査は従来,各乳業会社が自社の機関で自主的に行っていたもので,毒物の有無,細菌数の検査品質の向上などが主な検査項目である。しかし自主的検査では毒物の有無はともかく細菌数の検査が問題で,このため第三者検査の徹底を図ることになったものである。