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巻頭言

農業関係試験研究機関の充実について

惣津律士

 昨年の豊作はめぐまれた天候にも依るが,農業技術の進歩が著しく貢献している事は一般に強く認められている所である。

 たゆまない研究は人類の福祉に偉大なる効果を与えるものである。天然資源の乏しさをなげく人々は人類のえい智と努力に依って新しい資源が生み出される事を忘却しているものであって,私は決して悲観すべきでないと信じている。科学に立脚した本県農業の振興は必然的に県民に幸福をもたらすのである。

 ここに試験研究の重要性と進展性がある訳で,私はこの機会に本県内に存置する農林畜水産業に関する試験研究機関の拡充とそれ等機関の有機的連繋の強化を特に提唱したい。

 農林省では昨年11月17日に「農林水産試験研究運営機構の整備強化要綱案」を発表して,農林水産技術最高会議の設置を行わんとしている。私はあえてこれに準ずる訳ではないが,本県の現状を見て,各機関の間の連繋が乏しく,少額の予算で,1年1年を過し而も研究の成果がどれだけ農村振興に寄与しているかを考えるとき,本県農業の将来を憂うるや切なるものがある。

 少くとも試験研究の基本方針についての調査企画と綜合調整,さては業績の成果の調査検討は取りあえず行って而るべきものと思っている。

 私は決して試験研究機関の統合をさけぶものではない。寧ろ私は試験研究の綜合企画の下に,夫々の機関が,その能力を十二分に発揮すべく内容の整備と拡充を行って,農家の福祉に真に資する重要試験研究がもっともっと掘り下げられて実施されて,その成果が責任を以って発表討論せられ,一般に浸透する事を望むものである。

 畜産部門については種畜場が従来の形態内容からいさぎよく脱皮して,試験研究機関としての体制に整備される事が必要なことは申上げるまでもない。私はこれ等の機関が国内はもとより広く世界のえい智を集めて,本県畜産技術を一段と向上せしめる方向に活動する事の念願である事を申上げたい。