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美作集約酪農地域 1市15カ町村指定決る

 農林省は酪農振興法にもとづいて集約酪農地域の指定について検討していたが,1210日付農林省告示第1018号で集約酪農地域を次のように指定した。この度の許可申請は57地区に上っていたが,指定された地域は原料乳地域26,市乳地域5,計31地域である。

集約酪農地域名(カッコ内は道県名)

 厚岸(北海道),釧路(同),大樹(同),西紋別(同),日高(同),名寄(同),胆振東部(同),十和田(青森),岩手山麓(岩手),中部奥羽山麓(同),栗駒(宮城),最上(山形),阿武隈山系北部(福島),阿武隈山系南部(福島),土浦(茨城),那須山麓(栃木),浅間山麓(群馬),八ヶ岳山麓(山梨,長野),浅間蓼科山麓(長野),戸隠山麓(長野),東濃(岐阜),中濃(岐阜),富士(静岡),東三河(愛知),西加茂(愛知),大山山麓(鳥取),美作(岡山),備後(広島),南予(愛媛),阿蘇山麓(熊本),霧島(宮崎)

美作集約酪農地域の市町村部落名

津山市

真庭郡の内

川上村,八束村,中和村,二川村,湯原町
勝山町の内=真賀,見尾,菅谷,星山,福谷,竹原,勝山,江川,岡,神庭,組,三田,柴原,本郷,正吉,横部,荒田,神代,山久世
久世町
落合町の内=垂水,開田,影,上市瀬,下市瀬,高屋,西河内,向津矢,中福田,日名,杉山,古見,赤野,田原,西原,野川,法界寺,大庭,平松,下見,中河内,上河内,下河内

久米郡の内

久米町
中央町の内=原田,越尾,新城,金堀,小原,頼元,打穴里,打穴上,打穴北,打穴西,打穴中,打穴下,錦織,錦織里

苫田郡の内

鏡野町の内=薪森原,河本,下原,原,高山,竹田,土居,和田,円宗寺,貞永寺,瀬戸,香々美,市場,沖,公保田,沢田,寺和田,古川,布原,宗枝,吉原,真加部

勝田郡の内

勝央町
勝田町の内=杉原
勝北町

英田郡の内

美作町の内=湯郷,入田,位田,青木,稲穂,北坂,金屎,下大谷,奥大谷,御所、長内,中山,則平,北山,明見,豊国原,中尾,上相,吉村,下香山,和田

増殖目標は8,000頭振興計画の大綱成る

 このたび農林省から指定された美作集約酪農地域の酪農振興計画の大綱ができあがったので,1215日津山市鶴山館において関係市町村係官の参集を得て,大要次のとおり説明された。

 美作集約酪農地域をホルスタイン地区とジャージー地区にわけ,ホルスタイン地区は現在1,658頭の乳牛を6ヵ年後の35年度までに6,000頭に増し,農家1戸当り平均1.5頭を飼育するようにし,牛乳生産量を1日に122石に増す。ジャージー地区は現在390頭を35年度までに2,000頭に増し,農家1戸当り2頭を飼育,牛乳生産量を1日30石に増す6ヵ年計画である。

 本年度はジャージー乳牛を津山市へ61頭,真庭郡八束村へ55頭,同川上村へ65頭,同二川村へ34頭,同中和村へ15頭,同湯原町へ20頭,あわせて250頭を入れる予定である。その他の町村および津山市はホルスタイン地区として今年度に150頭のホルスタインを導入する計画である。

 この計画にもとづいて,県農地経済部に「美作集約酪農地域振興対策室」をつくって積極的に技術指導を行うが,指定された市町村は将来乳を集めるのに便利な道路を中心に,乳牛を取入れた新しい農業経営のやり方を指導,裏作のできるところには極力レンゲなど飼料作物を栽培するとか,畑作にも自給飼料をとり入れて生産費の安い牛乳を生産するよう計画をたてる。搾った乳は津山市の北部酪農に集め,北海道バターと提携し,これに生乳を直送し,又地元消費の市乳生産に,脱脂還元乳に,残りは確実な販路の裏付をもった練乳生産にふり向け,積極的な消費を促進させる。

 このように乳牛の導入を行うことによって農家経済は,ジャージー地区が現在の1戸当り所得125,160円を35年度までに338,579円に,ホルスタイン地区は現在の113,597円を243,007円にそれぞれ高める。

 35年度までの所要調達資金は117,0865,000円,内訳は借入金として5億6,458万円の農林漁業融資金,その他4億8,3741,000円が予定され,増資その他で1億2,2541,000円の自己資金が必要である。

 本年度予算は集約酪農振興費として1,7129,290円,牧野改良費1,9382,615円,飼料自給経営施設費562,420円,酪農奨励費1285,000円,合計3,8359,325円が計上されている。

 なお本年度農林漁業資金借入状況は「第1表」のとおりである。

第1表 農林漁業資金借入状況表(昭和30年度)
農業協同組合名 サイロ施設 畜舎
基  数 総事業費 借  入
申 込 額
貸  付
決 定 額
棟  数 総事業費 借  入
申 込 額
貸  付
決 定 額
千円 千円 千円 千円 千円 千円
真庭郡二川村 13 195 117 117 24 3,000 1,800 1,800
 〃 八束村 50 704 400 400 45 2,335 1,207 1,200
 〃 川上村 73 1,241 730 730 30 1,350 750 750
 〃 湯原町 20 300 180 未決定 20 600 360 未決定
津山市西苫田 10 130 100 100 9 450 360 270
 〃 下横野 10 125 100 100 10 500 400 300
 〃 神 庭 4 200 160 120
 〃 横 野 8 400 320 280
176 2,695 1,627 1,447 150 8,835 5,357 4,720

美作集約酪農地域振興対策室設置

 美作集約酪農地域の農業振興を推進するため農地経済部に同地域振興対策室が設置された。

 同地域に酪農を奨励して総合的な農業経営の安定を図る計画は県政の重点施策の一つであるが,この度の農林省の指定と相まって同振興対策室を県に設置,関係機関を総動員して酪農を中心とした農業全般の体制を確立,営農指導のセンターとするものである。同室は室長に曾我農地経済部長をあて,集約酪農の関係のある県職員で構成,指導体制班(班長,惣津畜産課長),営農改善班(同,的場農業改良課長),飼養管理班(同,惣津畜産課長),栽培改善班(同,鋳方農業試験場長),牛乳処理改善班(同,惣津畜産課長),生活改善班(同,的場農業改良課長)の6班を置き,各班ごとに指導大綱を作り,これをさらに同室に持寄って具体的指導方針を決定し,酪農経営の振興を図るべく,現在具体策を検討中である。

ジャージー乳牛
第2,3陣蒜山,津山地区へ

 美作集約酪農地域に昭和30年度中に導入されるジャージー種乳牛は250余頭の予定であるが,その第1陣オーストラリア産57頭は既報のように1121日蒜山地区の4ヵ町村へ配分されたが,引続き第2陣67頭,第3陣54頭が到着した。

 第2陣67頭は12月4日朝,貨車8両で中国勝山駅着,引続いてトラックで蒜山地区へ到着した。この牛は産地のオーストラリアから豪州船ナンキン号で1ヵ月の船旅をして,1120日神戸港に到着,12月3日神戸発で運ばれたもので,途中仔牛が生れたり,死んだりしたが,合わせて搾乳牛18頭(内仔付9頭),妊娠牛28頭,その他21頭で,「第2表」のとおり関係町村へ配分された。

 第3陣オーストラリア産54頭は1222日,農林省横浜動物検疫所で引渡を受け,1224日津山駅に到着,津山市の東一宮15頭,下横野9頭,上横野8頭,西苫田7頭,高倉9頭,神庭5頭,高田1頭とそれぞれ配分された。

 なおこの度までの導入による美作集約酪農地域のジャージー乳牛の総導入頭数は「第2表」のとおりである。

第2表 ジャージー種乳牛導入頭数
市町村名 29年度
頭数
30年度
頭数
合計
第1陣 第2陣 第3陣
津山市 東苫田 20 20
東一宮 21 15 15 36
高田 11 1 1 12
上横野 10 9 8 18
下横野 9 8 9
西苫田 7 7 7
高倉 9 9 9
神庭 5 5 5
川上村 68 28 20 48 116
八束村 67 27 19 46 113
二川村 30 1 14 15 45
中和村 24 1 8 9 33
湯原町 19 6 6 25
270 57 67 54 178 448