既刊の紹介岡山県畜産史

第1編 総論

第3章 昭和前期における畜産の推移

第4節 畜産功労者

 各種畜産共進会の開催を機として,家畜の改良増殖,畜産の発達等に功績のあった者を表彰することは,明治33年(1900)島根県三瓶原野で開催された第1回中国連合畜産共進会から始められた。これは,道府県連合共進会規則(明治43年,農商務省令第3号)第9条による「主務大臣ハ出品ト同様ノ産業ニ関シ功績顕著ナリト認ムル者ニ対シ其人ノ存亡ニ拘ラス功労賞杯ヲ授与ス」,畜産奨励規則(大正8年,農商務省令第12号)第12条による「功労賞ハ畜産ノ改良発達ニ関シ功労アリト認ムル者ニ対シ之ヲ授与ス功労賞ハ賞金又ハ賞杯トス」などにより,県においては畜産奨励規程(大正11年,県令第68号)第10条による「畜産改良功労褒賞ハ畜産改良上功労アリタルモノニ之ヲ授与ス」により行なわれたものである。
 ここには,中国連合畜産共進会,県を区域とする共進会に際して表彰された畜産功労者を中心に,その他,畜産関係者の叙位叙勲等について,記録に明らかなものを列挙することにした。この他にも,各家畜ごとの県段階以上の共進会において表彰されたものもあると思われるが,これらはそれぞれ該当のところで述べることにする。
 山陽新聞社では,昭和25年(1950)度から,岡山県を中心に,中国四国各県を対象に,文化,産業,教育,スポーツ,社会事業などに献身して功績顕著な者を「山陽新聞賞」として表彰している。その中で畜産関係として次の2者が,それぞれ記載したような理由により表彰を受けている。
 永井政一(真庭郡湯原町) 傾斜地や水田などの土地の合理的利用による酪農経営の近代化に努め,研究と成果を農民に指導,同地が集約酪農地域に指定される素地を作った(昭和33年度)。
 沖田洋美(阿哲郡哲西町) 肉用牛の増産と,畜産による農家所得の向上をめざし,阿哲地方の優秀な系統牛を集め,三代にわたり,家族をあげて,黒家和種々雄牛の育成を行ない,優秀な種雄牛を県内はじめ西日本各県に供給した(昭和43年度)。