既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第1章 酪農の発展

第2節 酪農奨励事業

4.ジャージー種による酪農

(1)ジャージー種の特徴

 ジャージー種の原産地は英仏海峡のジャージー島であって,イギリス本国,アメリカ,ニュージーランド,オーストラリアで多く飼われている。毛色は褐色で,白斑のあるものもある。舌,尾房,鼻鏡,蹄及び角端は暗黒色で,口部は灰白色の環でふちどられ,いわゆる糊口をもっている。ホルスタイン種に比べると乳量が3,500キロ(ホルスタイン種5,500キロ)と少ない。本種の牛乳の脂肪率は平均5.2パーセントと高く,脂肪球が大きく,黄色が濃く,無脂固形分が多く,甘味があって美味である。もともと煉乳・バター等の原料乳の生産向けに改良されたものである。体重が450キロ(ホルスタイン種600キロ)と軽く,運動性に富み,45度までの急傾斜地でも採食し,放牧に適する。気候に対する適応性が強く,ホルスタイン種よりも耐暑性が強く,耐寒性は強くない。
 性質はおとなしく人なつっこく怜悧である。寿命が長く,現在では10産以上の牛も相当数あり,平均産次はホルスタイン種の2.8産に比べて4産次と高い(県畜産課調べ)。  乳価は,キロ当たりホルスタイン種110円91銭(乳脂率3.4%)に比べ,125円02銭と高い(昭和54年6月)。銭で0.1%増すごとに83銭を加える。以上のことから,ホルスタイン種に比べて運動性に富み,性質温順で扱い易く,草の利用性が高く,放牧に適し,省力的な管理ができる。加えて耐用年数も長く,草地型酪農に優れた品種である。乳量が少なく,乳脂率が高く,無脂固形分率の高いのは加工原料乳生産に適するものである。