既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第2章 和牛(肉用牛)の変遷

第2節 和牛の改良と登録

1.藩政時代までの畜牛の改良

  (2) 牛籍の整理

 牛籍の整理は文武天皇(697−707)の時代すでに行なわれていたようである。各地に官牧を設け,繁殖を図り,飼養管理,繁殖についての規則を設け,2歳になれば髀に官印を捺して毛色,年齢などを記帳し,その1通は国に,1通は太政官に納めることとし,全国に牛馬籍法を布告したといわれている。
 備中国竹の谷蔓(1772−80)をはじめ,3名蔓といわれた岩倉蔓(1843,広島県),周助蔓(1844−47,兵庫県)の発生については,当時の豪農,鉄山師,家畜商などが多数の牛を所有し,周辺農家へ牛小作として預託していたが,所有牛には牛の血統,生年月日,個体識別などに,なんらかの手段を講じていたと推察される。しかし,いわゆる牛籍が公式に取りあげられたのは,明治年代になってからである。