既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第2章 和牛(肉用牛)の変遷

第3節 和牛の能力利用

5 内蔵,牛皮等の利用

(1) 内蔵(副生物)の利用

 畜産振興事業団(昭和53年)の『牛肉の歴史』によれば,ゴミ皮の食用その他さまざまな利用について次のように挙げている。

   筋(腱,靭帯) 主としてラケットの網や綿打ちの弓,楽器の弦に利用。
   血液      医薬用としてヘモグロビン,黄血塩などを生産。
   脳       食用に供するとともに,鹿皮のなめし皮を作るのに用いられた。
   頭がい骨    印材や細工用に利用。
   舌       燻製にしたり,缶詰にして食べた。
   蹄       べつ甲代用品に使い,櫛などを造った。
   内蔵      心,肺,胃などは食用に,肝臓は主としてグリコーゲンやコレステリンなどの医薬製造に使用。
   食道      粘膜を水中爆発薬の包装用および医療用氷のうに利用。
   生殖器     食用にしたり,スペルミンなど強精剤をつくった。
   膀胱      もっぱら氷のう用とした。

 以上のように,副生物は,すべて食用その他に利用され,廃棄するものはほとんどない。
 岡山屠畜場に隣接している株式会社岡山日山は,昭和2年(1927)以来,化成場として現在地にあるが,初めは原料の骨を,県内はもとより広島,山口,大分,鳥取の諸県から集め,粗砕した原料を平釜で煮て,油脂,膠,骨粉を製造した。昭和11年(1936)からはボイラーにより蒸製骨粉をつくった。油脂は石鹸の原料に,骨粉は肥料に,また一部長骨は加工して歯ブラシの柄に利用された。また,一時血粉をつくり肥料に仕向けた。蹄や角は,阪神地方へ送り出した。現在は,原料の集荷範囲は岡山県内と広島県東部に限られている。
 現在岡山屠畜場で産出される内蔵は,岡山県食肉荷受株式会社から,岡山県食肉市場関連企業組合が一括買い取り,これを内蔵卸売人または直接焼肉店などへ卸売りするのが一般的なルートである。そして,現在のところ,地場消費は,ほとんどこれでまかなわれている。スーパーなどにはパック詰めの輸入ものがみえる。卸売り価格は,枝肉重量400キログラム以下のものについては,枝肉キログラム当たり38円,すなわち,350キログラムの枝肉であれば,内蔵代は13,300円である。400キログラムをこえる大きな枝肉については,別の計算方法により15,200円で取引きされている。
 最近,市中に焼肉店の看板が,やたら眼につくようになったが,「ホルモン料理」,「トンチャン」が市中に普及しだしたのは,昭和30年代になってからである。