既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第2章 和牛(肉用牛)の変遷

第4節 和牛の子牛生産と育成

3 明治,大正年代から昭和前期までの和牛の飼いかた

(3) 種牡候補牛の育成方法

 「岡山県種畜場千屋分場業務功程報告」(昭和元年度)によれば,当時の同分場の主要業務の一つであった種牡候補牛育成について,その飼養管理方法は次のとおりであった。
 種牡候補牛は,購入するまでに,すでに地方において慣行の放牧により飼育されたものが多かった。
 春から夏にかけての青草期には,昼間は日の出から日没時まで,放牧場へ出して山野を自由に歩かせて運動させ,夜間は舎内に収容した。酷暑の候には,夜間放牧に切りかえた。中秋になり,放牧場の草生が悪くなると,午前中だけ放牧し,午後は舎飼いとした。10月下旬からは全く舎飼いとした。
 舎飼い期間中は,とくに飼料と運動の調和に留意して,体躯の緊密な発育と堅牢な肢蹄をつくるようにした。
 飼料の配合ならびに給与量は,おおむね表2−4−1のような標準によった。しかし,季節により,あるいは,個々の牛の発育状況に応じて適宜勘案した。毎月体重および体各部の測尺を行ない,発育の状態をよく見て,飼料の給与量を加減した。

 牛が人を恐れることのないよう,愛育して,性質を温順にすること,健康,衛生に留意して病気にかからないようにすることなどに注意した。しかも,放牧地においては風雨にさらして,外界の感作に対して抵抗力を強め,強健な体力をつけることに努めた。
 牛体の手入れは,毎日1回十分行ない,角は随時矯角し,必要によっては特別に角みがきも施して,一般の嗜好に適するようにした。蹄は,時々矯正して,堅牢な発育を助長した。
 調教は,購入したときから随時行ない,気質の安静を図り,かつ,肢体の運動を整正ならしめた。