既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第2章 和牛(肉用牛)の変遷

第5節 肉用牛肥育事業の進展

2.大正時代から昭和前期における肥育

  (5) 第二次世界大戦による飼料事情の悪化と肥育の衰退

 昭和12年(1937)に日華事変が勃発し,次第に悪化する飼料事情の中で,肥育事業は衰退して行った。昭和15年(1940)8月6日,「価格等統制令第七条ノ規定ニ依リ肉類ノ販売価格左ノ通指定ス(農林省商工省告示第38号)」により牛肉,豚肉,鶏肉の販売価格が統制され,また,肉牛価格も統制された。一方,飼料についても,昭和13年(1938)3月30日,法律第39号をもって「飼料配合統制法」が公布されるに及び,肥育事業は衰退を余儀なくされた。このような時代,農林省畜産試験場中国支場(現中国農業試験場畜産部)においては,和牛こそ粗飼料だけで飼えるということの証拠として,「濃厚飼料無給与による」一連の飼養試験が行なわれ,その中に「濃厚飼料無給与による肥育試験」も含まれていた。