既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第2章 和牛(肉用牛)の変遷

第6節 和牛(肉用牛)の流通

2.家畜商

(5) 家畜商数の変遷

 全国的に見た家畜商数は,明治末年以降,増減を繰り返し,昨今6万前後となっている。岡山県の場合,古い統計が見当たらないが,昭和初年には2,500名を超えていたものが,戦後減少して,最近では1,000名程度で推移している。家畜商法公布後,昭和25−28年(1950−53)における年々の家畜商の免許数は,122人から242人程度であった(農林省畜産局(昭和27年)『畜産提要』)。

 昭和元年(1926)における,所轄警察署管内別の牛馬商数は,表2−6−38に示すとおりであって,その数により当時の牛馬の主産地の想像もつけられよう。昭和26年(1951)における個人,法人の別を見れば,岡山県では1,284中1,281が個人であって,しかもその96%が使用人を持たない業者であった。全国的に見た専兼業の別は,その9割が兼業であって,農業との兼業が7割以上を占め,ついで食肉業の9%となっていた。昭和53年(1978)における岡山県の家畜商数1,101名はすべて兼業となっている。
 つぎに,取り扱う家畜の種類(昭和27年)は,そのほとんどが牛を主として取り扱っている。全国的に見た取扱い規模別(昭和31年)家畜商数は,50頭未満の零細なものが過半数を占めていた。これらはいずれも昭和30年ごろの統計であるので,その後,飼養規模の拡大,系統共販の推進,家畜の種類の変遷などの要因により,これらの傾向には当然かなり変化があることが考えられる。つぎに当時の農家が家畜を購入する場合,どのようなルートでこれを行なったかというのが表2−6−39である。岡山県の場合は,全国平均よりも多く家畜商を通じて買い入れ,反対に農協を利用したものは全国平均より低率であった。