既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第3章 養豚の進展

第4節 養豚関係の試験研究

1.明治後期からの試験研究

 本県における豚の試験研究は,明治37年(1904)4月に設置された岡山県種畜場に,開場と同時に導入された豚の飼養により始められた。当時一般にはまだ珍しかった豚の飼育管理方法,豚肉の処理加工(ハム製造)等が試験的に実施されたのが始まりとみられる。すなわち,明治37年(1962)以後,毎年度同種畜場において原料豚を民間から購入し,あるいは場内で増殖した豚の一部を用いてハム製造を行っている。
 同場の明治38年度の第2回業務報告書によれば,「ハム製造」の項に,「(前略)技術者は前年同様に長崎県より聘したり。その製造法も前年度と大差なし。ハム製造の原料はことごとくこれを県下より購入すること能わざるため,香川県小豆島よりその大部分を購入せり。種類はバークシャー雑種及びヨークシャー雑種等にして,製造に供したる豚は合計19頭にして,この総斤量2,310斤(1,386キログラム),この購入代金346円50銭,ただし1斤(0.6キロ)に付き金15銭(1キロ当り25銭)。しかして製造総数は前肢・後肢ハム77個にて,この重量118貫110匁(443キロ)なり。」とあり,かなりの量の製造を行っているが,年によっては,気温の高低によって製造法に若干の工夫を行っている。しかし,これらは試験というよりはむしろ豚肉消費普及のための製造技術講習を主として行ったものであった。