既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第4章 養鶏の発達

第4節 鶏についての試験研究

3 昭和30年代における試験研究

(3)衛生関係

 鳥海徹ら(岡山大学)は,昭和35年(1960)に雛白痢保菌鶏の治療法を検討して,フラゾリドンの投与が有効であると報告したが,本剤の副作用として一種の神経症状を認めた。
 出口孝吉らは,昭和36年(1961)からコクシジウム症を予防する実験を行なって,アンプロリュームが卓越した予防効果を現わすと報告した。
 ロイコチトゾーン病は,昭和29年(1954)の夏からわが国でも見られるようになり,県内では昭和37年(1962)と38年(1963)の夏,かなり大きな被害を受けた。鳥海徹ら(岡山大学),松井修ら(岡山鶏試)の行なった一連の研究は,昭和37年(1962)夏に始まり,本病の発生状況,中間宿主であるニワトリヌカカの生態,各種薬剤の予防治療効果および安全性,免疫の獲得などを明らかにした。ここで検討したピリメサミンの予防効果は表4−4−3のとおりで,本病予防に卓越した効果を現したため,昭和39年(1964)からピリメサミンの飼料添加が実用化した。