既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第4章 養鶏の発達

第4節 鶏についての試験研究

4 最近における試験研究

(1)飼育関係

  1 新資源の飼料化

 動物性油脂の飼料化を,昭和40年(1965)から上野満弘ら(岡山鶏試)が検討し,また多田昌男ら(岡山鶏試)は,石油中のノルマル・パラフィンをおもな炭素源にして生産された炭化水素酵母の飼料化を,昭和44年(1966)から検討して,いずれも養鶏用飼料に利用できるとした。

  2 飼料給与法

 養鶏労力を軽減するために,上林峯治ら(岡山鶏試)は,昭和40年(1965)から給餌回数を少なくすることを検討して,このことが可能であることを報告した。
 飼料摂取量を制限することが肉用種および卵用種について多く行なわれた。肉用種鶏の制限給餌については,青山寔ら(岡山鶏試)が昭和42年(1962)から行なって,種卵取得率を上げ,種卵の生産費を下げるのに有効な方法であるとした。卵用種の制限給餌については,岩本敏雄ら(岡山鶏試)によって,制限度合,制限時期などが検討されたが,初産前に絶食することを行なった諏訪一男ら(岡山鶏試)の報告によると,適切な絶食は鶏の体質を改善し,産卵個数を高い水準で推移させる効果があるとした。本荘司郎ら(岡山鶏試)は,ブロイラーについても適切な制限給餌によって産肉性と飼料要求率をよくすることができると報告した。
 産卵期に絶食を行なって産卵を調整する方法は,昭和48年(1973)から諏訪一男ら(岡山鶏試)によって試験され,鶏に障害を与えずに強制的に休産させ,休産後は高産卵を持続できることを明らかにした。
 上林峯治ら(岡山鶏試)は,昭和43年(1968)から卵用種の期別給餌試験を行なって,育成期は中雛用飼料の給与を省いて幼雛用飼料から一気に大雛用飼料に切り替える,産卵期は前半に高蛋白質飼料,後半に低蛋白質飼料を給与する,すなわち,育成期と産卵期のおのおのに2種類の飼料を給与することは,卵用鶏を飼養する場合に有効であると報告した。

  3 ブロイラー飼養

 妹尾文雄ら(岡山鶏試)によって,ブロイラーの季節別飼養,早期出荷,雄雌別飼いの飼養法およびその経済性が,昭和48年(1973)から検討された。季節別飼養の成績は表4−4−8のとおりであって,1坪当たりの収容羽数を1羽増すごとに約45円の収益増が期待できるが,夏季は環境条件が悪くなることを考慮して,坪当たり40羽程度の収容とし,その他の季節は坪当たり60羽程度の収容が適当であると考察した。