既刊の紹介岡山県畜産史

第2編 各論

第4章 養鶏の発達

第4節 鶏についての試験研究

4 最近における試験研究

(2)管理関係

図4-4-3 環境調節実験室の調節室

提供 岡山県養鶏試験場(御津郡御津町)

  1 鶏舎の環境改善

 この種の研究は,昭和44年(1969)に始められた。育成期の環境改善については,古川陽一ら(岡山鶏試)が,消毒の徹底,ワクチン接種などの基本的な衛生対策の徹底のもとに飼育環境を整備することで育成率の向上を認めた。
 開放型鶏舎における卵用鶏の飼育については,守屋進ら(岡山鶏試)が鶏舎内の強制換気法,防暑法および防寒法を明らかにし,古川陽一ら(岡山鶏試)は収容羽数と換気量の関係を明らかにした。続いて高橋彰ら(岡山鶏岡)は,夏季に強制送風を行なうことにより,高温に原因する生産性の低下を緩和できるとした。ウインドウレス鶏舎については,妹尾文雄ら(岡山鶏試)が換気方式ごとの舎内微気象および鶏の生産性を明らかにし,上林峯治ら(岡山鶏試)は,季節ごとの換気量と日々の舎内温度の変化に伴う換気量を明らかにした。また多田昌男ら(岡山鶏試)は,一般養鶏農家鶏舎における飼育環境と生産性の関連を明らかにした。

  2 環境要因

 環境調節実験室を用いた実験が,上野満弘ら(岡山鶏試)によって昭和48年(1973)から行なわれた。この実験室は岡山県養鶏試験場の御津町への移転を機に新設されたもので,その規模や能力などは表4−4−9のとおりである。
 取りあげた環境要因は温度,湿度,気流,換気量および照明時刻などで,これらの環境要因と発育,産卵,飼料摂取量,体温,呼吸数,酸素消費量などとの関係を明らかにした。表4−4−10は温度と産卵の関係を表したものであり,産卵率が最もよい温度は摂氏21.3度,産卵量の最も多い温度は摂氏18.7度であると報告した。また,摂氏10度以下および同30度を超える温度では,産卵率の低下する度合が急に大きくなることを明らかにした。

  3 省力機械

 金田清ら(岡山鶏試)は,給餌,集卵,除ふんなどの作業を自動化した省力機械システムを取り入れて,昭和48年(1973)に省力機械の装備は産卵などの生産性に悪影響を及ぼすことはないと報告した。また岩本敏雄ら(岡山鶏試)は,省力機械を装備した養鶏経営の鶏卵生産費を表4−4−11のように示した。

  4 給温によるブロイラー飼育

 諏訪一男ら(岡山鶏試)は,昭和51年(1976)にブロイラー飼育における給温方法と給温効果を明らかにした。この方法によって飼料要求率は著しく向上した。